8、Chapter eight:「Close」── わたしだけの場所が、なくなっていく しゅかの物語
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わたしたちの関係は多方面で近く
多方面では遠く複雑になっていった。
彼の気持ちがわたしの領域にどんどんと侵入してきて、束縛も激しくなっていったんだ。
わたしは友人が多いほうで
もちろん異性の友人もいる。
クラブも好きだし、みんなでフェスにもキャンプにもいくし、ひとりで海外にもふらっといってくるほどアクティブなほうである。
12歳年上の彼はそんなわたしのことを
”いつか自分を放ってどこかへいくんだろう”
”同世代の男をみつけるんだろう”
という呪縛にかられ、
どんどんとわたしの心を今度は彼のほうから
塗り絵をしはじめてきたのだった。
女友達を5人で毎月美味しいご飯を食べながら、
SATCの4人のように語り明かす夜がある。
おしゃれなバーで
とびきりのファッションで飾り
よそいきのメイクとアクセをつけて、
女を楽しむ瞬間は、女子にしかわからないひと時なのかもしれない。
女友達との夜、わたしは
ハイウエストのコクーンスカートに、黒のノースリーブを合わせて、
ヒールを鳴らしながら、赤リップで仕上げた。
また別の日には、背中のラインが綺麗に出るベアトップのワンピで、
髪をアップにして、耳元にパールを揺らした。
そういう夜は
彼にとってはそんな時間は不安でたまらないらしくわたしのケータイはとまらない。
放っておくと20件以上の着信で埋まっている。
ーーーーーえ?
わたしは何回も、
「あなたしかいないこと」
「どれだけ雑に扱われてもこっちを向かせてみせるという思いを込めて激しくぶつかり合ったこと」
それに想いを馳せては
伝わっていなかったことにがっかりとした。
それでもわたしは必ず彼のもとへ帰る。
すると
わたしの装いをみて彼の視線は鋭くなるんだ。
その姿に「似合う」って最初に言ってくれたのは、他でもない彼だったのに。
「誰に見せたいの?」
「俺がいれば十分じゃない?」
不安なのはわかる。
でも、これは誰かのための装いじゃない。
わたしがわたしであるための一枚だったのに。
そんな言葉が、刃になってさんざめき、わたしのこころを濃紺にそめた。
わたしの輪郭を薄くしていった。
それでも、わたしは地味にはしない。
彼が不安になるのはわかってる。
着る服を選ぶたびに、頭をよぎる言葉もある。
でも、それでも、わたしは“わたし”をやめない。
派手なんじゃない。
この身体が、このこころが、わたしを生きてるだけ。
わたしの輪郭を守るために、
わたしは、着たい服を着て、行きたい場所へ行く。
ここからが、
色々なことの幕開けにしかすぎなかったのは、もう少し先のこと…
続く。
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