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【完全理解マップ付】AWAZARUKAS - A 全曲感想

はじめに

AWAZARUKASとは、かれこれ8年以上の付き合いになります。
私が不定期でやっていたイベントに、YUNGYU氏率いるFAKAXA(惜しまれつつ解散😢)をお呼びした時、Takut氏がバックDJとして同行していたのが最初かと記憶しています。
▼ 当時のフライヤー(tidal flow vol.3 @池袋knot)

今見るとえげつないメンツ
Stroll Kidzは、LEAP氏がR'kuma(現OZworld)やKKなど沖縄の有望な若手を束ねてたすげえクルー
Anatomia、元気してるか…?

それから、AWAZARUKASには同イベントでライブしていただいたり、Takut氏は私の家で夜を明かして朝方車で帰っていく(川崎市→寄居町)という謎イベントがあったりしました。
このように(どのように?)、AWAZARUKASのキャリアのほとんどをこっそりと覗いてきた私が、満を持して解禁された1stアルバム『A』を聴いて、
居ても立っても居られなくなり主観マシマシの感想文を書くことにしました。
ただ、それだけでは読む皆さんにメリットが無さすぎるので、『A』の「完全理解マップ」なるものを作りました。
アルバムをもう一周する時のお供としてご査収くださいませ。

AWAZARUKAS - 『A』 基本情報

トラックリスト

1 大里郡(Produced by ttttttt)
2 俺は寄居町のラッパー(Produced by ttttttt)
3 俺たちアワザルカス超絶好調(Produced by ttttttt)
4 なかなか田舎(Produced by K BoW)
5 車でGO!(Produced by K BoW)
6 鉢形城Freestyle(Produced by ttttttt)
7 奪われし焼肉の地(Produced by ttttttt)
8 BOUNCE!!!(Produced by BUMPY OLD FRESH&ttttttt)
9 車でGO!part2 feat. Daedalbwoy(Produced by ttttttt)
10 チチブオンドォ(Produced by trmsc.)
11 R140 feat. YUNGYU(Produced by ttttttt)
12 中間平(Produced by ttttttt)
13 Life Size BGM feat. YAV & kou-kei(Produced by ttttttt)
14 俺たちこの場所で生きてる(Produced by trmsc.)
15 Feelin(Produced by K BoW)
16 A・W・A・Z・A・R・U・K・A・S(Produced by ttttttt)

アーティストプロフィール

2014年結成。埼玉県大里郡寄居町桜沢を活動拠点にするヒップホップクルー、AWAZARUKAS。思わずブチ上がってしまうライブは必見の価値あり。メンバーはTakut、DSK、D.E.Vの三名。最先端のビートに三者三様のフロウと多種多様なメッセージやテーマが合わさり、フロアを盛り上げる力を持っている。 これまで、スペースシャワーTVの番組『BLACKFILE』内の人気コーナー、『オタク IN THA HOOD』への出演や、雑誌『Tarzan』からの取材、拠点にしている寄居町が発行している行政誌からのインタビューなど、多様なメディアから注目を集めている。そして、結成から10年目を迎えた今年は、ついに1st ALBUM『A』をリリース。 さらに、SUSHIBOYSのワンマンライブのオープニングアクトに任されるなど、その勢いは止まらない。

『A』完全理解マップ

アルバムに出てくる地名や固有名詞を可能な限りGoogleマップに登録してリスト化しました!総数35(後から追加するかも)。

対応する歌詞・曲名もほぼ全て記載!暇か?

地図で見ると、いかに狭い範囲での出来事が各曲のトピックとして落とし込まれているかが分かります。
皆さんも、彼らの寄居町ライフを追体験してみてください。
※ちなみにTakut氏の検閲済みなのでほぼ公式です

【おまけ】タイトルの読み方

なんと『A』の読み方が「自分たちでもわかってない」とのこと。
これまでにEP『WA (2022)』『ZARU (2019)』『KAS (2019)』をリリースしていて、文字としては「A」だけが残っている状態。
ここにアルバムが『A』と来たら、読み方は「あ」でしょうな!!というのが私の見解です。どう?

全曲感想

1 大里郡 [既発]*

※ *を付けたのは、アルバム以前にシングルカットされているものの、いずれも2024年配信かつ他EPなどに未収録の曲。本アルバムを意識して制作されたと推測。

重心低めのトラックの上で、3人による一貫したローカルトピックが炸裂し、まさにアルバムの始まりを告げる鏑矢のような曲。
「大里郡俺たち最後の生き残り」が繰り返されるhookについては、こちらのツイートが分かりやすいです(ゴゴニャンタ氏に絶賛されてるのもテンションぶち上がりました)。

個人的に好きな所。
最後のこの部分がキャッチーすぎる!

『何もない』が寄居だから
俺都会とか行かない
他の町とか良い
のかな?(選択肢!!!)
寄居町以外はない 大里郡

AWAZARUKAS - 大里郡 (A, 2024)

地方特有?の、現状維持以外の選択肢が見えにくくなる感覚と、AWAZARUKASでカマすんだという背水の陣的な覚悟が滲み出る最高のパートです。
しかもここからベースが歪みがかっていて、"次の曲"への導線になってるというギミック。アルバムとしての仕上げっぷりが凄い。

2 俺は寄居町のラッパー [既発]

初出は2021年のシングル。この時からめっちゃ聴いてた。

当時、日本語ラップのTrap Metalであまりしっくり来るものが見つけられてなくて、そこに絶妙なバランス感のこの曲が沁みました。
AWAZARUKASの通念とも言うべきか、「サウンドのトレンド感とラップのいなたさのギャップ」の強度がこの曲で一段階上がった印象です。
リリックで言うと、Takut氏の

なんで、あのおばさん
後ろ向きでWalking
つま先立ちマン
正喜橋コンビニ前降臨

AWAZARUKAS - 俺は寄居町のラッパー (Single, 2021)

のローカル変人確変タイムが狂おしいほど好き。どんな地域なんだ…
DSK氏の「Fuck'n 荒川 Burning ダンボールタワー」からの疾走感も最高!
D.E.V氏のローカル感満載のリリックも、それこそマップ見ながら聴き返すとより味わい深くなるかと。
とにかく、このクルーの代表曲の一つと言って過言でないです。

補足: Trap Metal(ガバガバ理解)
その名の通りメタルに寄ったトラップのサブジャンル。2010年代後半〜20年代初頭に流行った。ベースが恐ろしく割れてる。
最近はRageに吸収合併された感あり?

3 俺たちアワザルカス超絶好調 [既発]

初出は『KAS (2019)』。内容はタイトルが全てというか、ローカルな話も控えめでとにかく調子の良さそうなことを言っている。ライブ受け良さそう!
アコギの上ネタが「大怪我」っぽくて懐かしさも感じるトラック。
それこそNIPPSリスペクトらしきDSK氏のフローがあったり、D.E.V氏のバースは終始何言ってるのか分かんなかったりして、おもろい。

ちなみに、ここまで3曲ともttttttがプロデュース。敏腕だなぁ…誰なんだろうなぁ…???

4 なかなか田舎 [既発]

初出は『KAS (2019)』。これも人気曲で、ここまで既発曲の連発。いよいよベストアルバムの形相を呈しております。
トラックは盟友K BoW氏。
Takut氏はこの曲で、地方の画一的な街並みや都心への人口流出に言及していて、けっこう社会派。好みです。
D.E.V氏とDSK氏、ベイシアとウェルシアの韻が被ってるの愛おしい。

5 車でGO! [既発]*

「田舎は車移動」というワンテーマで突っ切るザルカスらしさ満点の一曲。タイトルはもちろん「電車でGO!」のオマージュですよね。
K BoW氏の変則的なJersey Clubトラックも炸裂。
特にhookが"あの頃の"EDMを彷彿とさせる作りでテンション上がる。

田舎は電車が×8
田舎×12
田舎は電車がねえから車でGo

AWAZARUKAS - 車でGO! (Single, 2024)

「田舎×12」、文字で見るとジワジワくる。
あと、3人参加なのに2分もないという簡潔さも、この曲数のアルバムにおいては大事かもしれません。

補足: Jersey Club(ガバガバ理解)
元々90年代に生まれたHouse系のサブジャンル。いわゆる5つ打ち。
Drill(後述)系トラックの転調パターンとして使われたり、DrillとミックスされたJersey Drillなんかも登場したりで、ラップのトラックとして扱われる機会が増えた。

6 鉢形城Freestyle [既発]*

この曲に限らず〇〇Freestyleって良いんだよな〜適当だから 笑
肩の力入れずに聴けるというか。
おかげさまで寄居町に結構すごいお城があったことを知れました。ありがとうアワザルカス。
(書きたいことを優先して書いてるので、これくらいの尺の曲もあります 笑)

7 奪われし焼肉の地 [既発]*

コロナ禍でキャンプブーム→県外からキャンパーが玉淀河原に大量発生→地元の人がBBQできなくなった😡
という、本当にそれだけの曲なんでしょうけど、頑張って色々考えたところ、ただBBQがしたいというだけではなく、
・ならず者が地元を荒らしていく事への憤り
・ただでさえ楽しみが少ないのにそれを奪われる悲しみ
といった、原住民の怒り的なバイブスを感じました。よく聴くとhookもなんかそれっぽいトーン。
とにかく色々な感情が澱んでいるのだろうと……淀川だけに。は?

8 BOUNCE!!! [新録]

メンフィスっぽいノリの重めなトラップで、溜まった鬱憤を発散させる。ライブでブチ上がりそうな曲。
Takut氏バースの「駅前廃墟」で、そこら辺の田舎とワケがちげーなと震えました。

だいたいが目当て秩父長瀞
で寄居町は素通り
コンビニくらいバイパス沿い
廃れていくSTORY
10年間ずっと駅前廃墟で
もはやこれは狂気

AWAZARUKAS - BOUNCE!!! (A, 2024)

9 車でGO!part2 feat. Daedalbwoy [新録]

このアルバムで初めての客演参加曲。
そして唯一Drillに振り切った曲でもあり「ここから後半戦スタートだぞー!」と言わんばかりの勢いを感じます。
何度でも言う、マジで構成の妙。

曲自体についての感想ですが、まずhookの「車乗ってGO」の5拍1休のリズムが中毒性高い。Life Size BGMのD.E.V氏のバースでもこのフローが出てきますね。

ザルカス3人のバースでは、前作に比べて「車あるある」が深化。ガソリン高すぎ問題、渋滞、車内の暑さで溶けるグミ、ネズミ捕りetc. 盛り沢山です。
同じテーマで、サウンドのベクトルも遠くないのにちゃんとどちらも独立した個性を持っているの、すごいことです。

客演のDaedalbwoy(デイダラボーイ)氏のバースはトレンド感あってテーマも押さえつつ、目立ち過ぎないところも含めてカッコいいなと。
ソロ作品も精力的にリリースしているのでぜひチェックを!

思い出話ですが、実は氏が主催していたイベント「Flying Mansion」にて、Takut氏と私がダブルヘッダーになったこともあったり…

※ Daedalbwoy氏は当時DON名義でyhornet氏とJunk B Essenceとして活動
当時ライブって、ギャラなしでお受けして「させていただく」スタンスだったのですが、この時はほぼ初めて交通費を頂けて感動しましたね。

補足: Drill(ガバガバ理解)
元々はシカゴ発祥のトラップのサブジャンル。治安悪めなリリックと暴力的なサウンドがロンドンに輸入され、UK Drillへと発展し世界的なトレンドに。ラップはGrime由来の拍遅れのリズム、トラックはハイテンポな3つ打ちが特徴。

10 チチブオンドォ [既発]

初出は2018年のサンクラ?
この"最強のカード"をどこで切ってくるのか配信前から気になっていましたが、結果ベストだったかと。

ダークな曲が続く中盤→Drillで雰囲気変わり→チチブオンドォで全解放🤪
とまぁ、まんまとブチ上げられてしまいました。何度も聴いているのに…!

改めてアルバムの流れで聴くと、ただ秩父夜祭のことを歌っているだけでなく「寄居町から見た秩父」という視点が重要な気がしました。

世界無形文化遺産でもある秩父夜祭
画像:https://www.chichibu-jinja.or.jp/yomatsuri/

秩父も都会ではないけれど、ちょっと車で出掛けられる範囲では栄えてるし観光資源も持っていて、ちょい背伸びできる場所…みたいな感じ?
そこに掛け合わせて、現代の風物詩的な一イベントではなく「本来の祭り」として持つブチ上げパワーを凝縮して込めた、超が付く名曲。

タイトルの通り「秩父音頭」をサンプリングした、トラックの破壊力がエグすぎる。これジャンルで言うと何になるの…?JungleとかDnBに近いのか…?
hookを挟んだ後の2バース目の展開で頭が振れない人はいないはず。
そのスイッチした瞬間のDSK氏のリリック「ウェイ ソイヤ サーバージャージャー」は秩父の峠のどこかにある落書きらしい。

誰が分かんねんw
「完全理解マップ」の秩父エリアはほぼこの曲のフレーズで埋まっているので、要チェック。

11 R140 feat. YUNGYU [新録]

個人的ベストトラックの一つ。
R140とは言わずもがな国道140号のことですが、これは寄居町から秩父へ向かう時に使うルートだそう。
『チチブオンドォ』を聴いたばかりの我々には、そこへ向かうまでのワクワク感を帯びた前日譚にも思えたり。
そして、その道が山梨方面まで続いているように、バースのバトンが寄居町のザルカスメンバーからYUNGYUへと繋がれていく流れが美しい。
AWAZARUKASとYUNGYU氏の関係についてはこちらを参照されたし。

そしてYUNGYU氏の高音、いつどの客演で聴いても一発で空気を"持ってく"力があります。今回も例外なく!
(話は逸れますが、この曲の"持っていき"方はエグかった…)

更に話は逸れ、もう5年前になりますが私の結婚式の二次会ではYUNGYUさんにショットライブをしていただきました。何度でも感謝を!(そして機材トラブル申し訳ないです…)

…話を戻して、「R140」のトラックはRageが基調ですが、上ネタのシンセが爽やかでベースも主張強すぎずとても聴きやすい仕上がり。テーマも国道だし当然ドライブにもピッタリではないでしょうか。
更にこの曲は、直前のhookからD.E.V氏バースにかけてのみドラムパターンが変わりDrill調になるというギミックまであって、本当に芸が細かい。
トラックメイクしてる友人は「ドラムパターン途中で変えるのめんどい」って言ってたんで、マジでこのアルバムに懸ける姿勢に妥協がないんだろうなと。Tak…いやtttttt氏すげ〜
そもそもD.E.V氏のラップはDrillが合いますよね。ここのフローめちゃ良い。

町と町 道の駅のみとみで
信玄餅 (アイス)

AWAZARUKAS - R140 feat. YUNGYU (A, 2024)

必然の曲順、客演、構成なのがニクい。

補足: Rage(ガバガバ理解)
トラップのサブジャンルで、シンセがガンガン鳴ってメロディ感が強い。Hyperpopに隣接してるとも言えるけど、こっちの方がいかつい。
ガッツリ歌う感じからヨレ気味、シャウト気味までマッチするラップが幅広いため、日本でもここ数年で増えてきてる。

12 中間平 [新録]

これもベストトラック級。
「ダラダラ中間平」のフレーズをはじめとした曲全体のキャッチーさは言わずもがなで、Pluggnb調のトラックが持つ「退廃的な空気感の中にある温かみ」を「田舎の暇な若者が夜中の公園で過ごすノリ」に繋げるの神視点すぎ。

補足: Pluggnb(ガバガバ理解)
トラップの派生ジャンルPluggの派生(進化?)ジャンル。2020年手前くらいから流行り始め日本では今ブームになりかけ?
R&Bよろしくメロディアスな曲調が特徴的。

若い頃に同じような経験をしたことのある人(私含む)は、曲中の「やりらふぃー」を小馬鹿にしつつもノスタルジーに浸るんですよ。

それはそうと的なノリで、D.E.V氏のバースは「中間平緑地公園の周りがいかに運転の難所か」をひたすら説明するリリックで好き。
氏のラップは(特に今年リリースの曲において)韻の刻み方が細かく、フローも多彩で聴いていて楽しいです。

釜伏につながる方へ
最後のカーブでとんでもねえ光景
崖下 落下して呼んだレッカー
あの車お釈迦もうダメだ

AWAZARUKAS - 中間平 (A, 2024)

韻の個人的なこだわりなんですが(特に長い韻を踏む時に)文節が揃っちゃうのがあんまり好きでなくて、例えば「絶対/王者」「でっかい/王冠」だとなんかわざとらしくなる(チョイスした単語のせいもありますが)。
その点「呼んだ/レッカー」「もう/ダメ/だ」はめっちゃ良い韻!ちゃんと話のオチになってるし、地味にレベル高いです。

そして、次の曲の感想への繋ぎとして、こんなのはどうでしょう。
「あれ、『夜中の中間平』って、俺らにとっての『音楽』に似てないか…?」

でもそれが超楽しかったり
別に意味なんていらないよ

AWAZARUKAS - 中間平 (A, 2024)

理由ははてさて意味など無いさ
Like a なにかの儀式かなにか
不確かなもの掴みたい何か

AWAZARUKAS - 中間平 (A, 2024)

13 Life Size BGM feat. YAV & kou-kei [新録]

これもベストトラックと言いたい(どんだけ続くの)。
この曲でのTakut氏は、このアルバムのMVV(Most Valuable Verse、いま作った)を受賞。なんせ曲冒頭からいきなり圧巻のほぼアカペラ。
私、年1あるかないかレベルの、本ッ当に良いリリックに出会うと、写経してしまう癖(へき)があります。スマホだけど本当に手打ちし直してる。
このバースは完全に写経対象です。年末年始でやらせてもらいます。

金なら大事だが何より先ず愛
中坊の頃からこの恋を煩い
直感で飛び込んで19 その結果
間違ってない選択肢 音楽でget high

AWAZARUKAS - Life Size BGM feat. YAV & kou-kei (A, 2024)

この「get high」の部分、内容と響き的に先読みして「get cash」が来ると思っちゃったんです。Hiphop的なクリシェに犯されてるなと反省しました。「音楽でget high」が大事だよなマジで。
他にも触れたい箇所がたくさんあるのですが、長くなるので抑えておきます…

hookに関しても、アツいリリックに綺麗な脚韻とメッセージを邪魔しない適度なメロディとが重なり心を震わせます。

求める結果と数字
確かに大事だな収支
でもそういうやついなくなる急に

AWAZARUKAS - Life Size BGM feat. YAV & kou-kei (A, 2024)

アルバムを通して、ラップに対する音抜きなどのアレンジが本当に丁寧なのが分かりやすいのもこの曲。あと、そもそも声ネタのトラックに弱いんですよ。トータルでドツボな曲でした。
また、客演のお二方もそれぞれ良い仕事。特にkou-kei氏のラップのキレには驚きで、なぜ今まで存じ上げなかった!?と後悔。
ソロ曲もめっちゃ良かったです。

最近はヒップホップが日本でも「音楽で利益を出す最短ルート」になりつつあり、どいつもこいつもリリックが金のことばかりで辟易している所ですが、「金にならない音楽を、それでもやる理由」をここまで明確にspitした曲(かつ非Boom bap)は近年珍しいと感じます。あれ?なんか目から汗が…

14 俺たちこの場所で生きてる [新録]

元々「アホな曲名が多い」このアルバムでも最もコメディ色が強い一曲。

正直、Life Size BGMで感情がピークに達したので「こっからどうすんの?」って感じだったんですけど、この手があったかと。
トーンを「エモ」から一気に「笑い」に振り切ることで、ダレずに聴き手のアテンションを保つ。16曲もあるアルバムの終盤でこれやるの、実はめっちゃ難しいことだと思います。

(以下与太話)というのも、サブスク全盛のこの世の中、プレイリストインさせたい勝負曲をEPやアルバムの序盤に持ってきがちなので、中盤以降の構成が雑になる。
言い方を変えると、「曲順による展開やメッセージ」より「良い曲・バズる曲順」になってしまう(あくまで個人の印象です)。
理由はもちろん、プレイリストから飛んできたユーザーがEPないしアルバムをその曲から再生させたら、冒頭にあるほど再生時間すなわち配信収益が増えるからです。
別にそのやり方を否定もしないし、曲構成が雑じゃない最近の作品も山程ありますが^^;

本題に戻ると、まずトラックが超独特。trmsc.氏による、ハードコアテクノっぽいハイテンポな4つ打ちビートにHyperpopの浮遊感が合わさって、非現実的なムードを作り出します。
加えて、最初の導入?部分の内容と被せの声からして「あ、これバカ曲ね 笑」と分からされます。

TSUTAYAが閉店R.I.P.
スマホがありゃ必要ないし
でもジジイはエロ本ゲトれない

AWAZARUKAS - 俺たちこの場所で生きてる (A, 2024)

実際に、田舎をネタにした自虐をコミカルに展開するバースが続きます。
DSK氏のバースが特に秀逸で、こういう主張の強いトラックでは細かいテクニックより「耳に残るワード」とか「語呂の良さ」が大事だと思っていて、その点でアプローチが完璧。

We live in 未だInaka 俺の未来は
田舎で終わる訳いかねえん

AWAZARUKAS - 俺たちこの場所で生きてる (A, 2024)

より良い寄居のその
先のストーリーを
掘り下げるトリオ like a ダグトリオ

AWAZARUKAS - 俺たちこの場所で生きてる (A, 2024)
『より良い寄居』はおそらく町の広報の謳い文句

しかし、曲中には「町にはなんにもねえ チェーン店すらすぐ消えて」「働いて働いて働いてまた働いて」「この場所で俺らもがいてる」など、リリックから垣間見える"この場所"への絶望感がいい塩梅で入っていて、ただの面白い曲では終わらせない。このバランスが唯一無二。

あと、バズの文脈では一番可能性がある曲だとも思いました。
こういうMADっぽい映像絶対合うんだよな…

15 Feelin [既発]

ここまで4曲の新録曲で様々な方向に感情を動かされ、「曲数的にも終盤かな…」と思わせたところでまさかのFeelin!!曲順の天才。
もちろん、そもそもが良い曲ですが、ここまで散々エモ散らかされた後に聴くからこそより味わい深くなる。

hookのこのパートも、「やり続け」た先の『A』の結実がまた感慨深くさせます。

過信せずに自信を持つ
変わっていくが芯は保つ
やり続けるこのMusic
上を向けるように勇気

AWAZARUKAS - Feelin (Single, 2020)

D.E.V氏の好きなフレーズ。タスクを山に喩えて「山積み」なのに、更に山で被せるという、ありそうでなかった表現。

次から次へと山積み
やる事ばっかり南アルプス

AWAZARUKAS - Feelin (Single, 2020)

16 A・W・A・Z・A・R・U・K・A・S [既発]*

『A』配信の1ヶ月ほど前、このシングルが配信された時点で「これはイントロ的な曲だな!」と思ってて、トラックリスト見てズッコケました。
でもこれも良いですね、ループものっぽいです。最後感がないからもう一周いきたくなって「大里郡」を再生することも何度かありました。

近年のループものといえば、KREVAの『LOOP END / LOOP START (2021)』が記憶に新しい。アウトロのインスト曲が最初の曲「Finaly」に繋がっているという激アツ構成でした。
※「Finaly」も写経しました
寄居町での代わり映えのない、それこそループもののような生活の中で、音楽が彼らの人生を変えたことは言うまでもなく。間違いなくスキルも勢いも過去最高な完全体AWAZARUKASに「やっとあえたな」。これからの動きにも目が離せません。
……Yahooニュースみたいな締め方になってる?

アルバムを通しての感想

曲順が神

トラックのトレンド感

どこいった「金」「女」「暴力」

本物のレペゼン


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