シェア型書店に恋してる!vol.1【コマエブックスタンド〈HACO〉】
更新日:2026/04/22
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2026年4月20日(月)
今日は、コマエブックスタンド〈HACO〉に行くことにした。
小田急線の狛江駅を下車。ちなみに、この駅は各駅と準急しか止まらない。だから、急行や快速で来た場合はどこかで乗り換える必要がある。
狛江駅の改札口は一つなので迷わない。で、この改札口を出て右側、南口を出て、線路沿いに登戸方面に向けて少し歩く。するとバス停のある小さなロータリーにあたる。このロータリーの前には紀伊国屋書店狛江店があるのだが、これを背にして左側に松屋が見える。今日訪れる「コマエブックスタンド〈HACO〉」は、その松屋が入っているビルの右隣の小さなビルの3Fにある。
(左の小さいビル3Fに見える「本」の字が当該店だ)

(このポストの「本」の字が目印)

1Fは喫茶店なのだが、その店の入口の左にある螺旋階段を使って上がる。また、この螺旋階段は小さくて狭くてなかなか急である。これがなにやら「秘密基地」や「アジト」に向かう感じがあってワクワクするのだが、ご高齢の方や足の悪い方は注意したい。エレベータなどがなく上に行けるのはこの急な階段だけだからだ。
3Fに着くと入口は開いていて、中からやさしい光と複数の人の声がもれてきた。中で店の方とお客さんが話しているようだった。小さい入口をちょっと緊張気味で入る。入るなり店の方からすぐさま「こんにちは!」と声をかけられ、用意がなかった私は「あ、あ、どうも」と口をもごもごしながらあいさつをした。あまり社交的でない私は挙動不審が過ぎる。
店の方は先にいたお客さんとまた会話を再開した。その間、店を一通り見渡した。そう、入った入口付近からざっと全部が見渡せるくらいの広さなのである。ちょっと広めのワンルームマンションの一部屋といった具合だ。外から見てもペンシルビルかもとは思ったが、その思った通りの広さである。しかし、その広さはたぶん、お店の方とお客とが距離を縮めるにはちょうどいいのかもしれない。そのお客さんは「なかなか本が選べなくてすみません……。」と言っていた。長居してごめんなさいということなのだろう。そのとき、店の方が「いえいえ、本なんて急いで選ぶものではないですから……。ゆっくり探してみてください……。」と返していたのが印象的だった。
気がつくと店内に私一人になっていた。すると、私が店の中を歩く度に、店の方はそこにある本がどういうものか親切にカウンター越しに説明してくれた。なるほど、これが「この店の距離感」なのだな。店の方のお人柄もあるかもしれないが、この「近い距離感」なら先ほどいた客のように店の方とついつい話し込んでしまいそうだ。何か個人宅で主(あるじ)から説明を受けていろいろなコレクションを拝見しているような、そんな気持ちになってきた。
お店の方の説明によると、おおよそ店内にある本は三つのエリアによって分けられていた。一つは「旅する本棚」と題されたエリアの本。これはいわば「本の交換所」らしい。家でいらなくなった本を持ってきて、その持ってきた本の冊数分だけそこにある本を交換できるというもの。当然今日は初めて来たのでそのような本を家から持ってきておらず、残念ながらこのサービスを活用することができなかった。
二つ目は独立出版社から発刊された本の一群。いわゆるインディーズ出版社系の本だ。なかなか、売れ筋の大手出版社の本がメインの一般書店では目にしない本である。リアル本屋のいいところは「本との偶然の出会い」にあると思っているが、私は人より本屋に行く方だけど、このエリアにある本は初めて見るものが多い。今までの本屋さん体験にはない「偶然の出会い」が、ここでは本当にできそうだ。そう言えば、さっき別のお客さんに「本は急いで選ぶものじゃない」、「ゆっくり探してください」と店の方は言っていた。その言葉に甘えて、私も後で改めてゆっくり、このエリアからお気に入りの本を探してみることにしよう。
三つ目は棚貸しのエリアの本たちだ。一つひとつの棚を別の個人が借りて本を陳列している。その棚に置かれている本のラインナップを見ると、その棚ごとに個性があることがわかる。まずはこのエリアからじっくり見ることにした。
この棚の借主はたぶん猫好きだ。猫関連の本やグッズが密集している。まさに、自分のスキが爆発していた。一方こちらの棚の借主は地図好きのようだ。タモリさんのような地理好きのおじさんが借りているのかもしれない。向こうの棚は学習マンガばかり。どれもちょっと使い込み感があるから、この借主はお子さんのいるお母さんかもしれない。よく「その人の家の本棚を見るとその人がどういう人かわかる」なんて言うが、こうして見るとどこの誰かはわからないがそれぞれの棚の借主の人となりが何となくわかる気がする。シェア型書店は、こういうのが楽しい。
……おっ!これは!ずっと前から読みたいと思っていた『横浜駅SF』じゃないか!自己増殖をし続けついには本州を覆いつくしてしまった横浜駅を舞台にしたSF小説……、と私の説明では全く何を言っているかわからないだろうが、横浜の中心地、横浜駅の近くで生まれた私にとっては「常にどこかが工事中でいつまで経っても完成しない横浜駅」というのは「わかりみが深すぎる」。きっとそうした横浜駅事情から着想を得たSFだろうと、週刊文春だかの書評で大分前に見てずっと気になっていた。ここで会ったのも何かの縁か……。
(横浜駅SF※こちらはkindle版)
ところがこの『横浜駅SF』、「閲覧用」とシールが貼られていた。残念!買うことができないのだ。今回は縁がなかったようである。
また面白いものを見つけてしまった!これは国語の教科書に掲載されている『スイミー』でも知られるレオ・レオニの『平行植物』だ!これも前から気になっていた。『アフターマン』・『鼻行類』と並ぶ「生物学の専門書の体裁をとった3大『架空生物』解説書」の一つとして有名だ。しかしその中で、この『平行植物』だけ読んだことがなかった。手に取るとまあまあ分厚い。お値段もそれなりだ。でも欲しい……。どうしよう。……あ!今度は別の棚に『鼻行類』を発見してしまった!3大奇書のうちの2つがここに揃っている。『鼻行類』は以前持っていたけど売ってしまった。これはとても面白いから、また買って読みたい。何なら2冊をセットで買ってもよい!
(平行植物)
(鼻行類)
(アフターマン)
……いや待て、冷静になろう。以前から知っている本をここで買うならネットで買うのとあまり変わりがないではないか。この店でしか偶然出会えなかった本を買わなければ、ここに来た意味がないだろう。……とここで考え直し、独立出版社系の本のエリアに戻り再び物色することにした。
もちろんこのときは、店の方の言に従いゆっくりと選んだ。結果、数冊気になる本があったが、最終的に一冊にしぼる。そして、この本を買うことに決めた。
(休み時間の過ごし方 地方公立中学校における文化とアイデンティティをめぐるエスノグラフィー)
ポップの紹介文を見ると、著者は地方公立中学校に「調査者」として実際中学校に「潜入(もちろん学校側の許可を得て合法的に)」し、中学生がどのように休み時間を送っているのかを実際に周りの中学生と同じように中学校生活を送り調べたものらしい。教育関係の本は数多くあるが、「休み時間の過ごし方」という観点やテーマは私の頭にはなかった。手に取って中を開くと、どうも著者が大学院生のときに行った「フィールドワークの調査結果」ということだった。ただ、博士論文をもとにした真面目な学術書ではあるが調査体験記として読めるようにまとめたというようなことが「はじめに」にあり、たしかに、何ページか読むと論文というよりも「大人の中学校潜入ルポ」のような文章で読みやすい。
レジカウンターにこの本を持っていくと、店の方が「この本はおもしろいですよ!」と話しかけてくれた。「おもしろそうだと私も思いました」と私は思ったことを素直に返し、「仕事にも役立ちそうですし……」とつい余計なおしゃべりをしてしまった。「教育関係の方ですか?」、「まあ……、中学生や高校生の作文の指導とかしているんですよ。授業や勉強のとき以外の時間に今の生徒が何考えているか知りたいなと思って……」。私は普段あまり店の人と話さないが、ついペラペラと話してしまった。この店には、どうやら私にそうさせる、人が話しやすい距離を作る力があるようだった。
……さて、次はどこの「シェア型書店」に行こうかな?
追記
こちらのお店は現金不可で、電子決済のみになりますのでご注意ください。私はそれを知らなくて、一度お店を出て電子マネーにチャージし直してお支払いをしました(笑)
【データ】
コマエブックスタンド〈HACO〉
住所:東京都狛江市東和泉1-20-2永光ビル3F
営業時間やお休みの日は、下のお店のインスタグラムのアカウントにある営業日カレンダーでご確認ください。
https://www.instagram.com/bookstand_haco/
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