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60代から友達は増やすべきか――人付き合いは数より質かもしれない――

初夏の午後だった。

近所の公園を歩いていると、ベンチで将棋を指している老人がいた。少し離れた場所では犬を散歩させている人がいて、子供たちの声が風に混じって聞こえてくる。

そんな光景を眺めながら、ふと考えた。

六十代から友達は増やすべきなのだろうか。

若い頃は違った。

学校へ行けば友達ができた。

会社へ入れば同僚ができた。

飲み会へ行けば知り合いが増えた。

「友達は多い方が良い」

そんな空気もあったように思う。

だが六十代になると事情が変わる。

仕事を離れる人もいる。

引っ越す人もいる。

体調を崩す人もいる。

いつの間にか連絡を取らなくなった人もいる。

友達の数だけを見れば、若い頃より確実に減っている。

けれど、不思議なことに私はあまり寂しいと思わない。

むしろ気楽になった部分もある。

毎週会わなくてもいい。

頻繁に連絡しなくてもいい。

何年ぶりかに会っても、昨日の続きのように話せる。

そんな関係が増えた。

付き合い方が変わったのである。

実は、人間関係については長年続いている有名な研究がある。

ハーバード大学の

「Harvard Study of Adult Development」

だ。

1938年から続いている世界でも有数の長期追跡研究で、何百人もの人生を数十年にわたり調査している。

この研究で繰り返し示されているのは、

この研究で繰り返し示されているのは、

人生の幸福や健康に大きな影響を与えるのは、良好な人間関係だということである。

人付き合いの量よりも、どれだけ信頼できる関係を持っているかが重要らしい。

なるほどと思う。

若い頃は人数を気にしていた。

だが今は違う。

たまに会う友人。

時々連絡をくれる知人。

同じ趣味を楽しむ仲間。

そんな存在がいるだけで十分ありがたい。

一方で、

「もう新しい友達はいらない」

とも思わない。

無理して増やす必要はない。

けれど、人との接点を閉ざす必要もない。

私はこの一年だけでも、

noteを始めた。

Xを続けている。

AIを使い始めた。

YouTubeに音楽を公開した。

水泳も続けている。

その過程で、多くの人と言葉を交わした。

友達を作ろうと思って始めたわけではない。

ただ面白そうなことをやっていたら、人との接点が増えたのである。

そして思う。

これから出会う人の中に、大切な友人がいるかもしれない。

十年後に振り返った時、

「あの時出会った人だったな」

と思う相手がいるかもしれない。

だから私は、

友達を増やそうとは思わない。

けれど、人との出会いを拒もうとも思わない。

六十代になってから気づいた。

大切なのは友人の数ではない。

そして、人との縁を最初から諦めないことだ。

人生は思ったより長い。

今日出会った人が、十年後の親友になっていることだってあるのだから。

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