【交通費を不正受給していた場合の対応】返還請求・懲戒はどこまで可能か?
「電車通勤で申請していたのに、実際は自転車で出勤していた」
交通費の不正受給は、金額の大小にかかわらず信頼問題に直結します。
しかし――
発覚直後に感情で処分を決めるのは危険です。
重要なのは、
事実整理 → 記録 → 段階対応 です。
まず確認すべき4つのポイント
① 就業規則・通勤規程の内容
・通勤経路の申告義務
・虚偽申告の扱い
・懲戒事由の定め
規程に基づいた対応でなければ、後に不利になります。
② 実際の通勤実態はどうか
・定期代支給か
・都度精算か
・どの期間か
・金額はいくらか
証拠が曖昧なまま進めないこと。
③ 故意か、誤認か
意図的な搾取なのか、
単なる通勤変更の未申告か。
ここで処分の重さが変わります。
④ 他社員との均衡
過去に同様の事案があったか。
同様の処分をしているか。
懲戒は「均衡」も重要です。
返還請求はできる?
原則として、不当利得として返還請求は可能と考えられます。
ただし注意点があります。
✔ 給与からの一方的な天引きは原則として認められません(賃金全額払いの原則)。
✔ 本人の同意書を取得した上で相殺処理を行う、
✔ もしくは本人の口座から振込で返金してもらう方法が実務上は安全です。
✔ 返還方法・金額・分割条件は必ず書面で合意しておきます。
※労使協定がある場合を除き、賃金からの控除は慎重な対応が必要です。
懲戒処分は可能か?
可能性はあります。
しかし判断は総合的です。
✔ 故意性
✔ 金額の多寡
✔ 継続期間
✔ 会社への影響
一律に「懲戒解雇」とはなりません。
※最終的な判断は総合考慮によって行われます。
実は見落とされがちな「通勤災害リスク」
交通費の問題は金銭だけではありません。
申請と異なる通勤方法で事故が発生した場合、
通勤災害(労災)の認定が問題となる可能性があります。
単なる交通費の問題ではなく、
労務リスク全体に波及する可能性があるという点は見落とせません。
個別対応で終わらせない視点
一人の不正が発覚した場合、
「個別処分」だけで終わらせるのではなく、
✔ 通勤経路の再確認
✔ 全社員への申告内容の見直し依頼
✔ 通勤規程の再周知
などを実施することで、
“見せしめ”ではなく、正当な内部統制として整理できます。
再発防止策を講じることで、
会社としての合理的対応がより明確になります。
一番重要なのは「面談記録」
この場面で本当に重要なのは、
✔ 本人の説明内容
✔ 返還の意思
✔ 再発防止の確認
✔ 全社対応の記録
を残すことです。
交通費不正受給は、
“金銭問題”であると同時に
“信頼回復プロセス”でもあります。
まとめ
交通費不正受給が発覚した場合、
怒り
↓
即処分
ではなく、
事実確認
↓
面談
↓
記録
↓
総合判断
↓
再発防止
で整えます。
ここでも、
“記録が分岐点”になります。
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※本記事は一般的な法的解釈および実務整理を目的としたものです。実際の判断は個別事情により異なります。具体的な案件については専門家へご相談ください。
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