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沈黙の中にも、おもてなしは宿る

今回は“間”について考えてみましょう。

例えば料理説明の場面です。
「アスペルジュブランのデグリネゾンでございます。
エキュームと合わせてお楽しみくださいませ!」

スタッフとしては言わなきゃいけないことも言ったし、
ニコニコとアイコンタクトも取ったし、ちゃんとお辞儀もしたし!
と思っているかもしれません、が!
お客様の頭の中はどうでしょうか?
「あすぺるじゅ? デグリネゾン?? エキューム???」
聞く間もなくいなくなってしまった・・・。

もちろん語学に堪能な方や、レストランに慣れていらっしゃる
お客様であれば問題ないかもしれませんが、この場合
言ったけど伝わっていない、伝わっていないことが察せていない
という状況です。

けれど、ここで“間”をうまく使えば状況は変わります。
例えばこうです。

「こちら、アスペルジュ・ブラン
ホワイトアスパラガスを使ったデグリネゾンでございます。
(…一拍)
「ホワイトアスパラのことだったのか」と考える時間
デグリネゾンと言って、いくつかの調理法でお楽しみ頂けるように
仕立てております。(…一拍)
(手で指し示しながら)この泡状のソース“エキューム”と合わせて
お楽しみくださいませ。」

たったそれだけで、お客様の表情はきっと変わります。
一呼吸ごとに理解の時間が生まれ、聞き慣れない言葉にも“意味”が宿る。
同じ言葉を使っていても、“間”があるだけで伝わる温度がまるで違うのです。

つまり“間”とは、翻訳でも説明でもなく、相手に理解の余白を渡す技術。
説明を増やすのではなく、間を置いて“お客様が受け取る時間”をつくることで、初めてコミュニケーションが完成します。

料理を美しく見せる「盛り付けの余白」と同じように、
言葉にも余白が必要。
その静かな一瞬が、フレンチの専門用語を“冷たいカタカナ”から“心に届く言葉”へと変えてくれるのです。

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