『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション 人生・仕事・世界を変える7つの法則』 読書共有【第100弾】
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はじめに
今回はカーマイン・ガロ『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション 人生・仕事・世界を変える7つの法則』(井口耕二訳、日経BP社、2011年)からの共有です。
本書はジョブズ流の成功哲学を詳解した著作で、単にジョブズの思考や実践の追跡にとどまらず、ジョブズ流のイノベーションでビジネスやコミュニティー、人生を変えている人々の例が数多く紹介されている点、どの分野にも応用がきかせやすいと言えます。
その中でも今回は、「ジョブズはなぜ人と違う「見方」ができるのか」という問いかけを軸に、「新しい体験を探しだす」ことの重要性について共有してまいります。
新しい体験を求めて創造的なつながりをつくる
著者によれば、「新しい体験を求めて創造的なつながりをつくるという考え方」こそが、「ジョブズが画期的な製品を次から次へ、また次へと生みだすにあたって大きな役割を果たしている」と言います。
このあたりの事情を上手く説明するために、著者が引き合いに出してくるのが神経科学者グレゴリー・バーンズの次の見解です。
「他人と違う見方をするためには、過去に経験のないことをたくさん、頭に詰め込むのが一番いい。目新しい体験をすると認知のプロセスが過去のくびきから解放され、頭は新しい判断をするしかなくなる」
これが、「ジョブズはなぜ人と違う「見方」ができるのか」という問いへの神経科学的な回答になっていると言えます。
そしてジョブズの過去を見渡す限り、「目新しい経験」を通して「過去のくびきから解放され」る中で、そのつど「新しい判断」が彼に生じていた形跡が見て取れるでしょう。著者はこれについて以下のように明快にまとめています。
「スティーブ・ジョブズにとってカリグラフィーの勉強は斬新な体験で、創造性を強く刺激された。アップル・オーチャードでの瞑想も新しい体験で、やはり創造性を刺激するものだった。1970年代に訪れたインドでは、慣れ親しんだカリフォルニアの街とはまったく異なる体験をした。ミュージシャンにアーティスト、詩人、歴史の専門家などを雇ったときも、自分とは異なるものの考え方や新しい体験に身をさらすことになった。つまり、関わる場所や人を選び、そこで新しい体験を探しだす―その結果、創造的な着想が生まれたわけだ」
こうして、ジョブズのように「他人と違う考え方をする」ためには、「開拓者の目を持ち、人と違う形で物事を認知すること」が大切であり、また「開拓者の目を持つためには、いつもなら見逃すはずの連関を脳にむりやりつくらせる必要がある」と結論されることになります。
人は「習慣の生き物」
しかしながら、上記のことは頭では理解できたとしても実際のところは難しいように思われます。もし簡単にそれができるなら、誰もが成功しているに違いないからです。それではなぜこのような難しさが生じるのでしょうか。これについては次のような見解が参考になるでしょう。
「人は「習慣の生き物」だと言われるが、これは本当だ。我々の脳は、反復抑制と心理学で呼ばれるモードで動いている。要するに、同じ視覚刺激をくり返し受けると神経の応答が抑制されるのだ。脳は、体の機能をなるべく効率よく動かすために進化し、このような形となった」
このように、私たちは習慣の範囲内で体の機能をなるべく効率よく動かすことができる一方で、通常そうした習慣を打ち破るような創造性を発揮しにくい状態にあると考えられます。
確かに私たちの一日を振り返ってみると、人によって差はあるでしょうがほとんどが習慣にもとづいているように思われます。「習慣の生き物」である人間の脳は、判断の際にエネルギーを必要とするがゆえに、できるだけ省エネの自動運転モードに入りたがるのが常だと考えられるからです。
「習慣は第二の天性なり」という有名な言葉もある通り、日々の習慣が生まれつきの性質に匹敵するほど強力であり、私たちの日常生活を規定しているのであれば、この習慣を変えることによって変化を促すことが期待できるでしょう。長年の同じ習慣を変えずして変化だけを望むというのは、人間の脳の機能からも困難であると言えます。
こうして、「創造性を発揮するためには、出力が最大になるように神経細胞を働かせる必要がある」わけであり、そのためには「いつもなら見逃すはずの連関を脳にむりやりつくらせる」こと、つまりこれまでの習慣を打破するような「新しい体験を探しだす」ことが重要になってくるのです。
日常/非日常において新しい体験を探しだす
「新しい体験を探しだす」ことは、日々のあらゆる実体験はじめ、旅行、読書、映画鑑賞、音楽鑑賞、また他者とのコミュニケーションなど、意識してみればどこでも生じ得るように思われます。自らの業務と関係のない経験であるほど、何か新しい発見や着想を得る機会となるかもしれません。
私自身は現在パーソナルトレーナーとして働いていますが、ボディメイク関連以外の多くの学習や経験が役に立っていると感じています。過去を振り返ってみれば、陸上競技はじめ様々なスポーツの経験、また大学院を含めた数々の学習や研究、さらにそこから得られたコミュニケーション体験、多様なジャンルにわたる乱読など、今の私を形作っている多くの習慣やその痕跡を見つけることができます。
そして恐らく非日常の中に「新しい体験」を見出すことも重要ですが、ありふれた日常の中でも気づきによって「新しい体験」として再体験されるものもあるかと思います。例えば、今あるものに感謝するといったことも、場合によっては「新しい体験」を生むものとなり得るでしょう。
私自身はnote記事作成の際、すでに読了済みや体験済みの内容を書いているわけですが、書いているうちに新しい解釈や意味づけなども生じてきて、記事作成自体が一つの創造性発揮になっているのをたびたび感じています。
noteを継続できているのも、こうした創造性の中に喜びや幸せを感じることができているからだと今では思っています。当初はそんなことまで考えてはいなかったので、やはり「やってみないと分からない」という行動ベースで「新しい体験を探しだす」ことは重要だと感じている次第です。
日々こうした「新しい体験を探しだす」ように生活したり仕事をしたりするのはとても楽しいことだと思いますし、その中でこそ「創造的な着想」が生まれやすい地盤も整ってくると考えられます。
私たちが日々新しい体験を探求することを大切にしていれば、お客様にもきっとそういった体験を高い水準で提供できるように思われます。まずは自分からどんどん新しい体験の中に飛び込んで行くことで、きっと自分自身の人生も他者の人生も創造的にできるのではないかと思います。
習慣の中に新しい体験を組み込む形で両立させる
とはいえ、脳はできるだけ省エネの自動運転モードに入りたがるのが常だとすると、従来の習慣を打破する新しい体験を、日常生活にどのように組み込んでいくかが課題となるでしょう。
まずは小さなことから始めてみるだけでも十分だと思います。例えばいつも読んでいる本、聴いている音楽、観ている映画のジャンルを変えてみるといったことでもいいでしょう。たまには新しい場所に行ったり、いつもと違う人に会ったりするのもいいかもしれません。
最近では、プロが自分のために選んでくれた商品が定期便で届くサービス(サブスクリプションボックス)もあるようですので、自分では絶対に選ばないものを使ってみる機会にして、新しい体験を生み出す工夫にしてみてもいいのではないでしょうか。食べ物、ファッション、美容、趣味、生活雑貨など、好きなジャンルでもいいでしょうし、また新しいジャンルにチャレンジしてみるのもいいでしょう。
こうして日頃の習慣に新しい体験を密かに組み込むのが成功しやすいポイントだと思われます。新しい習慣を作り出すより、既存の習慣をアレンジしたほうが自然な変化を望め、持続可能でもある仕組みづくりができると考えられるからです。しかし場合によっては、思い切ってすべてが変わらざるを得ない環境に身をおく荒療治も有効かもしれません。
最後に、人生が変わるレベルの習慣を身につけるにあたっておすすめの一冊として、スティーブン・コヴィー著『7つの習慣』を挙げておきたいと思います。この本も、いずれnote記事で紹介することになるでしょう。
おわりに
今回も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。
日々少しずつ閲覧数やリアクション数、フォロワー数も増えてきて嬉しい限りです。今後も最低週1回の更新を目指して頑張ってまいります。
あえて本の要約といったことはメインとせず、私なりの観点から面白いと思った箇所の共有という限定的な内容にしております。それが少しでも皆様の記憶に残り、日々の読書体験の深まりや具体的な行動・実践に繋がるのであれば幸いでございます。
今後とも宜しくお願い致します。
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