生成AIに志望理由書を絶対に書かせてはいけない、3つの理由!【大学受験】
更新日:2026/05/03
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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
結論!AIに志望理由書を書かせるな!
生活の中で、AIの活用がだいぶ日常的なものとなってきました。そうした中で、「志望理由書をAIに書いてもらおう」とたくらむ人も増えてくるのではないか、と私は常々思っていました。
すると、私だけでなく多くの大人がそれは考えていたようで、昨年、大手大学受験予備校の河合塾がAIで作られた書類を検知できるシステムをすでに開発していました。なお、これは約30の大学で導入されているようです。こちらの記事は以前「つぶやき」でも紹介しました。
(河合塾がAIで作られた書類を検知するシステムを開発したことを伝える読売新聞の記事)
検出率は約70%。「100%じゃないじゃん」って思われるかもしれませんが、決して低くはない検出率です。はっきり言ってこういうシステムがある中で、「志望理由書をAIに書かせる」のはリスクがあります。正攻法で、大学受験の志望理由書は「自力で」書いた方がよいと言えます。
しかし、単に「こういうシステムがあるから志望理由書をAIに書かせるな」ということを、ここで言いたいのではありません。こういうシステムがあろうとなかろうと、志望理由書をAIに書かせるのは全く得策と言えません。ここでは、その明確な理由を3つ挙げて述べていきます。
理由1 面倒な長いプロンプト文が作れるくらいなら、あなたは「自力で」志望理由書が書ける!
前述の通り、私は以前から「志望理由書をAIで作る人が出てくること」を予測していました。そういうこともあり、以前本当にAIで作れるのかどうか試したことがあります。以下は、それの一部始終です。
最初は「私は大学受験生です。A大学○○学部××学科(※ここでは伏せたが、実際にある大学名・学部学科名を書いている)を志望しています。その志望理由書を800字で書いてください。」とだけ指示しました。10秒もかからず出力されました。読むと文章としてはおかしくありません。しかし、志望理由や活動実績はネット上のどこかから持ってきたものであり、当然「私」の経験や考えにないものです。無理もありません。AIは「私」が何者なのかわからないわけですから、「私」の経験したことなど知る由もありません。おそらく、ネット上にあるどこかの予備校サイトで出ている「志望理由書の例」から引っ張ってきた情報ではないか、と思います。この文章によると「私」はどうもテニス部に所属しているようです。「私」はそれを知りませんでした(笑)。また、ファクトチェックをすると、A大学を選んだ理由として挙げているものは、A大学のものではないことがわかりました。内容的に○○学部××学科の教育・研究内容と思われますが、どうやら別の大学の○○学部の情報を引っ張ってきたようです。こんな志望理由書は当然使い物になりません。一からやり直しです。
今度は「私」の個人情報を詳しく書きました。もちろん、これは〆野ではなく架空の「私」を作って書きました。現在どこの高校に通う何年生で、どういう部活に所属して、探究活動としていつどういうものをやって、趣味は何で、今興味・関心のあることは何で、将来について自分はこう考えているなど、事細かに「私」の情報を書きました。さらにA大学の情報を的確に引っ張ってきて欲しいので、A大学について細かく情報を書きました。加えて、参照するならこのサイトを見ろとA大学のサイトのURLも貼りました。こうした内容の約2000字のプロンプト文を作り指示を出しました。結果、まあまあ妥当な志望理由書ができました。
でも、いいですか?「800字の文章を作成させるのに、2000字のプロンプト文を書いた」んですよ?はっきり言ってこんなの割に合いませんよ。そんな2000字の文章を書ける力と時間があるなら、とっくに800字の文章なんか書けていますよね(笑)。途中で私(〆野)もこれに気が付きましたが、「一応実験としてやっている」ので最後までやりきりました。しかし、はっきり言ってこんなのバカみたいです。しかも、そのプロンプト文の中で「将来について私はこう考えている」と書いています。つまり、それが書けるならその段階で「もう志望理由書ができているも同然」であり、AIは私の2000字の文章を800字にただ要約しただけのことです。
「AIに書かせる」ということは、「時間短縮のため」や「書くことの手間から逃れるため」を期待してのことです。しかし、これではAIに書かせる意味がないですし、この長いプロンプト文を書けるなら、あなたは「自力で」志望理由書を書けるはずです。
理由2 AIの仕組みがわかっていない!
そもそも「志望理由書をAIに書かせる」という発想自体、おかしいと私は思います。志望理由書を書くということはその当人しかできないはずです。なぜなら、今までどんな学校生活を送ってきて、その中で何を体験して何に興味を持ち、これから先の進路をどのように考えているのかなんて、当人しか知りようがないからです。志望理由書をAIに書かせるというのは、赤の他人に書かせるのと同じことです。私がもし高校生に志望理由書を書いて欲しいと言われたら「書けません」と返します。それは技術的に書けないのではなく、私はその生徒当人ではないからです。もちろん、その高校生が必要な情報を全て私に教えてくれるなら書くことはできます。しかし、それは先ほどAIに2000字のプロンプトを書いて指示出ししたのと同じことです。あなた(高校生)が、私に提供する「志望理由書に書くべき情報」を過不足なく揃えられるなら、その時点で、もうあなたは自分で志望理由書が書けるはずです。
しかも、AIは私と違って、志望理由書として書くべき情報が整っていないとき「書けません」とは返しません。わからない(情報がない)ところには、ネット上にあるぼう大な情報の中から「それらしいもの」を引っ張ってきて「それらしく代用」して済まします。これで「できた」とあなたは錯覚させられてしまう、これがAIのこわいところです。
AIは、ネット上の情報から多くことを学び、その情報を集積し活用することについて人より長けています。しかしAIは「あなた」自身を学習していないわけですから、「あなたの志望理由書」を書けるわけがないでしょう。もっとも、AIにあなたが生まれてから今までの「18年間の人生経験の全て」をあなたの個人情報も含めて学習させるなら、話は別ですが……。
理由3 「自力で」志望理由書を書けない程の「学力」なら、他の試験に対応できるわけがない!
「文章を書くのが苦手」、そんなところから「ならばAIに書いてもらおう」という発想が出てくるのかもしれません。しかし、もしそう考えたならば、あなたは「大学受験」をなめ過ぎています。「大学受験」はそう甘くはありません。
あなたが首尾よくAIで志望理由書を作成できたとしましょうか。それが大学側からの評価を得られる内容のものだったとします。では、あなたはそれだけで合否が決まるとでも思っているのですか?
中には志望理由書を出しただけで受かる大学も探せばあるのかもしれませんが、私はそんな選抜試験を寡聞にして知りません。多くの大学受験は、志望理由書の提出以外にも、小論文や面接試験、それ以外の個別の教科試験が課されることが大半です。それらもまた合否の判定材料となります。
志望理由書のような「たかが800字の作文」を自力で書けない人が、作文より高度な小論文を書けるとは到底思えません。また、志望理由書を自らの頭で考えて書いていない人が、面接で十分に対応できるとは思えません。かりにAIに書かせた「いい内容の志望理由書」があっても、他の試験の結果を見れば「その志望理由書が自分で書いたものではないこと」は明白です。この段階で合格は難しくなります。「こんないい内容の志望理由書を書く人が何でこんな不十分な内容の小論文を書くのか?」、「志望理由書ではこんないいこと言っているのに、どうして面接で聞くとそれについて十分に答えられないのか?」と大学側にいぶかしがられて終わりでしょう。
まとめ ~AIに志望理由書を書かせてはいけない~
以上の理由から、AIに志望理由書を書かせてはいけないということがおわかりいただけたかと思います。楽をしようとAIにたよっても、上記で明らかなように楽にもなりませんし時間も短縮できません。また、AIによって楽に志望理由書ができたとしても、他の試験によって「それを自分の力で書いていないこと」が必ず大学側にわかってしまい、十分な評価を得ることができないでしょう。
ですから、正攻法で、志望理由書作成には取り組んでください。第一、AIのおかげで大学に合格できたとして、あなたは幸せですか?そこで手抜きして得した分は、必ず人生の中で別のかたちで損として返ってきます。
もちろん、AIそのものが悪いと言っているのではありません。これからの若い人たちは、AIと共存しながら生きていかなければなりません。そのとき、「AIの適切な活用」が求められることになります。ここで言いたいのは、志望理由書の作成についてはAIを活用するケースとして適切ではないということです。こういうことを知ることも、これからAIを活用していく上で非常に大切になってくると思います。
付記
「志望理由書をAIに書かせてはいけない理由」は、上記以外にも以下のようなものがあります。
【まだまだある志望理由書をAIに書かせてはいけない理由①】受験生の書いた答案にAI作成の答案を交ぜて評価した結果、受験生の書いた出願書類の方が点数が高かった。自分で書いた方が高い評価を得る。
https://news.yahoo.co.jp/articles/18bb966a21daa7491a5a8289633d0d848f4408a2(リンク切れ)
【まだまだある志望理由書をAIに書かせてはいけない理由②】早稲田国際教養学部は、26年度選抜から出願書類の提出をなくし、試験当日に会場で書かせることにした。これはAI封じ。会場で当日書かせるのは他でも増えるはず。やはり自力で書けないとダメ。
(AIも適切に使えば、学習効果を高めるツールになります。「適材適所」でAIを活用していきましょう。)
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