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ショートショート「いとおかし作家」※毎週ショートショートnote11/2お題


 私の先生は、変わっている。
 作家を目指していた高校生の私は、先生の作品「いとをかし」を読んで、その作風にすっかり惚れ込んでしまった。
 たまたま近くに住んでいることが分かり、押しかけファンをして、なし崩し的に弟子に取ってもらった。
 新進気鋭の作家だから、鬼気迫る執筆活動が間近で見られると思い込んでいたのだが。
 「吉野ちゃん、スコーン焼けたよー。今日はキタアカリの配合を多くしてみたんだ」
 これである。
 毎日、何かしらのお菓子を製作しては、私を甘やかしてくる。
 それがこの上なく美味しいのだから、無碍にすることもできず、私は紅茶とともにいただくしかない。
 「先生、締切が近いのでは?」
 「んー?なんとかなるさー」
 そんな脳天気なことを言いながら、ハムスターのようにスコーンを頬張っている。
 愛おしくて、お菓子が好きなおかしい作家。
 (いとおかし作家だね)
 なんて、下らないことを考えている私の頬は、紅茶の色に染まっていく。




→こちらの企画に参加させていただきました。





 

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