「くさかんむり」と「たけかんむり」の混同に注意!
更新日:2026/08/04
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導からよく見かける、中高生の間違えやすい表記を紹介し、世の中高生・受験生に警鐘を鳴らすのが、このシリーズ【間違えやすい表記】。
今日は「くさかんむり」と「たけかんむり」とで混同しやすい、「著」と「箸」、「薄」と「簿」について考えていきます。これらの漢字の冠部の表記を取り違えるケースを中高生の作文や小論文・志望理由書では多く見かけます。これらの書き分けについて、今日はお話ししていきます。
「くさかんむり」にしても「たけかんむり」にしても、これらは「部首」になります。そして、「くさかんむり」の場合は草に関係した漢字、「たけかんむり」の場合は竹に関係した漢字であるわけです。「部首」はその漢字における主要な意味をシンボリックに示すものであり、その「部首」によってその漢字が主にどういう意味とかかわるのかがわかります。ですから、これに限りませんが、原則的には、その漢字の意味を考えればその部首がそうであることは納得できるようになっているはずなんですね。
たとえば「箸(音:チョ 訓:はし)」は、ご存じの通り食べ物をつかむ、あの「おはし」が主要な意味です。料理に使う長いはしは「菜箸(さいばし)」、はしを置くための道具は「箸置き(はしおき)」、メインディッシュではない簡単な副菜を「箸休め(はしやすめ)」と言いますね。
この「箸」。なぜ「たけかんむり」かと言えば、それはおはしがもともと竹で作られていたことを起源としています。今でこそ、おはしというと木でできているイメージが強いですしまたプラスチック製のものなどもありますが、それは後世の話。そもそもおはしは「最初は2本の棒状ではなく、ピンセットのような"竹折箸"だった」と言います。中には青銅製のものがあったようですが「『箸』が戦国時代(中国)に現れ、この字には竹冠が使われている」ことからして、「当時から竹製のものが一般に使われていたのではないか」と推定されます。なお、「『竹筴』と呼ばれるピンセット状のものが戦国時代の湖北省の墓から出土している」そうです。
(wikipedia「箸」)
(農林水産省 特集2 お箸のはなし(1))
また、「簿(音:ボ・ホ・バク・ハク)」は、「帳面」を意味します。学期ごとの成績をまとめた帳面は「通信簿(つうしんぼ)」、その家の収入や支出を管理するための帳面は「家計簿(かけいぼ)」、たとえばクラスの生徒たちの名前をまとめた帳面は「名簿(めいぼ)」、そうした帳面の類をまとめて「帳簿(ちょうぼ)」と言ったりもします。つまり、記録や整理、管理のための帳面のことを「簿」と言います。
しかし、こうした帳面も今では紙のイメージが強いですが、古代中国では竹にそうした記録をしていました。紙が発明され普及するまでに使われていた、そうした竹製の記録用具を「竹簡(ちくかん)」と言います。竹製の細長い棒を紐でつづってそこに墨で文字を書き入れたのです。ちなみに、その竹簡を紐でつなげたかたちから「冊」という漢字が生まれ、またそれらを巻いて保存することから、今でもシリーズものの本を表わす単位に「巻」が使われています。このように「秦・漢代中国では、竹簡は広く利用されていた」と言います。「簿」に「たけかんむり」が使われているのはこうした所以からです。
(wikipedia「竹簡」)
(『竹簡について』馬場 基)
これは歴史の勉強ではないのであくまでざっくりでよいのですが、こうした歴史や背景などを知っておくと「箸」や「簿」が「くさかんむり」ではなく「たけかんむり」であると間違えずに覚えることができます。どっちかなと悩んだら、こうした漢字の、古代中国で成立した歴史背景などを考えてみてもいいかもしれません。「くさかんむり」と「たけかんむり」はたしかにかたちが似ていますからね。ですが、漢字は「表意文字」です。ひらがなやアルファベットとは異なり、そのかたちや構成を見ればヴィジュアル的にその漢字の意味がわかるようになっています。そうした漢字の特性を生かして、漢字を正しく覚えて正しく使ってください。
なお、「著(音:チョ・ジャク・チャク 訓:あらわ-す・ いちじる-しい)」はくさかんむりの下が「者」ですが、「箸(はし)」はたけかんむりの下の「者」の「日」の上に点がありますのでお間違えなきよう……。
(検索と引用では以下のサイトにお世話になりました)
(漢字辞典オンライン)
(Wikipedia)
(農林水産省)
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