真冬の名古屋日帰りの旅2025 ②「パウル・クレー展 — 創造をめぐる星座」(愛知県美術館)
の続き

パウル・クレー展
なかなかよい品揃えの美術館なのにいつも閑古鳥だった愛知県美術館(個人の感想です)。今日は思いの外混んでいた。話題の企画展も会期の最初は比較的空いてることが多いのに。クレーってこんなに人気があったのか?
写真撮影は基本OK。一部不可がある。ピカソとかカンディンスキーとかクレー以外の作品に不可が多かったような。
まずは初期のエッチング作品がおもしろかった。こういう路線でずっと行ってくれてたらまた美術史も変わったことだろう。

〈インヴェンション〉より 1903
亜鉛版エッチング、紙
町田市立国際版画美術館
エゴン・シーレっぽいタッチかな。処女っていうか魔女? お股のところの木のコブが性器みたいにも見えるのだけどそれは私の目が曇っているからだろうか。
キャプションによれば世にはびこる性を売り物にするグラヴィアなんかへの風刺として制作されたと。1879年生まれのクレー24歳の作品。とんがってるね。
1903年当時はどんなタイプの女の子がもててたのかな。グラマラスよりも木の枝みたいな細い子? それを皮肉って木の枝にまとわせた? その逆でも皮肉は成立するか。

〈インヴェンション〉より1904
亜鉛版エッチング・アクアチント、紙
愛知県美術館
能の様に舞台上で仮面を付けて演じる役者。このモチーフは前バージョンがあり、そちらでは仮面はグロテスクな笑顔で素顔は真剣な顔みたいな対照性を描いていた。続くバージョンで敢えてクレーはどちらも同じグロテスクな表情に変えた。

これは心理学用語のペルソナの話だ。「パーソナリティ」の語源。「仮面」はいわゆる表面的な(人に見せる)そとづらで、その裏側にあるその人の本当のキャラクターを隠すものみたいな説明に使われる。
これを絵にするなら、笑顔の裏に潜む役者の真剣さや辛さみたいなものを表現するのが普通ではないかと思うが、どっちも同じにしたのは「どっちもつれえんだよ〜」みたいなことをクレーは吐露したかった? 助けてクレー!とか?(すいません)
嘘偽りなく正直に生きるよということかな?

〈インヴェンション〉 より 1905
亜鉛版エッチング、紙
宮城県美術館
さっきの「処女」のそばにいた鳥さんがでっかくなった? おっぱい付いてるから擬人化されてるな。「老いたる」だからさっきの怖いおねえさんが時を経て枝とも鳥さんとも同化した姿? 槍を掲げているのは勝利宣言?(何に勝ったんだ?)
ところで〈インヴェンション〉ってなんだ? 調べると版画の連作集で特にまとめて出版したものではないようだ。ゴヤもそんなの出してたな。
(実際会場にゴヤの版画も参考出品されてた)
クレーを最初に知ったのは中学生の美術の時間。

(展示作品ではなくカタログの表紙)
これが教科書に載っていたはず(「セネシオ」って題名だったのか)。ちなみに中学生の美術の教科書で知ってファンになった画家はとても多い(ピカソは除く。最初はアホな絵としか思えなかったw)。
日本の学校教育がどうのこうのあれこれ批判する向きも多いが、私はとても役に立ってるけどね(クソな部分もあるけどさ)。英語だって学校と受験勉強でかなりのことが身に付いたもん。
閑話休題。

油彩・黒の下地、厚紙: オリジナルの額
パウル・クレーセンター
でもこっちの路線はほんとわからない。うーむ。

いつも書いてるがクレーの盟友カンディンスキーとかの抽象画はあまり好きではない。いくら理屈並べてもあんなの自己満足の極致じゃないのか。
言葉にできない深遠な思想を物の形で表すなんてのは数千年前から曼荼羅とか枯山水とかでやってんだからなにを今さら。
でもこんな理論書も出してるらしい。読破してからこき下ろそうかな(ムリな気もする)
クレーの方はこんな著作を出していた。あんまり構図とか気にする作風には見えないんだけど…。配色の方に気を使ってる印象。これも読まなきゃわからんか。
予備知識なくとも、この辺の作品はおもしろいのよ。

〈新ヨーロッパ版画集 第1集〉より 1921
リトグラフ、紙
東京国立近代美術館
「聖女」か。最初に触れたエッチング「樹上の処女」と比べるとまた年月が経ってからのクレーの女性観の変化が垣間見れる(かな?)
「内面から光を発する」のか。超能力でも身に付けたか?

〈バウハウス・マイスター版画集〉より 1923
リトグラフ、紙
愛知県美術館
HUNTERXHUNTERにこんなキャラいたよね? イカルゴか。
蟻編の終盤で活躍するイカルゴが表紙にいる巻は見つけられなかった🐙

油彩 厚紙
愛知県美術館
これは藤城清治さんの影絵作品みたい。
これ見たの14年前。でもまだ藤城先生お元気だって…。100歳! スゴすぎる。
これはまだ売ってるな…(売れ残ってる?)。値段がスゴい👤
クレーに戻ろう。

水彩・石膏下地、ガーゼ、厚紙に貼付、裏面に水彩、石膏下地
パウル・クレー・センター
入口にあったやつ。ローマの「真実の口」みたい。ってか、みそっ歯おじさん? 難しい、深刻なテーマを描いてるクレーだが、あちこちにそこはかとなくユーモアというか童心が見えるんだよね。苦手な抽象画家だけど、見に来てしまうのはそこに惹かれるところがあるんだろうな。

クレーの死後アトリエに残されていた遺作のひとつらしい。こんな感じで↓


ピカソといい、晩年になると画家はこどもみたいな絵を遺すのかな。
画面上部おひさま?の左にあるいもむしみたいのはパン? ハム? 右のハニワ(?)は笑っている? おっぱい垂れてる? 「樹上の処女」の最終形態?
緑のティーポット?とハニワが乗っている丸シートには象形文字みたいな花?がパラパラと。
晩年に集中して数多く描かれたという一筆書きみたいな天使も画中画として左下に置かれている。
ここで見る限り天使はひとりが多いんだが、
この絵にはふたりいる? デベソの天使と一体化するように抱き合っているのかな。
黒の背景下半分にはなにやらひび割れか象形文字みたいないつもの模様が入ってた。

あちこちこれまでのクレー作品の片鱗が認められる。自分の人生を振り返る作品だったのか? 見ていてなんかじわじわと染みてくるね。
写真だと会場で見る印象より少し色が明るいようだ。美術館で絵を撮影する時は薄暗いので「夜景モード」で撮ることが多い。色がより強調されるみたい。
常設展
もう時間もないのだがせっかくなのでざあっと回ってきた。

《人生は戦いなり(黄金の騎士)》1903年
油彩・テンペラ・金箔、画布
新規購入の目玉として前回行った時あったやつだ。これぞクリムトって感じね。いいっす。
前回の記事
これ再読して思い出したがこの作品に限らず各作品にあった撮影許可とかSNS掲載可否マークが消えてる気がした。ここに載せちゃってよかったのかな?
さ、名古屋ツアーの締めに温泉行こう♨️
