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小論文と作文の違いとは?小論文で「最後に帳尻を合わせる」はありえないわけ!【小論文キホンのキ②】

更新日:2026/01/11

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、文章作成における基本事項を紹介するのが、このシリーズ【文章作成の基本】。

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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)


作文みたいに「考えながら書く」・「書きながら考える」は、小論文ではありえない!

「構造上ありえない」小論文

 昨日、こうしたつぶやきを投稿しましたが、ここではこれをもう少し深掘りしたいと思います。

 多くの小論文答案を見ていくと、いくつかの共通点が見えてきます。その一つに、「後の内容になるにつれて考えが明晰になっていく」ということがあります。「最初固まっていなかった考え(意見)の輪郭が読み進めていくと徐々に明確になっていく」という構成の小論文をまま目にするのです。しかし、これ、小論文の構造上「ありえない」ことなんですよね。全く「ありえない小論文」です。

 なぜ、こうした構成になるのでしょうか。それは「書きながら話の落としどころを探している」からに相違ありません。つまり「とりあえず書き始めて後で帳尻を合わせよう」としているからです。結果、「前半で判然としない言いたいこと(意見)が後半から徐々に見えてくる」という文章が出来上がります。たとえば、導入部の課題文の要約が必要以上に長くなり自分の論(意見)を書くスペースがなくなる「症状」もこれに該当します。それは、課題文の要約をしながら自分の言いたいこと(意見)を探しているわけで、その結果冗長な構成になります。

 私は、これ、作文を書くことで得た「ライティングスキル」だとにらんでいます。読書感想文などの作文は、おおよそこの「書き方」で書けます。「本のあらすじをまとめ感じたことを述べ結局何が言いたいのか最後にまとめる」、このようにして「考えを進めながら書き、書きながら考える」ことが作文では可能なのです。しかし、この「スキル」は、小論文を書くときには「有用なスキル」になるどころか「大きな障害」になります。

実際上の思考過程と文章上の思考過程は逆

 小論文では、基本的に自分の言いたいこと(意見=結論)を先に提示します。ここまでがいわゆる「序論」ですね。その上で、「本論」では、その意見に対する理由や具体例を根拠として複数提示します。それで、最後に「結論」として、再度意見を提示する、これが受験小論文の基本的な構成です。もちろん、受験小論文の講師や参考書によって、その構成の細部は若干異なりますが、おおよそこうした構成が基となっています。

 この基本構成は、ビジネス文章では「PREP」型としておなじみです。「Point(意見=結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)」という構成型です。これも上で紹介した基本構成と全く同じで、要は「意見→根拠(理由と具体例)→意見」ということです。

 これは偶然の一致ではなく、論文(エッセイ)を書く目的とその性質を考えれば、おおよそこうした基本構成に収束します。論文(エッセイ)とは、つまるところ「読み手を説得する文章」であり、それは「根拠を提示し論証することで、自分の意見の正当性を訴える文章」である以上、基本の構成型は前述のようになります。渡邉雅子氏の『論理的思考とは何か』にも紹介されている、アメリカの基本的な論文の書き方である「五パラグラフ・エッセイ」「主張(意見)→3つの根拠→主張」という構成であり、上記の構成と全く同じ(というよりも受験小論文の基本構成はこうしたアメリカ型のエッセイの構成が基になっていると思われる)です。

アメリカの五パラグラフ・エッセイは、証拠を挙げて主張の正しさを証明し、読み手を説得することを目的とする。このエッセイの最大の特徴は、最初の段落(パラグラフ)で結論となる主張が提示されることである。私たちが思考する時には、観察やデータの分析から徐々に結論に向かって推論を進めていくが、それをエッセイの型で書くには、結論を先に述べて実際の思考の過程を倒立させる。

『論理的思考とは何か』(渡邉雅子)

 渡邉氏がここで言うように、こうした論文構成においては、実際上の思考過程と文章上の思考過程は逆になります。より正確に言えば、前半で実際の思考過程を逆行した後、後半で元に戻し実際の思考過程を順行して論を結びます。本来の思考過程では「いろいろ考えた結果こういう結論に至る」となりますが、先に結論を示すのであれば文章上では「これはこういう結論だ。なぜならこう考えたからだ。」と逆向きに考える必要があるわけです。これが、「書きながら考え、考えながら書く」小論文は構造上ありえない理由です。事前に、自分の言いたいこと(意見)が定まっていなければ、逆向きの思考過程で文章を構成することなどできるはずがありません。

言いたいこと(意見)が事前に定まっていないと小論文は書けない

 このように「いったん逆向きに考える」ことを行うため、あらかじめ自分の意見が自分の中で決まっていないとなりません。つまり、「書きながら考え、考えながら書く」ということは小論文の構成・構造上できないのです。あらかじめ考え、何を自分の意見として主張するのか決まった上でないと、「私はこう結論づける。なぜならこう考えたからだ。」と構成で書くことはできないということが、考えてみればわかるはずです。

 ですから、まず書く内容をある程度まとめて、自分の考えを事前にまとめることが必要です。その上で構成に従ってその文章をまとめていくのです。「とりあえず書き始めて落としどころを見つける」戦法は、小論文ではとれません。「考えをまとめてから書く」としないと、小論文を完成させることはできないのです。

 もちろん、小論文は試験時間内で仕上げなければならないものがほとんどです。そのため、小論文の作成においては時間の管理も求められます。「考えていたら書く時間がなくなってしまった」などという事態は絶対に避けるべきです。そのため、普段から、時間を意識しながら「考えをまとめてから書く」練習をすることが必要です。

まとめ ~作文と違って小論文は「考えをまとめてから書く」ことが大切!~

 以上のように、小論文は考えをまとめてからでないと書けない構造になっています。「書く中で自分の意見をまとめていこう」と思って書いているなら、その考え方そのものが大きな間違いです。

 「いつまで経っても『本題』に入らない小論文」というのもよく見かけます。課題文の要約にたっぷり字数を割いて、それに対する類似例をいくつか挙げて、そうこうしている間に自分の意見が「見えてきて」その段階でまとめる……、これでは評価の得られる小論文が書けるようにはなりません(※要約とその類似例は大きなくくりで言えば「課題要約」であり、小論文が「読み手に自分の意見を説得する文章」である以上、自分の意見が明確に提示されない限り、そこまでの内容は「小論文」ではありません)。これもまた、「書きながら考え、考えながら書いている」結果であり、「考えをまとめてから書く」ようにしないと是正されません。

 「小論文は考えをまとめた後に書く」、この考えを徹底するだけでも、あなたの小論文の上達が早まるはずです。

(小論文作成のためのサイトマップ)


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