志望理由書や小論文を書いていて送り仮名で違和感を覚えたら調べて確認してみた方がいい!
更新日:2026/04/27
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、文章作成における基本事項を紹介するのが、このシリーズ【文章作成の基本】。
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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
私が「違和感のある送り仮名」を慎重に調べるわけ
作文や小論文の添削に従事するようになって、少しブランクもありますが、おおよそ30年経ちます。また、今も3000近くの枚数の作文や小論文に目を通しています。その指導歴からか、「中高生が間違えやすい表記」は大体頭に入っています。みなさんが手書きして間違えやすい箇所は大体同じです。たとえば「『歳』の中を「示」にしてしまう」とか「『達』の中を『幸』としてしまう(横棒が一本足りない)」とか……。大体よく見かける間違いには即座に「センサー」が反応するようになりました。もう読んでて「部活動で頑張ったおかげで上達しました」なんてあると、「達」のところで間違えていないかどうか緊張の糸が張り詰めるくらいにはなっています。
(そうした中高生が作文や小論文で間違えやすい表記は記事としてまとめて、下のマガジンにシリーズとしてまとめています。そもそも自分の「備忘録」としてまとめた記事シリーズですが、中高生よりもむしろ同業の予備校の小論文講師や作文の先生に好評を博しております(笑))
しかし、そんな私にもいまだに自信がいまいちなくて、添削指導の際に時折手をとめてそれが正しいのかどうか調べてしまうものがあります。それは「送り仮名」の正誤です。近代まで送り仮名の統一されたルールはありませんでした。つまりみんなが思い思いに「送っていた」のです。しかし、文部省が他の表記と共に統一を図ることになりました。そして、今では文化庁(文部科学省)が告示するルール(通則)に基づき、常用漢字の音訓を用いて表記するようになっています。小中高の国語科の漢字教育で指導される「送り仮名」はこれに則っています。ただ、これは何度か改訂(および改定)されています。ここが注意しなければならないところです。
送り仮名の付け方の基本原則は、昭和48年6月18日内閣告示第1号です。そしてその後、一部改訂を行っています。極めつけは、平成22年の改定です。平成22年11月30日の常用漢字表の改定に伴い、約500の語例が新しい漢字表に合わせて更新されました。これに伴い、新しく送り仮名の付け方を改定したのです。
(「送り仮名の付け方」に関する改訂および改定の歴史)
(1)送り仮名の付け方(昭和48年6月18日内閣告示2号)
(2)「送り仮名の付け方」の実施について(昭和48年6月18日内閣訓令第2号)
(3)常用漢字表(平成22年11月30日内閣告示第2号)
(4)公用文における漢字使用等について(平成22年11月30日内閣訓令第1号)
(5)法令における漢字使用等について(平成22年11月30日内閣法制局総総第208号)
ですから「自身が習った「送り仮名」が今の原則から言うと誤りになっている」可能性もあるわけです。自分は長年こういう風に送り仮名を送っていて問題はなかったからこれが正しいのだと思い込んで添削指導をしてしまうとむしろこっちが間違えていた、なんてこともあり得ます。私が送り仮名にいまいち自信が持てない理由とはこういうことです。特に平成22年は2010年です。私はとっくに社会人になっています。当然、この2010年以降に小中高で新しく教えられている送り仮名を、私は実際には学校で習っていません。ですから、これが正しいと自分で思い込んでいることが2010年以降の通則に照らし合わせると誤っていたなんてことがあるわけです。ご家庭でもお子さんに漢字を教えることなどあるかと思いますが、「自分の常識」で教えてしまうと「今学校で教えられていることと違う」なんてことがありますから、保護者の方も注意された方がよいでしょう。
正しい送り仮名を確認するには?(文化庁「送り仮名の付け方」の見方)
もしもあなたが中高生で作文や小論文を書いている最中にその送り仮名が正しいかどうかを調べたいのでしたら、ネット検索や国語辞典・漢和辞典で調べるのもよいですが、合わせて文化庁(文科省)のホームページに掲載されている「送り仮名の付け方」に当たっていただきたいです。その方がより確実だからです。
(文化庁「送り仮名の付け方」)
ただ、表現が少し独特なので、ちょっと使われている用語を説明しておきます。この「送り仮名の付け方」(通則)には「本則」と「例外」、あと「許容」というのがあります。まず「本則」とは基本原則です。大多数のものはこの「本則」に従って送り仮名をつけるということです。次に「例外」。これはある特定の漢字に関してはこの「本則」から外れた運用をするということです。その「例外」となる漢字がここにまとめられています。最後に「許容」ですが、これは「この送り仮名でも一応許されますよ」ということです。基本的に正しいのは「本則」の通りですが「別の送り仮名も認められていますよ」というものです。これは「まるかっこ」の中に表記されています。
例を挙げて説明しましょう。
(「送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則1」)
「送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則1」によると「本則」は「活用のある語(通則2を適用する語を除く。)は,活用語尾を送る。」とあります。条件つきですがこのことはとりあえず置いておいて、要は「活用のある語については活用語尾を送るのが基本原則だ」ということです。次に「例外」はその基本原則に従わない漢字がまとめられています。たとえば、その中の一つ「関わる」を挙げると、これは「〈未然〉関わら―ない 〈連用〉関わり―ます 〈終止〉関わる―。 〈連体〉関わる―とき 〈仮定〉関われ―ば 〈命令〉関われ―。」と活用しますから活用語尾(活用する箇所)は「る」以降です。そうすると基本原則(本則)に従えば「関る」と送ることになります。しかし、この漢字は「例外」に当たるため「関わる」と送るのが正しい、ということです。最後に「許容」ですが、ここに「次の語は,( )の中に示すように,活用語尾の前の音節から送ることができる。」とあります。たとえば「表す(表わす)」とあります。これは「表す」が基本正しいけれど「表わす」でも許される(一応OK)ということです。ですから、「『表わす』を間違いだとする」のは「間違い」ということになります。
「本則」を確認した後に「例外」や「許容」を確認しよう
その漢字の送り仮名が誤りかどうかを確認するには、「本則」を確認した後に「例外」や「許容」を確認するという手順を踏むとよいでしょう。
ここで例を挙げます。「異る(ことなる)」と「行なう(おこなう)」について、先ほどの「送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則1」で確認していくとしましょう。まず、本則に従えば「活用語尾を送る」とのことでした。「異る(ことなる)」の活用を確認してみます。
〈未然〉ことなら―ない
〈連用〉ことなり―ます
〈終止〉ことなる―。
〈連体〉ことなる―とき
〈仮定〉ことなれ―ば
〈命令〉ことなれ―。
以上から、語幹(活用しない部分)は「ことな」で活用語尾(活用する部分)は「る」以降となります。すると「本則」に従えば「異る」となるはずです。しかし、これが正しいかというとそうではありません。「例外」の「(3) 次の語は,次に示すように送る。」の中に「異なる」とあります。つまり、「異る」は誤りでこの場合は例外的に「異なる」とするのが正しいということがわかります。
次に「行なう(おこなう)」を見てみます。まずは活用させてみます。
〈未然〉おこなわ―ない
〈連用〉おこない―ます
〈終止〉おこなう―。
〈連体〉おこなう―とき
〈仮定〉おこなえ―ば
〈命令〉おこなえ―。
以上から、語幹は「おこな」で活用語尾は「う」以降となります。すると「本則」に従えば「行う」が正しいとなります。では、「行なう」は誤りでしょうか。そこで「許容」を見ます。すると、「行う(行なう)」とあります。したがって、「行なう」は誤りではないということになります。ただし「『行う』の方が基本原則に従った一般的な表記」と言えます。ですから、間違いとは言えませんが「行なう」より「行う」の方が望ましい、とは言えます。
まとめ ~違和感のある送り仮名は必ず文化庁の「送り仮名の付け方」で確認すること~
作文や小論文を書いているときに、「あれ?この送り仮名どうだったっけ?」とか「どっちの送り仮名が正しいのかな?」と迷うことがあります。そんなときに、もしネットで調べられる環境があるなら文化庁のホームページにある「送り仮名の付け方」を参照してみてください。何が正しいのか、ここで確認することができます(小論文試験の本番はもちろん参照することはできないので、本番までに「よく使う漢字の送り仮名」はあらかじめチェックしておいてください)。
最後に通則の要点を確認しておきましょう。いわば送り仮名を付ける上での主要な「大原則」です。「例外」や「許容」などが細かくありますが、これをチェックしておけばおおむね問題はないかと思われます。
①活用語は原則活用語尾を送る。
②複合語はそれぞれの送り仮名を付ける(例:取り扱う ただし「取扱う」も許容)
③(活用語から転じた)名詞は原則送り仮名を付けない(例:〇割引 ✕割り引き ただし「割り引く」は動詞なのでその連用形は「割り引き」が正しい)
とはいえ、送り仮名は例外則が多いです。もし、あなたが受験生で作文や小論文を書いている中でその送り仮名が正しいかどうか自信がないとなった場合は、そこを漢字ではなくかな書きにして回避するのも一つの手ではあります(作文や小論文は「漢字テスト」ではありませんので)。もちろん、それが「国語の漢字テスト」ならばもう逃げようがありませんが(笑)。
(なお、下の「文部科学省 公用文 送り仮名用例集」も検索に役立ちます)
(常用漢字表の改定に伴って12年ぶりに改訂した、こちらの本もおすすめ。ただちょっとプロユースかな。いわゆる「先生」業の方におすすめできます。)
「志望理由書の書き方」にお悩みの方には、こちらの「〆野式テンプレ志望理由書作成法」がオススメ!
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