責任だけが、先に入国した
El Paso #13
【スペイン留学 2】
今回のスペインは、
自分の立ち位置が、まだ決まっていない。
監督でもなく、
教師でもなく、
親でもない。
UEFA PROライセンス?
いまのところ、
ピソの鍵を開けるのにも使えない。
チーム遠征なら、話はまだ簡単だ。
時間が決まっていて、
役割があって、
ごはんは、必ず用意されている。
でも今回は、
ホテルじゃない。
ピソだ。
洗濯機が一台あって、
冷蔵庫が一台あって、
生活は、全部自分たちに返ってくる。
中学生2人と、
同じ屋根の下で暮らす。
指導者でも、保護者でもない。
でも、ただの同行者でもない。
この立場、
たぶん一番ややこしい。
ピッチの上なら、
だいたいのことは予測できる。
でも、
「洗剤どれ?」
「これ、何分回すん?」
このあたりになると、
肩書きは一切しゃべらない。
役割は、決まっていない。
だから、日常が先に動く。
誰が何をするかは、
その都度、起きたことで決まる。
この感じ。
この留学で、
最初に始まるのは、
サッカーじゃない。
暮らしだ。
失敗しても、
その夜、同じテーブルにつく。
うまくいかなくても、
翌朝、同じ洗面所で顔を洗う。
経験が、そのまま答えにならない瞬間は、
たぶん、これから山ほど出てくる。
でも、
それでいい。
この距離、この不便さ、この同居。
それ自体が、もう教材だ。
スペインに向かう。
最初に入国するのは、
僕と、彼ら。
責任だけは、
もう先に入国してる。
El Paso、スペイン個人留学。
出発の日だ。
