【IMAX推奨】マイケルが笑うたびに、切なかった【音楽好きが観た】
マイケルの映画を観てきました。

冒頭を観た時点で、早くも「もう一度観たい」と思った作品です。
今回はIMAXで鑑賞したのですが、これが大正解。
四半世紀前に愛聴していたリマスタリングCDとは大違いで、ジャクソン5時代の大好きな曲たちが生まれ変わったようでした。ライブシーンの歓声はまるで上から降ってくるよう。
本当に歓声を浴びているような感覚になりました。
そして何より、子ども時代のマイケルがかわいい!
まつげなんて嘘みたいに長いし、笑顔も仕草もとにかく愛らしいのに、歌い始めると空気が変わります。
なめらかで完成された動きや歌唱は震えるほど芸術的で、私は何度も涙が出ました。
レコーディング中、何度も「ステップを踏むな」と注意される場面も忘れられません。
指示を守って動かず歌うと、途端に歌いにくそうになるマイケル。
歌うことと踊ることがぴったり合体していて、本人の中では同じもののように見えました。
今回映画を観るきっかけになったのは、マイケルを演じるジャファー・ジャクソンの、なんとも言えない「心に引っかかる」笑顔でした。
公開前から写真や映像を見ていて、その表情に妙に惹かれるものがありました。
実際に観ると、その期待をはるかに超えていました。
子ども時代のマイケル役も、青年期のマイケル役も顔から声から本当に素晴らしかったです。
それこそ憑依だったのだと思います。
クインシー・ジョーンズ役も最高でした。
私たちのぼんやりした記憶の中にある「クインシー感」と完全一致。笑
本人にそっくりというより、「そうそう、こういう感じ!」と思わせる絶妙さでした。
身近にマイケルのガチファンがいるのですが、この映画にはあまり興味がないそうです。
その人は一筋縄ではいかないので、たぶん飛びつかないだろうとは思っていました。笑
私はマイケルが好きではありますが、熱心なファンというほどではありません。
だからこそ先入観なく観られた部分もあったのかもしれません。
観ていてずっと気になったのは、マイケルの笑顔です。
美しく口角が上がった、とびきりまぶしい笑顔なのに、切ない。
笑顔を見せるたびに悲哀がにじんで、見ているこちらは胸を締め付けられるような感覚がありました。
昔からマイケルを見ていると、人類と分類することにどこか違和感を感じていたのですが、その理由が少しわかった気がしました。
あの独特の話し方も含めて、男性とか女性とか、大人とか子どもとか、そういう枠組みがだんだん意味を失っていくのです。
表情も、青年に見えたかと思えば少年に見え、少女のような無垢さと女性のような妖艶さが同居している。
マイケルの生い立ちや才能から来る何かが、こちらの性別や年齢の認識そのものを吹き飛ばしてしまうのかもしれません。
でも、ネバーランドの動物たちやバブルスに話しかけている時だけは別でした。
あの時だけは完全にオフモードで、世界中から向けられる期待やプレッシャーをすべて下ろしているように見えたのです。
やけどで入院中の病室に、特大のミッキーマウスのぬいぐるみが届けられるシーンも忘れられません。
当時のマイケルはすでに30代半ば。
十分に大人なのですが、かわいいものに囲まれて嬉しそうにしている姿を見ていると、子どもの頃に甘えそびれたままここまで来てしまった人が、今になって心の空洞を埋めながらバランスを取っているようにも見えました。
映画を観ていて何度も感じたのは、マイケルの愛情深さでした。
映画の中では、父親との複雑な関係も描かれます。
利用され、傷つけられた部分もあったはずなのに、マイケルはただ拒絶するのではなく、自分なりの距離感を探しながら向き合おうとしていました。
「家族のために何かしたい」と語る姿も印象に残りました。
実際に行われたツアーの描写からも、複雑な思いを抱えながらも家族との関係を完全には切り捨てられなかったことが伝わってきます。
また、やけどで入院している時には、自分自身も大変な状況のはずなのに、重篤な患者さんたちの病室を訪ね、笑顔で声をかけて回ります。
トレードマークのキラキラグローブを片手にはめ、病室を回る姿。
あれはマイケルが本当にしたいことのように見えました。
そのシーンは一度ではなく、何度も描かれていました。
愛情を求めていた人でありながら、自分からも惜しみなく愛情を配ろうとしていた人。
私はそんなふうに見えました。
バブルスはさすがにCG感がありましたが(笑)、あの存在がマイケルの孤独を象徴していたのは確かだと思います。
天才であること。
そして毒親のもとで育ったこと。
その両方が生んだ孤独を見ているような映画でした。
歌やダンスの凄さはもちろんですが、私の中に最後まで残ったのは、スターとしてのマイケル以上に、人としてのマイケルでした。
