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60代、勝手にテーマ曲を作ったが、最高再生数は33回だった。――でも、また次の曲を作ってしまう。――

最近、YouTubeで自作曲を公開している。

これまで十数曲を作り、一番多く再生された曲は約140回。

私にとっては十分うれしい数字である。

それでも、本音を言えば、もう少し多くの人に聴いていただきたい。

YouTubeの世界は、なかなか厳しい。

「何か面白い方法はないだろうか」

そう考えて思いついたのが、好きなYouTubeチャンネルのテーマ曲を作ることだった。

チャンネルの応援にもなる。

そして、もしかしたら、私の音楽も知っていただけるかもしれない。

そんな、少し欲張りな作戦である。

もちろん、「勝手に」といっても、無断で公開したわけではない。

公開直後にご本人に連絡し、

「こんなイメージで曲を作ってみました」

とお伝えしている。

ありがたいことに、皆さん快く受け入れてくださった。

ところが、それらのテーマ曲のうち、今のところ、最高再生数は33回。

世の中、そんなに甘くはなかった。

これまで五つのチャンネルをイメージして曲を作った。

ゆめの酒チャン。は、春日部をメインに、お酒を楽しむ動画を発信している。

そこで、昭和歌謡やシティポップを意識した、明るく親しみやすい曲を作った。

しおんの台所は、札幌をメインに、料理や街の日常を伝えている。

札幌の明るさと温かさを感じる、少しゴスペル風の曲にした。

なかちの一人旅/酒と神と私では、一人旅の旅情と、神社や日本酒が持つ独特の空気を音楽にした。

牛抱せん夏「この世の裏側」 は、怪談メインのチャンネルなので、その雰囲気とご本人の和風なイメージを中心に据えた。

苦労したのがシオラン研究者である。

シオランの厭世的な思想を感じさせながら、その奥にある不思議な肯定感も残したい。

いずれも、動画を何度も見返し、『生誕の災厄』を読み直した。

歌詞を書き換え、曲調を変え、プロンプトを何度も修正した。

結局、一曲では納得できず、二曲作ってしまった。

AIで曲を作ったと言うと、

「ボタンを押せば、すぐにできるのでしょう」

と思われるかもしれない。

確かに、演奏して歌ってくれるのはAIである。

だが、どのような曲にするかは、人間が考えなければならない。

ジャンルを決める。

テンポを決める。

使う楽器を選ぶ。

曲の展開を考える。

歌詞を書く。

声の雰囲気を指定する。

「少し暗すぎる」

「もっとポップにしたい」

「明るいけれど、軽すぎてはいけない」

「ここはスウェディッシュポップ風にしよう」

そんな注文を繰り返す。

一度で思いどおりの曲ができることは、ほとんどない。

十曲、二十曲と作り、その中から一曲を選ぶこともある。

ようやく曲が完成すると、次はYouTubeの画像である。

人物の表情。

背景。

色合い。

構図。

タイトル文字の位置。

こちらも、なかなか決まらない。

完成したと思っても、翌朝見ると、

「何か違う」

となる。

さらに、YouTubeのタイトルと説明文を書く。

日本語だけでなく、英語も考える。

AIを使えば一瞬でできる。

少なくとも、私はまだ、その境地には達していない。

そして、いよいよ公開する。

少し時間を置いて、YouTube Studioを開く。

再生回数を見る。

三回。

翌日、もう一度見る。

七回。

数日後。

十三回。

最高で33回。

自作のオリジナル曲で記録した約140回を超えるどころか、その四分の一にも届かなかった。

応援と宣伝を兼ねた、我ながらなかなか良い作戦だと思っていた。

結果だけを見れば、作戦は成功したとは言いにくい。

しかし、33回という数字も、考え方によっては悪くない。

33人しか聴いてくれなかった。

そう考えることもできる。

だが、33人が聴いてくださった、とも考えられる。

小さな会場に33人のお客さんが集まってくれたら、かなりうれしいはずである。

しかも、曲を作らせていただいた方から、喜びの言葉をいただくこともできた。

再生回数には表れないが、それも立派な成果だと思う。

何より楽しかったのは、それぞれのチャンネルの世界を音楽に置き換える作業だった。

動画を何本も見る。

その人は、何を大切にしているのか。

どんな風景が似合うのか。

明るい曲なのか。

静かな曲なのか。

どんな声で歌えば、その世界に近づけるのか。

自分のためだけに曲を作るときとは、考え方が少し違う。

相手の世界を壊さず、それでも自分らしい音楽にする。

その難しさが面白かった。

AIは音を作ってくれる。

だが、誰かの世界を感じ取り、それをどんな音にするか考えるのは、人間の仕事である。

最高再生数は33回。

数字だけを見れば、大成功とは言えない。

それでも私は、すでに次の曲のことを考えている。

どうやら創作は、結果だけでは続かないらしい。

また作りたいと思えること。

そして、作ったものを誰かが受け取ってくれること。

60代になって、そんな新しい遊びを見つけられた。

33回という数字も、考えてみれば、なかなか悪くない。

聴いてみたい方はこちらからどうぞ・・・


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【60代から始めたもう一つの挑戦】
人生再点火の一環として、小説創作にも取り組んでいます。
現在、TALESにて伝奇ミステリー小説を公開中です。
noteとは少し違う世界ですが、こちらも私の大切な創作活動です。
興味をお持ちいただけたら、ぜひご覧ください。

▼ TALES作品ページ
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