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真矢の訃報によせて

今日の日付をまたいだ頃に、LUNA SEA のドラマー真矢が2月17日に逝去したと発表された。享年56歳。2020年にステージ4の大腸がんと診断され、ライブ活動のかたわらで7回の手術と投薬・放射線治療による闘病生活を続けていたが、昨年夏には新たに脳腫瘍が発覚。それから活動を休止して治療に専念し、懸命にリハビリを続けてきたとのことだが、復帰は叶わなかった。病状が病状なだけにある程度覚悟はしていたものの、実際にその時が来るとやはり悲しく残念だし、頭の中の整理はついていない。

自分が初めて買った LUNA SEA の CD は、1997年の各メンバーのソロ期間の終わりにリリースされた "SINGLES" だったので、実質的にきちんと聴いた LUNA SEA の最初の曲は "BELIEVE" になる。まだ聴いたことのない人も何百回と聴いてきたという人も、改めてこの曲を聴いてほしい。イントロ開始数秒で放たれるドラムのフィルイン。荒々しい勢いの中に艶のあるタムの音色を絡めた、インパクト抜群のワンフレーズ。この時点で "BELIEVE" という楽曲の世界観が、目の眩むような鮮烈さで瞬間的に広がるのが伝わる。そして師匠そうる透直伝の、重さ・鋭さ・軽快さのすべてを兼ね備えたタイトなドラムサウンド。足腰が強くて華があるし、シンコペーションを効果的に交えた疾走感を強調し、フィルを入れてもきめ細やかさがまるで崩れる様子がない。思わず惚れ惚れする美しさだ。この1年前に発表された "Déjàvu" にしても、イントロ出だしやAメロパートでの、何ならギター以上にメロディックなタム回しの華麗さ、そして手数が多くなってもバタつかないスムーズさが際立つ。30年以上前のデビュー曲の時点で、真矢というドラマーの個性は明らかに突出していた。

その真矢のスタイルが最初の完成に到達したのが、言わずと知れた名曲中の名曲 "ROSIER" である。楽曲全体の持つ焦燥感や緊迫感が、今度はハイハット2カウントからのわずか二打に凝縮されている。執拗なまでに繰り返されるシンコペーションはヴィジュアル系ロックの基本中の基本としてすっかり定着したが、一見スクエアなようで絶妙に跳ねたグルーヴがうねりを生んでいるのも見逃せない。ファストな楽曲でも前のめりで衝動的というよりは、どっしりと腰の据わった安定感があるのだ。「歌を邪魔しないドラム」がバンドをやる上での彼の信条であったが、それは無難という言葉からは程遠いものだった。むしろその骨格の強く鮮やかなプレイは十分に記名的で、だからこそボーカル並びにアクの強い他のメンバーとも同等に拮抗し、アンサンブルをさらに加速させられたのだ。

そして当然、ミドル〜スロウテンポの演奏も極上なものだ。ライブでは豪快な銅鑼の一撃から始まる "FACE TO FACE" では、大らかでダイナミックなグルーヴがハードロック的とも言えるし、圧が強く緻密にスクエアなプレイがインダストリアル的とも受け取れるが、いずれにしても一打一打の強烈な存在感が凄まじく、音と音の間に生まれる重厚なタメの感覚にも圧倒される。これもまた真矢の真骨頂である。この鋭敏な身体的センスは後のミクスチャーロックに急接近した "Sweetest Coma Again" "KISS" などでも存分に発揮されており、どれもタフな聴き応えがある。前にも後ろにも寄りすぎない真矢の卓越したタイム感が常に維持されている所以だろう。

LUNA SEA 復活後にも触れておきたい。ライブでの真矢のドラムソロは元来から、1996年の横浜スタジアム公演におけるドラムセット360度回転に代表されるように、あの手この手の演出が盛り込まれ、なおかつ観客とのコールアンドレスポンスによって成立する、非常にエンターテインメント性の高いものだった。そこでの翼を得た虎のごとくエネルギッシュにドラムを打ち鳴らす真矢のプレイは、歌モノの形式を取っ払ってどれだけフリーになったとしても、常に他者を意識しており、ロック本来の熱量やカタルシスを失わずにいたと思う。2017年発表の "LUV" 収録曲 "Ride the Beat, Ride the Dream" は INORAN とのセッションで完成したインストゥルメンタル曲であり、真矢のドラムソロを念頭に置いて作られた楽曲でもある。EDM 風の編集が全体に施されてはいるが生々しい音圧も活かされており、音だけで真矢の荒れ狂う様子が頭に浮かんでくるし、豪胆かつきめ細やかなタッチの演奏が堪能できる。そう、いかにも真矢らしい。これこそが真矢なのだ。

真矢さんへ。LUNA SEA が今ほど巨大な存在になったのはあなたがいなければ成し得なかったことだろうし、あなたの演奏に興奮させられ、あなたの朗らかなキャラクターに癒されてきたことは数知れません。LUNA SEA はまだ今後も続くはずだし、あなたの魂も弟子の淳士を筆頭に多くの後輩ドラマーが受け継いでくれると思います。心よりご冥福をお祈りいたします。本当にありがとうございました。

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