夜桜BARで、あの人の話を。|タカーズBAR
夜のBARには
静かな音楽が流れています。

今日も茶トラのバーテンダーが
グラスをピカピカに磨き上げています。
小さい妖精達が
優雅にお酒を運んでいきます。
妖精達はお話が大好き。
今日はカウンターに座って
何かをお話ししているようです。
耳を澄ませて、聞いてみましょう。
「今日、タカーズCoffenodeで働いている
妖精達に聞いたんだけど、
店主が独り言で、
まきさんとひろさんの話してたんだって〜」
「まきさんは、記事に紹介されてたから
分かるけど…
ひろさんって、誰?」
顔を見合わせて
「「誰だろ?」」
と、頭を可愛く傾げる妖精達。

すると、
バーテンダーの猫が
目を細めて、静かに言いました。
「あの、窓際に座っている
パンダさんが、ひろさんだよ」
夜桜がきれいに見える窓際に、
焼酎を片手に
静かに桜を眺めている
赤いパンツを履いたパンダが座っていました。
ふと、
猫のバーテンダーが手を止めます。
棚に並ぶ瓶の中から、
“いつもの一本”を選び、
コト、とやわらかい音を立てて
カウンターに置きました。
グラスにゆっくりと注がれる音が、
静かな夜に、すっと溶けていきます。

パンダは何も言わず、
そのグラスを受け取りました。
ほんの少しだけ、
表情がゆるんだように見えました。
猫のバーテンダーは、
棚を見つめたまま、ゆっくり話し出しました。
「あの人はね
面白くて、面倒見がよくて、マメで
ときどき少しだけズレてしまうこともあるけど、
それをちゃんと整えてくれる仲間がいる
だから、あの人は安心してズレていられるんだよ。
しかも、ちゃんとそこらへんの見極めもできる人だからね。」
妖精達は「へぇ〜」と小さく声をもらしながら、
グラスのふちをそっと撫でました。
「ねぇ、それって…」
ひとりの妖精が、ぽつりと聞きます。
「すごく、いい関係ってこと?」
バーテンダーの猫は、
少しだけ笑って答えました。
「そうだね」
「ひとりで完璧じゃなくてもいいって、
思わせてくれる関係かな」
窓の外では、
夜桜の花びらが、ひらりと舞いました。

パンダは何も知らずに、
静かにお酒を飲んでいます。
でもきっと、
こうして誰かに話されていることも、
どこかでつながっているのかもしれません。
誰かを思い出したときに、
そっと立ち寄れる夜。
言葉にならなくてもいい。
ただ、
「あの人、元気かな」って
それだけで、十分です。
今日もお疲れさまでした✨🍸✨
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