一文を短く構成して、読み手に伝わりやすい小論文・志望理由書にしよう!短文に矯正する方法!
更新日:2025/09/18
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、文章作成における基本事項を紹介するのが、このシリーズ【文章作成の基本】。
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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
文の構成を矯正して、一文を短くする。
なぜ、一文を短くしないといけないのか?
私に限ったことではなく、どこの国語の先生も、またどの「文章の書き方」本でも、「一文は短く書きましょう」と注意しています。これ自体は全く珍しい話ではありません。
しかし、なぜ一文が長いといけないのでしょう。
それは、「文構成が乱れがちになり、文意の通りにくい文」になるからです。文構成が複雑になることで、主語と述語、修飾語と被修飾語などの呼応関係が乱れがちになり、理解しにくい文になるのです。だから、一文はなるべく短くまとめるようにします。
『源氏物語』などの、平安時代の文学作品を読んだときのことを思い出してください。あれ、読みづらくなかったですか?「今の時代と言葉や文法が違うから読みづらい」、それもあります。しかし、あの時代の文章が読みづらい最大の原因は、「一文がとても長い」ことにあります。一文が長い文章を書く人は、あの「読みづらさ」と「わかりづらさ」を読み手に味合わせていると思っていいです。
一文が長くなりがちな人の二つのタイプ
一文が長くなりがちな人は、二つのタイプに大きく分けられます。「考えすぎ」か「考えなし」かです。
「考えすぎ」の人は、書いてる間に、「これも言いたい」、「あれも書きたい」、「あれも言わなければ」となってきます。次々と書きたいことがあふれ出してきます。そして、その調子で書き進めてしまうのです。その結果、一文に多くの話題を「マシマシのてんこ盛り」にしてしまい、「二郎系ラーメン」のような文になってしまいます。
こういう人に言いたいのは、「一文では一つの話題のみ扱うことを徹底しましょう」、ということです。あれもこれもと話題を、一文に「わんぱくに」詰め込まないでください。一つの文には一つの話題に限ること、次の話題になったら次の文に移行することを心掛けてください。
なお、このタイプの人の文章は、繋辞(つなぎことば)が多いのが特徴です。「~ですが」、「~(し)て」、「~ので」などの接続助詞でつなぎ始めたら要注意。もう話題は変わっています。書き進めずに、そのタイミングで文を切り、次の文に移行してください。
逆に「考えなし」の人も、一文が長くなりがちです。中高生に多い感じがします。書く気のない読書感想文、書くことの決まっていない作文、でも「宿題を明日提出しないといけない」、「テスト時間終わりまでに書かないといけない」、とりあえず書き始めるか…なんてときに、この「症状」が出ます。書きながら「着地点」を探している、あるいは自分でもこの文章がどこに行き着くかわからない、けれどもとりあえず書く、という状況ですね。
こういう方には、「まず書くことを決めて、整理して、書き始めてください」と言いたいです。書くことが決まっていなくて書き始めるなんて、何を作るか、レシピも決めずに料理を作り始めるようなものです。「とりあえず鍋に食べられるものぶち込んで、火をつけます(何ができるか知らんけど)!」、そんな料理の作り方、ありませんよね。物事には段取りがあります。何を書くか決めて、その内容をいったん整理して、書き出して欲しいものです。
また、こういう人の文は、「余分な言葉」が多く含まれていることが多いです。「余分な言葉」にはいろいろありますが、一例あげると、「心情や強調に関わる副詞や形容詞、形容動詞」などです。「とても」、「大変」、「惜しくも」、「すごく」、「すごい」などでしょうか。こういう人の文では、こうした「飾り言葉」が多用されがちです。きっと書くことが見つからずもがいているため、苦し紛れに出てくるのでしょう。しかし、これらの言葉は削っても、全く文意に影響はありません。こうした言葉は極力削り、一文を短くしましょう。
とはいえ、「一文を短く、と言われても何をどうして書いたらいいものか…」、「では適度な文の長さって何なの?」と思案する人もいるでしょう。もともと書き慣れていて文章をうまく書ける人でしたら、こうしたことに困りませんよね。
そこで、「一文を短くまとめるための矯正術」を、ここで示したいと思います。
一文を短くまとめるための矯正術
一文を短くする、つまり「一文に込めるのを、一つの話題に限る(ワンセンテンス・ワンメッセージ)」ために、どうしたらよいでしょうか。それには、「なるべく単文・重文を中心に文章を組み立てる」ということを意識して文章を書くのが得策です。そして、一文は60字程度でまとめ、「複文は極力避ける」べきです。
ここで一応、単文、重文、複文の説明をしておきましょう。これは、文構成において主述関係に注目した場合に分けられる文の種類です。小学生で学習する内容ですが、おそらく皆さん、忘れていますよね(特に「大人」の皆さん)。
単文は、主述のセットが一つしかないものです。
例文:私は、ボールを投げた。
これは単純明快ですね。主語は「私は」で、述語は「投げた」です。主述のセットはこれしかありません。ちなみに「ボールを」は対象語(目的語)なので、この場合は無視してよいです。
重文は、主述のセット(節)が複数組あるもののうち、そのセット(節)同士が対等関係にあるものです。単文が同じ資格で結びついている、と考えてもよいです。
例文:おじいさんは山へ芝刈りに行き、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
これは、二つの単文が続くことで重文になっています。「おじいさんは」・「行き」で主述の組みの一つ目、「おばあさんは」・「行きました」で主述の組みの二つ目。この二つの文は、対等の関係として並列されているわけです。
複文は、主述のセット(節)が複数組あるもののうち、その片方のセット(節)がもう片方の節に従属している関係となっているものです。片方の単文が、もう片方の単文の従属した修飾節になっているパターンです。
例文:世界の平和が脅かされる時代に、私は生きている。
「平和が」・「脅かされる」が一つ目、「私は」・「生きている」で二つ目。内、「世界の平和が脅かされる時代に」という節は、述語「生きている」を修飾する従属節です。そのため、この二つは対等関係にはないと言えます。
これは、数式のように「かっこ」をつけるとわかりやすいでしょう。
例文1:
(おじいさんは山へ芝刈りに行き)(おばあさんは川へ洗濯に行きました)
これが重文。
例文2:
{(世界の平和が脅かされる時代に)私は生きている}
これが複文です。
これを前提に、本題の話を聞いてください。
さて、「なるべく単文・重文を中心に文章を組み立てること」、「複文は極力避けること」を意識することで、「ワンセンテンス・ワンメッセージ」は、ほぼ自動的にできます。なぜなら、単文ならば、主述のセットが一つである(=トピックが一つに限られる)ため、ワンメッセージにならざるを得ないからです。
また、重文も単文が連続していくだけなので、さほど複雑な文構成にならず、文構成の乱れを避けることができるため、事実上「ワンセンテンス・ワンメッセージ」が保持されます。(ただし、ずっと連続させると冗長な文になるので、注意しましょう。)
しかし、複文は極力避けるべきです。文構成上「入れ子構造」になるため、「ワンセンテンス・ワンメッセージ」が保持されないのはもちろん、複雑な文構成になります。よって、文構成の乱れを誘発する可能性が高くなります。(もちろん、それによって文章内容もおかしくなります。)
さっきの例文を、改めて見てみましょう。
例文1:
(おじいさんは山へ芝刈りに行き)(おばあさんは川へ洗濯に行きました)
例文2:
{(世界の平和が脅かされる時代に)私は生きている}
例文2の複文は、中かっこの中に小かっこがある構造です。こうした複雑な「入れ子構造」になるわけです。(ここではそんなに長い文ではないのであまり複雑ではないですが、これがより長くなると、哲学書や保険の契約書のようにより複雑化します。)
なお、この例文2を、単文に分けて「改善」すると、こうなります。
例文2の改善案:
世界の平和が脅かされる。そういう時代に、私は生きている。
単文に分け指示語で受けて文をつなぐと、構成が単純化します。このように、単文や重文を中心に文章を展開し、複文を極力避けると、ほぼ自動的に「ワンセンテンス・ワンメッセージ」となり、ストレスなく一文が短くなるわけです。
まとめ ~文の構成を意識して矯正し、一文を短くまとめよう~
一文がだらだらと長くならないように、普段から文の構成を意識して一文をまとめるようにしましょう。まずは自分の言いたいことを整理して、文章作成をすることから始めてください。
(「文」は、人の考えや思想を伝える最小構成単位です。その「文」の構成を整えてなるべく一文を短くまとめることで、「読み手に伝わりやすい文章」になります。その「文とは何か」を考える一冊です。)
(「一文は60字程度」は、新聞記者のハンドブックや多くの文章術の本にも書いてある、いわば「わかりやすい文章を書く」ための基本中の基本。一文を長々と書きがちな人は、「60字程度におさめる」という縛りをつけてもよいかも。)
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