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閾値・サプリ・復帰…その判断、科学だと逆になります。って言ったら信じる?


エンデュランス競技は、努力が報われやすい一方で「定番の正解」が多すぎます。
閾値走はキツいほど効く?ビートルートは誰でも効く?軽い風邪なら動いて治す?——ところが近年の研究を見ると、これらは“条件つき”でしか成り立ちません。この記事では、情報ノイズを削ぎ落とし、直感に反するけれど現場で使える「5つの意外な事実」を整理します。読み終えたら、次の1週間の練習(または休養)の設計が、もう少しクリアになるはずです。

1)閾値は「追い込む」より「管理する」が強い

ノルウェーの強豪が象徴するのは、「限界まで踏む」のではなく、閾値域を“乳酸で管理”して反復可能性を上げる発想です。ポイントは、強度を“少し超える”だけでダメージが跳ね上がる帯域を、あえてコントロールして積み上げること。研究レビューでは、血中乳酸を目標レンジ(例:2〜4.5 mmol/L)に合わせ、反復の途中でも測って微調整する運用が紹介されています。MDPI

明日からの落とし込み(乳酸計がない場合)

  • いつ:週1回から(慣れても週2まで)

  • どこで:起伏の少ない周回 or トレッドミル

  • 何を:閾値“手前〜ちょうど”のインターバルを複数本

  • どう:

    • 目安は「会話は短文なら可能/呼吸は深いが破綻しない」

    • 1本目から同じ強度で揃える(後半に上げない)

    • 終了後「明日も走れる余白」を残す(ここが肝です)

2)そのサプリ、本当に“その場面”で効きますか?

サプリは「効く/効かない」より、どんな競技・局面・環境で効くかが本質です。たとえば、

  • βアラニン:28日摂取で筋カルノシンは増えても、模擬ロード(約125分)終盤の4km登坂TTは改善しなかった試験があります。

  • ビートルート(硝酸塩):持久系のトレーニングを積んだ男性で、高地相当(低酸素)でも反復走の限界時間が改善しなかった報告があります。

  • カフェイン+タウリン:35℃の暑熱下サイクリングでは、摂取しても疲労困憊までの時間が伸びませんでした(むしろ代謝負担が上がる所見)。

  • さらに疾患文脈では、COPD対象の試験で酸素コストや6分間歩行が改善しなかった報告もあります。PubMed+3PubMed+3PubMed+3

失敗しない“文脈チェック”

  1. 勝負どころの運動時間は?(数分なのか、10分超なのか)

  2. 環境は?(暑熱・高地・補給制限で効果が変わる)

  3. あなたのレベルは?(初心者で出た効果が上級者で再現しないことも)

  4. 副作用は許容できる?(胃腸・睡眠・心拍の乱れ)

3)最高の伸びは「同じ計画の継続」ではなく“切り替え”で起きる

トレーニング強度分布(TID)には、ざっくりピラミッド型ポーラライズド型があります。興味深いのは、16週間の介入で「ピラミッド→ポーラライズド」と8週ごとに切り替えた群が、VO2peakや乳酸関連指標、5kmTTで最大の改善を示した点です。PubMed

忙しい社会人向け:8週+8週の超シンプル設計

  • 前半8週(ピラミッド):

    • 低強度を厚く、閾値を“少量”混ぜる(耐性づくり)

  • 後半8週(ポーラライズド):

    • 閾値を減らし、高強度を“点で入れる”(ピーキング寄り)

  • 共通ルール:総負荷(週の練習時間・距離)は急に増やさない

4)カフェインは万能ではない。「どこに効くか」が毎回違う

カフェインは有名なエルゴジェニックですが、実務でハマるのはここです。
同じ人でも「朝の軽負荷」「夕方の高負荷」「上半身/下半身」「スピード狙い/回数狙い」で、体感がズレます。

おすすめは“自分でA/Bテスト”

  • いつ:重要練習の前ではなく、普通のポイント練で

  • どう:同じコース・同じ時間帯で「摂る日/摂らない日」を交互に

  • 何を見る:心拍の上がり方、RPE(きつさ)、後半の粘り、睡眠の質
    ※「効いたのに睡眠が崩れた」は、翌週トータルでマイナスになりやすいので要注意です。

5)「軽症」でも復帰は“段階的”が安全で速い

病み上がりは、焦りが最強の敵です。COVID-19後のエンデュランス選手調査では、動悸・疲労・息切れ・高強度で走れないといった訴えが多く、心理面の負担も示されています。PubMed
またIOCのコンセンサスも、呼吸器感染後は症状と重症度を踏まえた段階的な復帰を含む実践的アプローチを扱っています。PubMed

復帰の“ざっくり5段階”

  1. まず日常で症状ゼロ(睡眠・食欲・安静時の違和感)

  2. 低強度20〜30分(息が上がらない)

  3. 低強度を少し延長(翌日に疲労が残らない)

  4. テンポ手前を“少量”

  5. いつものポイント練へ
    胸の痛み、強い息切れ、動悸、発熱が続く場合は中断して医療者に相談してください。

※本記事は一般情報です。体調・既往歴がある場合は医師や専門職の指示を優先してください。

まとめ(要点3つ)

  1. 閾値は「根性」より「管理」で積み上がる

  2. サプリは“成分”より“文脈”で当たり外れが決まる

  3. 伸び悩みは「計画の切り替え」と「復帰の段階化」で突破しやすい

アクション(次の一手)

次の2週間だけでいいので、①ポイント練の狙い(閾値/VO2/脚づくり)を1行でメモし、終わったら**②「明日もできる余白があったか」**を10点満点で記録してみてください。

コメント欄で教えてください。

あなたが「実は効果がなかった(逆に調子を崩した)」トレーニング法・サプリは何でしたか?

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参考文献

  1. Casado A, Foster C, Bakken M, Tjelta LI, 2023, Does Lactate-Guided Threshold Interval Training… Int J Environ Res Public Health(doi:10.3390/ijerph20053782)

  2. Perim P, et al., 2021/2022, Beta-alanine did not improve high-intensity performance…(PubMed PMID: 34092191)

  3. Robinson GP, et al., 2021, Influence of Dietary Nitrate Supplementation… Int J Sport Nutr Exerc Metab(PubMed PMID: 33260146)

  4. Shepherd AI, et al., 2015, The effect of dietary nitrate supplementation… Nitric Oxide(PubMed PMID: 25596150)

  5. Aggett J, et al., 2025, Acute Effects of Caffeine and Taurine Co-Ingestion… Eur J Sport Sci(PubMed PMID: 40956767)

  6. Filipas L, et al., 2021/2022, Effects of 16 weeks of pyramidal and polarized training… Scand J Med Sci Sports(PubMed PMID: 34792817)

  7. Haley CA, et al., 2024, ‘Every Run Is Hard’: Endurance Athletes’ Experiences… Transl Sports Med(PubMed PMID: 39651452)

  8. Schwellnus M, et al., 2022, IOC consensus statement on acute respiratory illness in athletes… Br J Sports Med(PubMed PMID: 35863871)



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