スタグフレーション時代に、輝きを増すシルバー!

第1章 銀には「2つのエンジン」がある——なぜ今、銀を語るのか
ほとんどの資産は、スタグフレーションに単純に反応する
資産の多くは、スタグフレーションに対してシンプルな反応を示します。
・債券は名目利回りが固定されているため、インフレ率が利回りを上回ると実質的な価値が目減りします
・株式は企業収益の成長を前提に評価されるため、景気が鈍化すると収益期待が下がり、株価の下押し圧力が強まります
・現金はインフレによって価値が目減りします
・金は相対的に有利な資産になります——インフレが高いのに利下げもできず利上げもできないFRBが金利を据え置き続けると、実質利回りはほぼゼロに近い状態が続きます。利息を生まない金にとって、実質利回りがゼロに近い環境は最も保有コストが低く、相対的な魅力が高まります
この「金が有利」という構図は、すでに多くの投資家に知られています。
では、銀はどうでしょうか。
銀は、もう少し複雑な動き方をします。金と同じ「通貨的な資産」として機能しながら、同時に「工業原料」としても大量に消費される——この二重性こそが、銀を他の資産と根本的に異なるものにしています。
銀の2つの需要源
銀の需要は、大きく2つに分かれます。
・通貨的需要:価値の保存手段として保有される。安全資産として購入され、金と連動して動く
・工業的需要:太陽光パネル、電気自動車、半導体、医療機器、AIデータセンターのインフラなどに消費される
シルバー・インスティテュートのデータによれば、世界の銀需要の約58%が工業用途から来ています。
通常の景気サイクルでは、この2つは逆の動きをします。
・成長が強くインフレが落ち着いている局面:工業需要は伸びるが、通貨的な需要は後退する
・景気後退局面:通貨的な需要は強まるが、工業需要は経済と一緒に縮む
この「2つの需要が逆方向に動く構造」が、銀が金よりも歴史的にボラティリティが高い理由です。2つのエンジンが同時に動くことは、めったにありません。
スタグフレーションは、その例外
通常の景気サイクルでは、銀の2つの需要は必ずどちらかが弱まります。成長が強ければ工業需要は伸びますが、安全資産としての銀を持つ必要性が薄れます。景気が後退すれば通貨的な需要は高まりますが、工業需要が経済と一緒に縮みます。2つが同時に強まることは、通常ありません。
しかし、今回のスタグフレーションはその例外です。インフレが続くことで通貨的な需要が高まり、同時に工業需要も落ちない理由があります。その理由を次章以降で順を追って説明します。
そして、もう一つ見落とせない事実があります。銀の供給赤字はすでに6年目に入り、金銀比率は2000年以降の平均である60〜68:1の範囲内にあります。需要だけでなく、供給側にも異変が起きている。価格が示しているものと、市場の実態の間にずれがある——それがこの記事で伝えたいことです。
このメカニズムを順を追って説明します。

第2章 スタグフレーションで2つのエンジンが同時に動く理由
今、米国経済で何が起きているか
スタグフレーションとは、「高インフレ」と「低成長」が同時に続く状態のことです。
2026年5月28日発表のデータによれば、2026年4月のPCE(個人消費支出デフレーター)は3.8%。2026年第1四半期のGDP成長率は1.6%で、トレンドを下回っています。
FRBはこの状況をFRBはこの状況を打開する手段を持っていません。(日銀も同じです)
・利下げすれば、3.8%のインフレを容認するシグナルを送ることになる
・積極的な利上げに踏み切れば、1.6%の成長がマイナスに転じるリスクがある
FRBは身動きが取れない状態です。市場はすでに2026年の利下げを完全に織り込みから外しており、誰も引き金を引きたくない「利上げの可能性」を価格に反映し始めています。
金融抑圧という現実
これは「金融抑圧」と呼ばれる状態です。
金融抑圧とは、インフレ率が金利を上回ることで、預金や債券を持っている人の資産が実質的に目減りし続ける状況を指します。政府や中央銀行が意図的に低金利を維持することで債務の実質的な負担を軽くする一方、そのコストを貯蓄者が負わされる構造です。

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法定通貨の増刷と膨張する国家債務危機から資産を守り抜く「資産防衛」の観点から、金・銀・銅をはじめとする「実物資産」およびコモディティの構造…
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