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舐達麻『BUDS MONTAGE』 仲間の生と記憶の断片を繋ぐ光景


〈BADSAIKUSH〉
上を見て 振り返る 繰り返しては 下を見て探してた 半透明な結晶  聞こえなくなった右耳や
左腕の静脈に溶けていった 刺した針の数が
今に水を刺し嫌気が刺した
前後する曖昧な記憶 燃やす量はことごとく
白く上がる煙しら切るFlygirl
毎日毎日 SmokeするMarijuana
俺が育ててる 俺と仲間達で育ててる
質悪い世間出回るの遅い 無え用 金じゃない
声枯らす為 吸い込む極上なWeed
日本 Made Hottown熊谷が地元
此処に居るいつでも ここから飛び立つ
Zigzagの裏巻き 願い事のようにリリックを書いて  太いBeatsに 人生の核 地を這う
言葉行動1つ 全員わからしてやる
GramでもKgでもいいよ大体
Joint先に光る橙色 集合お上解散しろ
独りで見れない希望 じっと考えてるLyricを
それは一人でも多勢でも変わらない事
寒暖が最近心 察して先歩く 見ろ表情
2、3日後体が空く 家まで迎えに行くからよ
また会おう

(Verse)〈DELTA9KID〉
降ろすRHYME 災いや偽りはいらない
耳に入るその飛び偽物は効かない
あげるLIFE APHROGANG 手を伸ばす頂き
吹いた神の息吹が 背中押して手を引き
手にSMOKE 災いや偽りはいらない
音に浸かるこの旅 言い訳は聞かない
BACKROLL APHROGANG 煙に巻き頂き
吹いた神の息吹 GODBREATHの導き

〈G-PLANTS〉
殻を破り役回りはむいていく風上
根元から絡まりつき刈り取りした塊
映す鏡 憎まれては世にはばかり
降りしきる雨の中 飛沫あげた羽ばたき
空を舞うでけぇ振り よくする羽振り
生い茂るハーブに CANNA AQUA SPARKRING
雲描くペンを 走るだけ書き溜め
ぶちまける GREEN CRACK 仰ぐ 左団扇で
ポリスや 邪魔者に 何一つ話さず
違法大麻 不法所持してる肌身離さず
音鳴らす この葉は 鋭利ついた言霊
耳を刺し目につく 口に出す仕事柄
てめえで薬盛り 届きそうな月より
消えるONE ROLLはこの飛び 燃えて罪滅ぼし
神の施し 寄せて返す俺の所に 火の種
熱したライムこそ冷ましたほとぼり
この後に 及んで眠れず 夜は朝方
山盛り ケミカルよりよりHIGHな明日が
見えるGOALが 遥か星の彼方じゃ
溶かした グラムはGOLDより高え花束

(Verse)

〈BADSAIKUSH〉
昨日途中で火消したBudspoolの灰皿
起きてBeats鳴らせ 火つけ吐き出してる Marijuana  これが歌詞の書き方
104が朝死んだら こうなった俺は言葉乗せるGREEN ASSASSIN DOLLAR
下見つめてないこれから広い世界鍵閉めて内側
砕いたCocaineの上Jointを回すな
Sniffつく粘膜 札は唇にClutchは
汚え手で触るな 薬でイカれた俺は
Hashish Rosin Shatter
精一杯にやった 未だに奴は檻の中
言われ尽くされてるそんな言葉が
核となる人生はクソだ
俺は俺だがお前と俺で俺になる 他と同じはず
実力は努力の数 見てればわかる奴と奴
または昨日 売り捌き損ねたネタの話
札束分けるしかし高額が欲しい法律はまやかし
首元に また増える18金 看板は
APHRODITEGANG純度は24金 刺青はGAKKIN

(Verse)

Green Assassin Dollar / Badsaikush/Delta9kid / G-plants




舐達麻の 「BUDS MONTAGE」 を自然に訳すと

BUDS=つぼみ、仲間

MONTAGE=断片を繋ぎ合わせた映像、編集

この二つを合わせると、仲間の物語を繋ぎ合わせた映像といったニュアンスになる。が、
僕はこの文章の題名にあるとおり「BUDS MONTAGE」を『仲間の生と記憶の断片を繋ぐ光景』と意訳したい。

なぜならリリックの流れがこの形において、芸術的なまでに完成してるからだ。


を見て振り返る 繰り返してはを見て探してた半透明な結晶  聞こえなくなった耳や
腕の静脈に溶けていった 刺した針の数が
今に水を刺し嫌気が刺した
前後する曖昧な記憶

言われ尽くされてるそんな言葉が核となる人生は糞だ
— BADSAIKUSH


まず初っ端からBADSAIがぶちかましてくる。
前後上下左右という身体座標を使って、時間と空間が崩壊した断片的記憶を繋ぎ合わせつつ、確実であるはずの今現在という位置を曖昧にしてぼやけさせている。




前後する曖昧な記憶  燃やす量はことごとく
白く上がる煙 しら切るFlygirl
毎日毎日 SmokeするMarijuana


そしてこの「前後する曖昧な記憶」というのは、まさに物理的時間感覚の崩壊を意味しているわけだけど、これは薬物によってでっち上げられた体験では決してない。



フランスの哲学者ドゥルーズは『意味の論理学』の中で、薬物による知覚変容について「薬物は虚構の世界を見るのではなく、普段抑圧されている知覚の層を浮上させるのだ」と位置づける。(第3章「パラドクスの薬物」、第5章「アイオーン」参照)


ドゥルーズは出来事とは知覚の背後に潜む純粋な変化であり、通常の因果や時間の秩序とは異なる次元で起きていると考える。薬物はまさにその出来事の層を下からドゥるんとめくり上げるようにして露出させ、「意味」が形成される以前の感覚の層を浮上させる。

つまり薬物は世界を変えるのではなく、世界のほうが本来持っている別の層が顔を出すだけだということ。


んなバカな!笑  というあなたに問いたい


あなたが今目の前に見ているそのものを虚構でないと言える根拠はどこにあるのか?と。

もっというと、あなたが狂ってないといえる根拠はどこにあるというのか?



LSDでもコカインでもケタミンでも大麻でもなんでもいいのだけど(アルコールも立派な危険ドラッグだ)、時間感覚が前後したり、遅れたり速くなったり、知覚が歪んだり曖昧になるなどの現象は単なる脳自体の混乱ではなく、直線的時間(クロノス的時間)が崩壊しただけのことであって、それは異常でも狂ってるわけでもなく、時間の本質である純粋な出来事としての時間(アイオン的時間)が現出しているということ。純粋な出来事の広がりの中では、過去と未来が襞のように現在に折り重なっている。これは夜に星空を見上げたらわかること。ただ先へ先へと直線を走り続けている人には永遠にわからないだろうけど。




ドゥルーズ=ガタリは『千のプラトー』の中で、この知覚の座標を変える作用について次のように述べている。

“Drugs are an important, if ultimately limited, technology of experimentation, involving modifications of speed or changes in perception (they allow the hitherto imperceptible to be perceived).”
— A Thousand Plateaus: Capitalism and Schizophrenia, p. 282 原書・英語版

(薬物は確かに重要な実験の技法である。
それは速度を変化させたり、知覚を変容させたりする。知覚できなかったものを知覚可能にするのだ。

ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー:資本主義と分裂病』宇野邦一ほか訳 河出文庫 2023




『ALLDAY』 MVより
オランダで堂々とマリファナを吸うバダサイ


例えばライターに火をつける→葉巻に火を灯す→煙を吐き出す、これは僕たちが普段直線的な時間感覚で勝手にモンタージュしている物理空間での出来事にすぎなくて、純粋な出来事の場では煙を吐き出す→ライターに火をつける→葉巻に火を灯す、という流れでもいいし、葉巻に火を灯す→葉巻が煙になる→煙が蝶になるという、幻覚だと切り捨てられる手前の存在の変容や顕在化の痕跡、あるいは幻聴と呼ばれる手前の聴覚的出来事として捉えられてもいいのだ。なぜなら出来事とは常に僕たちを追い越してしまっているから。

それでも社会や医学の権力はすぐに幻覚や幻聴と都合のいいラベリングをし、出来事を病理へと押し込めようとする。しかし現れるのは診断よりも先にある実在だ。ラベルは常に遅れていて、バカでもわかる都合のいい意味の解釈へと堕ちていく。出来事をバカでもできる画一化されたチェックボックスの病理に回収しては絶対にいけない。

無限のスペクトラムを空間的分類の記号で切り刻むのはもうやめろ。



FUCK THE  制度  糞ったれ


出来事を診断へと切り縮める糞装置どもへ。

現実界の裂け目をマークシートの穴に押し込む権力の犬どもへ。



閑話休題──


てめえで薬盛り 届きそうな月より
消えるONE ROLLはこの飛び 燃えて罪滅ぼし
神の施し寄せて返す俺の所に 火の種
熱したライムこそ冷ましたほとぼり


映す鏡 憎まれては世にはばかり 降りしきる雨の中
飛沫あげた羽ばたき— G-PLANTS


このG-PLANTS のリリックも、背負ってしまっている罪と救済、墜落と上昇、熱と冷えが直線的時間から解放され入り混じり、純粋な出来事として煙の中の閃光のように瞬間瞬間として鮮やかに閃いている。(BUDS MONTAGEのG-PLANTSのリリックはマジで神がかっている)




降ろすRHYME 災いや偽りはいらない
耳に入るその飛び 偽物は効かない
あげるLIFE APHROGANG 手を伸ばす頂き
吹いた神の息吹が背中押して手を引き


吹いた神の息吹き GODBREATHの導き— DELTA9KID


僕が一番刺さったこのDELTA9KIDのリリックは、精神的生と死の境界線の上での葛藤、不安定さが純粋な表現として現れている。まさに救いと破滅が同時的な感触として目前にあるかのようだ。死が生をはらみ、生が死を引き寄せる常に矛盾に引き裂かれたリアルな純粋な出来事として。




木村太一の情緒的映像美とGREEN ASSASSIN DOLLERの天才的ビードが見事に共鳴し
作品の芸術性をさらに高める



“Drugs do not guarantee immanence; rather, the immanence of drugs allows one to forgo them.”  — A Thousand Plateaus: Capitalism and Schizophrenia, p. 286 原書・英語版

(薬物は内在性(=出来事や生成そのもの)を保証するわけではない。むしろ薬物の内在性は、やがて薬物なしでもその領域に至ることを可能にする。

ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー:資本主義と分裂病』宇野邦一ほか訳 河出文庫 2023


この「BUDS MONTAGE 」という作品は、純粋な出来事の場で記憶がモンタージュのように次々と接続し直されていく。そして出来事のモンタージュによって本来的時間そのものが脅迫的に響き反復する(差異と反復)。


ストリートの過去の哀傷と希望
ドラッグによる快楽と不安と焦燥
仲間の絆と悲壮と飛翔
生と死の境界の模様と動揺


「BUDS MONTAGE」とは、それらが同時に現在という裂け目へ押し寄せる、あまりにもリアルな生と記憶の断片を繋ぐ光景なのだ。



  “俺は輩とは違う  ラッパーだ糞やろう   

  たかだか  大麻  ガタガタ  ぬかすな”


               “自分自身がしがらみの鎖

                 繋がれたイカれた国”
                                     
                                      — BADSAIKUSH



最後まで読んでいただきありがとうございます。



ではまた。
(LOVE♡コジコジ)




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