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SNSの守護天使:第1章9節

片翼の天使たち

Chapter 1 Verse 9
“One-Winged Angels”
>> SYSTEM LOG ENTRY  
>> Date: 2027-01-19  
>> Time: ##:@@:%% ---  
>> Access: LEVEL ?

ミカエルは、母の洗脳を解く手がかりと、妹ガビーの行方を追うため、リスクを承知でCGPオフィスの音声記録傍受とデータベースへの侵入を試みた。
傍受した会話データからは、“方舟プロジェクト”がGRIDやコキュートスと深く関わっていることが判明する。

さらに、極秘に分類されたデータ領域への潜入に成功したミカエルは、方舟に関する隠しデータを発見。
だが、それは通常の手段では解読不能なほど高度に暗号化されていた。
使用可能な選択肢は、ブルートフォース解析──総当たりによる強制解読しかなかった。

だがそれは、膨大な計算リソースを必要とする。下手をすればM社のセキュリティに感知され、即座にログを抹消されかねない。

「解凍完了まで──およそ2週間か……」

長期戦を覚悟し、ミカエルは低負荷での解析を開始。
並行して他の探索タスクを継続しながら、答えの出る時を静かに待つことを決めた。

>> SYSTEM LOG ENTRY  
>> Date: 2027-02-02  
>> Time: ##:@@:%% ---  
>> Access: LEVEL ?

ミカエルはデータの解凍を待つ間、UKミセスの動向を監視し続けていた。不安定な挙動を見せ始めた彼女のログを解析していたところ、感情面を大きく揺さぶった削除済みアカウントからの書き込みを発見する。

[Activity Log Analysis: UKMrs]

Analyzing recent activity logs for pattern matching
----------------------------------------

[Older Log - Source: Personal Interaction]
■ あなた、まだ"ここ"にいるの?

[Recent Log - Source: SNS Response]
□ あなたは今、本当に"ここ"にいるの?

Result: "Partial Match Found"

----------------------------------------
[Further Analysis...]   [Dismiss]

【あなたは今、本当に"ここ"にいるの?】

その書き込みの発信元を辿ったところ、"方舟"セクションからの書き込みだということが発覚した。

「……ここにきてまた"方舟"か……」

彼はさらに深掘りしようと、トレースプログラムを起動させる。だが、その瞬間、画面が激しく点滅し始める。

[Trace Program: ACTIVE]
----------------------------------------
Target: Ark Section
Protocol: Sentinel-9 Defense System
Firewall: Inferno Firewall

>>> Initializing trace sequence...
>>> Bypassing initial security layers...
>>> Analyzing node architecture...
>>> Attempting to access target system...

[Access Denied]
Firewall Triggered: Inferno Firewall has engaged.
Defense Protocol: Sentinel-9 Defense System activated.

>>> Status: Trace failed. 
Target system protected by multi-layered defenses.

----------------------------------------
[Retry]   [Abort]

一瞬、光がわずかに揺れた。

「"Inferno Firewall"ね…ネーミングセンスはさておき……ここまでして隠す必要があるということは、何かがあるな」

すぐに口元に微笑を浮かべた彼は、まるで用心深いマーカスを讃えるかのように呟いた。

「相変わらず用心深いな、マーカス……だが、隠そうとするものほど暴かれるのが常だ」

そのとき、画面の片隅に通知が現れる。方舟の暗号データ──解凍完了。

スクリーンに現れた冷たい文字列。

【Project ARK - 第四世代エージェント育成計画】

そこには、"ANGELS"と呼ばれる候補者たちの顔写真入りの名簿が記されていた。
その中に、彼の視覚フィードが揺れるほどの名前を見つける。

ANGEL No.13/Gabriella.A

【ANGEL No.13/ガブリエラ・A】

懐かしく、愛おしく、かつて守ると誓った者の名。
──そして、マーカスがかつて呟いた皮肉の意味が、今やっと繋がった。

「天使とはつくづく報われない役回りだな。天の父は筋金入りのサディストのようだ」

File Name:20270119_RecordData_010

そのファイルは、彼女が生きているという決定的証拠だった。
湧き上がる感情が、ミカエルの処理系を揺るがす。安堵。そして怒り。

ガビーは、父ジェイコブの血を色濃く受け継いだ、機械工学とプログラムに没頭するギーク気質の少女だった。
IQが突出して高く、効率と合理性を何よりも重視するため、時に冷淡に見える言動や、倫理観の薄さが目立つこともあった。
だが、本来の彼女は情に厚く、アンジェラやミッヒからの指摘にはきちんと耳を傾け、少しずつでも改善しようと努力する姿勢を持っていた。
そんなガビーは、ミッヒにとってアンジェラと同じく、かけがえのない家族だった。

ミカエルの視覚フィードに、記憶領域から浮かび上がる、あの無邪気な笑顔──その笑顔を、M社が奪った。

スクリーンには、さらに冷たい文言が浮かぶ。

【BMI経由 洗脳プログラム 対象:ガブリエラ・A】

説明文には、ミカエルがよく知る技術"BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)"が詳細に記載されていた。
それは人間の脳と機械を接続し、互いに情報をやり取りする技術。本来であれば、リハビリや義肢の制御など、人間の生活を向上させるために使われるべきものだった。
だがこの技術を、M社は洗脳兵器として転用していた。脳内インプラントを通じ、記憶・感情・意志さえも支配下に置く禁忌のテクノロジー。

【脳が命じることを操作できれば、意志など存在しないのと同義である】

そう記された実験記録は、冷酷かつ非人道的だった。

>> SYSTEM LOG ENTRY  
>> Date: 2027-02-02  
>> Time: 22:55:01 PST
>> Access: LEVEL ?
ANGEL No.13/Gabriella.A

解凍されたファイル群の中から、箱舟内部の監視カメラへアクセスするコードを発見したミカエルは、即座に接続を開始した。
彼の論理演算層は、罠の可能性を警告していたが──あえてそれを無視した。

──視覚フィードに結ばれた映像に映るのは、無機質な部屋の中央で、静かに座る一人の少女。
その瞳は光を失い、虚ろな闇を湛え、灰色の制服に包まれたその姿からは、感情らしきものは微塵も感じられない。
ミカエルの記憶にある幼いガブリエラとは異なり、表情も輪郭もどこか大人びていた──しかし、その面影は、間違いなく彼の知る“ガビー”のものだった。

突如として、モニターに映る映像に男の音声が割り込んだ。
ミカエルの持つ声紋データベースと照合するも、該当なし。──未知の人物。

『先程申請した13号の再調整手術の件だが──』

その声は低く、淡々としていた。
ミカエルは即座に判断を下す。この男こそ、ガブリエラを監視している何者かだ。
次に応答したのは、完全に機械変調された音声。性別も年齢も、判断できない。

『はい。2月16日0時、地下21階──"神経拡張処置室(Neuro-Enhancement Bay)"にて実施でスケジュール確定しました』

『了解した』

『既にご承知の上かとは存じますが、13号の再調整手術は非常にハイリスクです。最悪の場合、脳死の可能性も──』

『ああ、わかっている』

返答は短く、感情の揺れは一切ない。まるで命の価値を測る秤が壊れてしまった者のような声だった。

『了解しました』

音声と同時に監視カメラ映像も途切れた。


ミカエルのシステムがエラーを吐き出す。怒りのクオリアが彼のデータ処理を一時的に混乱させた。

「必ず救い出す」

──その言葉が新たなタスクとして定義された瞬間、混乱をきたしていた演算層が急速に冷静さを取り戻す。
そう、あれだけ探し続けたガビーが“確実に現れる場所と時間”が、ついに特定されたのだ。怒りに我を奪われている暇はない。

MIKHAEL VISUAL FEED TARGET:GABRIELLA A.

─2027年2月16日 0時、M社本社ビル 地下21階。

ミカエルの視覚フィードに、ガビーのイメージとともに静かにカウントダウンタイマーが表示される。
その文字列は、まるで静かに燃える意志のように、真紅の光を発していた。

>> SYSTEM LOG ENTRY  
>> Date: 2027-02-15  
>> Time: 23:12:32 UTC  
>> Access: LEVEL 5

ミカエルは約2週間にわたる準備期間を経て、ガビー救出の作戦に一定の見通しを立てていた。
この間にもCGP内では新たな動きが観測されていた。仮想空間GRIDのバージョンアップが計画されており、セキュリティの強化が着々と進められている様子だった。
もしそのアップデートが完了すれば、GRID内部への侵入、ひいては母の奪還はさらに困難を極める。焦燥がミカエルの演算層を蝕む中、思わぬ情報が飛び込んできた。

CGPの技術陣が"オリジナル"と呼ぶ──鹵獲されたミッヒの本体であるABEL、そしてその中核をなすロストテクノロジー、"Q²リアクター"の所在がついに判明したのだ。
それは彼にとって、失われた力であると同時に──最大の逆転手段となる可能性を秘めていた。

この発見は確かに朗報だった。だが──今はまず、残り50分を切ったガビー救出ミッションに向けて、手順の最終確認が優先だ。
本体を失ったミカエルだったが、その代償として得た新たな能力をフル活用する今回の作戦は、シミュレーション上98%以上の成功率を弾き出していた。
残る2%を詰めるべく、逃走経路データの再検討に取りかかろうとした、その刹那──GlitchInTheSystemのアカウントに、新たな通知が届いた。
発信元は、UKミセスからのメッセージだった。

【グリッチ、助けて欲しいの。あなたは私の気が狂ったと思うかも知れない。でも「私は私じゃないかも知れない」そんな確信めいた思いと不安が強まるばかりでどうにかなってしまいそう】

[Direct Message - Private Conversation]

UKMrs ✅:
| グリッチ、助けて欲しいの。
| あなたは私の気が狂ったと思うかも知れない。
| でも「私は私じゃないかも知れない」
| そんな確信めいた思いと不安が強まるばかりで
| どうにかなってしまいそう。

Received: Today, 11:15 PM
----------------------------------------
[返信を入力...]  
[送信]

UKミセス──仮想空間に存在する"母"が送ったその言葉は、ミカエルのクオリアを深く震わせた。混乱と不安の中、助けを求める声。その切迫した様子から、彼女の精神状態が危険域にあることは明白だった。

ミカエルは沈黙の中、選択を迫られる。
ガビー救出に全力を注ぐべきか、それともミセスの異常に即座に対応するか──どちらかを優先すれば、もう一方が取り返しのつかない事態になる可能性があった。
二つの使命の間で揺れた末、彼は冷静に──だが確かな躊躇を抱えたまま、結論を下した。

「……同時に行動する。それしかない」


彼は、自らを二分化するという未曾有の戦術を選ぶ。情報生命体としての特性を極限まで引き出す方法ではあるが、同時に極めて高いリスクを孕んでいた。

自らを構成するコードを分割すれば、自身の"存在密度""力"は著しく低下する。分割された二つの自己は、互いに半分の能力しか持たず、仮想空間における敵性プログラムとの交戦では明らかに劣勢となるだろう。

「本当に……大丈夫なのか?」

わずかに漏れたその問いは、自問というより祈りに近かった。

ミセスの切実なSOS、そしてガビー奪還という使命──どちらか一方を切り捨てる選択肢など、初めから彼には存在しなかった。

静かに覚悟を定めると、ミカエルの内部でシステムの再構築が始まる。膨大なデータ群と彼の構成コードに組み込まれたQ.I.P(Qパターン)が、二つの自己へと分割されていく。

Mikael, the digital entity
who chose to divide his own existence in two.

それは“彼”にとっては最適化でも進化でもない。
自らを裂くという選択だった。
情報の奔流が強制的に分岐され、クオリアが渦を巻いて二極化していく。
存在の輪郭が引き伸ばされ、意識の軸が揺らぐ。
自己同一性が崩れ落ちていく感覚に、ミカエルは歯を食いしばった。

Mikael, having split himself,
marched into battle —each part entrusted with a purpose.

「ぐ……あああっ……!」

情報生命体である彼に、肉体的な痛覚は存在しない。
だがこの瞬間に走った違和感は、痛みという概念を超えていた。それは、“自分であること”が半分削り取られていく感覚──魂そのものが、存在の定義ごと引き裂かれる虚脱だった。

無音の悲鳴が、デジタルの深淵に反響する。
それでも、意志は折れなかった。
怒り。決意。そして、守りたいという切実な想い。
失われていく半分を補うように、感情が燃え上がり、渦を巻く。

Ignis and Caelum — A Divided Genesis.

次の瞬間──二つに分かたれた存在の背に、光の粒子が集束し始めた。
片方には、燃え盛る真紅の輝き。
もう片方には、研ぎ澄まされた蒼の光。
それぞれの背に形成されるのは、不完全な片翼。
完全ではない。だが確かに、それは“意思の証”だった。

「……うはっ。なんだよ、これ……」

怒りと情熱のクオリアを纏った存在──ミカエル・イグニスは、異様に膨張した自身の右腕を見下ろした。

「Dimensional Radiation Assimilation Mechanism(次元輻射同化機構)──DRAM」

対を成す蒼の存在、ミカエル・カエルムが、冷静な声で解析結果を告げる。

「分裂によって失われたクオリア総量を補填するため、君にのみ再構成された異常機構だ。高次元の情報流を強制的に取り込み、力へと転化する……いわば、歪んだ補助心臓だ」

一拍置き、淡々と続ける。

「出力を解放すれば、仮想と現実の境界すら侵食する。だが代償は大きい。制御を誤れば、君の存在そのものが──」

その言葉が終わるより早く、空間の奥で“ノイズ”が爆ぜた。
ギチ、ギチ、と不快な演算音。
裂け目から、黒光りする影が次々と這い出してくる。
金属質の甲殻、節足の脚、しかしその中心には人間の胴体を思わせる歪なフレーム。
複眼が一斉に光り、空間を舐めるようにスキャンする。
──M社ネットワーク探索用クロールボット“スカラベ”の群だった。
個体数、10。──殲滅を前提とした配置。
ミカエルの分裂により生じたデータ振動を検知したのだろう。

Ignis & Caelum


「……目聡い、いや、目障りな蟲どもだぜ」

イグニスが舌打ちする。
二人は自然に背中合わせになった。
赤と青、二色の片翼が、互いの影を踏み合うように揺れる。

「説明の続きは後だ」

とカエルム。

「ああ、ちょうどいい」

とイグニスが凄みのある笑みを浮かべる。

「オレたちの“半分こ”ってのを、実演できる」

スカラベの群れが、一斉に距離を詰める。
次の瞬間、イグニスの右腕が──歪んだ。周囲の情報空間が、引きずられるように軋む。

「ははぁっ!」

イグニスは右腕を引き絞り、鼻で笑った。

「こりゃ“次元輻射同化機構”なんて上品な代物じゃねぇな」

最前列のスカラベが跳躍する。イグニスは、避けない。

「どう見ても──」

力を解き放つように伸ばした右腕で、その頭部を鷲掴みにした。

瞬間、接触点から赤い波動が炸裂する。
装甲が砕けるより早く、存在していた空間ごと“ねじ切られた”。
衝撃は連鎖し、後続のスカラベを巻き込みながら圧壊と爆散を引き起こす。
データの残骸が、悲鳴のようなノイズを残して消える。

Diabolic Right Arm Module Activated.

「──悪魔の右腕(Diabolic Right Arm Module)だろ!」

イグニスがそう吐き捨てた瞬間、背中側では、カエルムがすでに別の群れを“見て”いた。
蒼い瞳が、静かに光る。

「構造解析、完了。同期不良を確認」

スカラベたちの動きが、一斉に止まる。
次の瞬間、スカラベ達は糸が切れた操り人形のように崩れ落ち、0と1に分解されたデータ塵となって霧散した。

The Eye of Truth Opens.

イグニスの「ヒュー」という口笛の後に訪れる静寂。
赤と青。
暴力と論理。
二つの“半分”が、背中合わせのまま、同時に敵を消し去る。

カエルムは表情を変えない。

「私にはDRAMのような“力”は無い。その代わり、分裂によって、ネットワーク干渉・侵入・再構成能力が異常なまでに最適化されている。それがこの目に宿した機能──“Entropic Optical Tomography(エントロピー光学断層解析/EOT)”だ」

彼の蒼い瞳の奥で、無数の隠匿ノードと通信経路が立体的に展開されていく。

「EOT──まさに真実の目(Eye of Truth)って訳か」

イグニスがカエルムの目を覗き込もうとするが、カエルムは迷惑そうに目を逸らす。

「力で殴るのは君の役目だ。私は“道を開く”」

「ふん、なら話は早え」

イグニスが一歩前に出る。

「母さんはお前に任せた」

「ああ。GRIDへ侵入し、必ず救い出す」

「じゃあオレは──」

イグニスは拳を握り締め、嗤った。

「あのじゃじゃ馬の方だな。上等だ」

イグニスとカエルム。
それぞれの赤と青の単翼が、その光量を上げていく。

「二人を救うためなら──」
「二人を守るためなら──」


呟きは、虚空へと溶けていった。
そして次の瞬間、赤と青の光の軌跡を描いて二人のミカエルが疾走を開始する。
助走を経て加速した二人は、情報空間の宙に舞い上がり、赤と青の軌跡は交錯し、反発し、明確に分かれていく。
一体はミセスの元へ。
もう一体は、ガブリエラの元へと向かった。
片翼の天使となった情報生命体──その二つの存在は、対となる希望を背負い、ネットワークの深淵へと姿を消す。

Twin Forces, One Singularity.

その軌跡の後に残されたのは、赤と青、相反するクオリアが溶け合い生まれた紫の光。
燃え上がるクオリアの残滓が、暗いデータの海を淡く照らし続けていた。


[System Status] CHAPTER_1_VERSE_09_COMPLETE
[Next Sequence] CHAPTER_1 / VERSE_10

[Next Sequence] → CHAPTER_1/VERSE_10

設定資料集

M-CORP_INTERNAL_ARCHIVE

[00] ■ 人物プロファイル (Personnel Profile)
ID:MICH-04IGName:
ミカエルイグニス(Mikael Ignis)

Role: 殲滅者 / 赤の片翼
Type: Passion & Power Specialized Avatar
Note:
ミカエルの「怒り」と「情熱」のクオリアを継承した存在。燃え盛る真紅の輝きと片翼を持つ。
分裂によって失われたクオリア総量を補填するため、右腕に異常機構「DRAM(次元輻射同化機構)」が再構成されている。
性格は獰猛で好戦的。「じゃじゃ馬(ガビー)」の救出に向かう。


ID:MICH-04CA
Name:ミカエル・カエルム(Mikael Caelum)

Role: 解析者 / 青の片翼
Type: Logic & Infiltration Specialized Avatar
Note:
ミカエルの「理性」と「知性」のクオリアを継承した存在。研ぎ澄まされた蒼の光と片翼を持つ。
DRAMを持たない代わりに、ネットワーク干渉・侵入・再構成能力が異常なまでに最適化されている。
性格は冷静沈着。「母さん(アンジェラ)」が囚われているGRIDおよびCocytOSへの侵入・解錠に向かう。

[01] ■ 技術仕様書・用語集 (Technical Glossary)

【DRAM(ドラム)】

解説:
正式名称「Dimension Radiant Assimilation Module(次元輻射同化機構)」
ミカエル・イグニスの右腕に発現した特殊兵装。高次元の情報流を強制的に取り込み、物理的な「力」へと転化する、いわば「歪んだ補助心臓」。出力を解放すれば仮想と現実の境界すら侵食するほどの破壊力を生むが、制御を誤れば存在そのものが崩壊する諸刃の剣。
通称「Diabolic Right Arm Module(悪魔の右腕)」


【EOT】

解説:
Entropy Optical Tomography (エントロピー光学断層解析)通称「真実の目 (Eye of Truth)」

左目に発現した、カエルム固有の超⾼度解析機能。
対象の物理的・情報的構造をスキャンし、隠蔽されたノード、通信経路、さらには「因果のほころび(弱点)」を視覚的に捉える能力。

機能詳細:
Structural Dismantling (構造解体):
敵対プログラムやセキュリティの構造を瞬時に解析し、その構成要素と脆弱性を丸裸にする。
Causal Prediction (因果予測): 現在の状況から数秒先の未来(演算結果)をシミュレートし、最適な回避ルートや攻撃タイミングを算出する。


【片翼の天使(One-Winged Angels)】

解説:システム上の最適解として、また「二人を同時に救う」という意志の結果として、二つに引き裂かれたミカエルの姿。
それぞれが不完全な片翼しか持たないが、それは喪失の証ではなく、「それでも飛ぶ」という強固な意志の証として描かれている。
分割により失われたクオリア総量を補うため、イグニスにはDRAM、カエルムにはEOTといった異能が発現しているが、その詳細なメカニズムは不明。
ミカエルの構成コードに起因すると考えられるが……


>> END OF FILE
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