「カツ」駅弁個人的3選

「駅弁」は、その名の通り駅で販売する弁当です。その歴史は、今から140年前の1885年に「宇都宮駅」(栃木県宇都宮市)で始まったと言われています。ということで今年(2025年)は駅弁のメモリアルイヤーということで、全国各地で昔の駅弁を再現した「復刻駅弁」が販売されています。
駅弁にはいろいろありますが、個人的には「カツ」の入った駅弁が好きだったりします。ということで今回のnoteは、首都圏で食べられるカツ入り駅弁を紹介してみようと思います。
トンかつ弁当(千葉駅/マンヨーケン)


1発目はJR総武線・外房線の「千葉駅」(千葉市中央区)の駅弁「トンかつ弁当」です。1928年に創業した「万葉軒(マンヨーケン)」(※1)の名物駅弁の1つで、ご飯の上にソースで味付けされた薄い「トンかつ」が載っかっているという非常にシンプルな一品です。シンプルゆえに、価格も785円と駅弁としてはリーズナブルです。
付け合わせ(おかず)はしば漬け、タケノコの煮付けとゴマ昆布と大変シンプルで、追いソースも付属します。最近のコンビニ弁当になれていると「何か(値段の割に)ちっちゃいな」と思ってしまうのですが、実際に食べてみると案外満足感を得られます。

なお、トンかつ弁当には兄弟商品として「ジャンボかつ弁当」もあります。名前の通りトンかつが少し大きくなっていて、それに合わせてご飯も少し多めです。付け合わせも、赤ウインナーとニンジンの煮付けが増えています。こちらも909円と、駅弁の割には手頃です。
なお現在、万葉軒の駅弁は千葉駅構内の売店でのみ販売されています。以前は駅前の「そごう千葉店」にも万葉軒の売店があって、駅の外でも買えたのですが…。
(※1) 法人としての万葉軒は、2015年2月に千葉市内で給食・介護事業を手掛ける「リエイ」に吸収され消滅している。リエイは万葉軒のブランドを引き継ぎ弁当事業を展開しているが、自前の弁当工場は2021年に廃止しており、近隣の食品工場に生産を委託している(ある意味の“ファブレス”弁事業者となった)。なお、万葉軒のブランドは、2018年12月からカタカナの「マンヨーケン」が正式なものとなる。
高原野菜とカツの弁当(小淵沢駅/丸政)


2発目はJR中央線・小海線の「小淵沢駅」(山梨県北杜市)の駅弁「高原野菜とカツの弁当」です。1918年(法人化は1953年)に創業した「丸政」の名物駅弁の1つで、1970年から販売されています。現在の販売価格は1400円です。
北杜市というと「八ヶ岳」が有名ですが、八ヶ岳のふもとで「高原野菜」(※2)がよく採れることにちなんで、生のレタス・きゅうり・セロリ・ミニトマト・リンゴが入っていることが特徴です。駅弁は消費期限が比較的短いのですが、生野菜が入っているこの弁当は消費期限がより短いという特徴があります。

丸政の駅弁は小淵沢駅だけでなく、「甲府駅」(山梨県甲府市)や「茅野駅」(長野県茅野市)、そしてJR東日本の首都圏の一部の駅でも販売されているのですが、日持ちしない高原野菜とカツの弁当だけは、基本的に小淵沢駅でのみ販売しています(10時以降に入荷)。
ただし、土日祝日(と長期休暇期間)に限り、甲府駅構内の売店「MASAICHI」でも数量限定で売ってくれます(11時以降に入荷)。また、毎年1月に京王百貨店新宿店(東京都新宿区)で開催される「京王駅弁大会」でも実演販売してくれます。東京都内から出ずに食べたいなら、京王駅弁大会を狙うしかありません。


…と、カツの説明をし忘れていましたが、この弁当に入っているカツはチキンカツです。チキンカツ単品であれば、「丸政のチキンカツ」としてJR東日本の首都圏の一部の駅などでも販売しています。販売価格は700円だったと思います(売っているのは見かけるもののしばらく買っておらず、丸政のWebサイトにも載っておらず…orz)。
また、丸政が「昭和100年」を記念して作った「昭和百年弁当」(1280円)でもチキンカツを食べることができます。この弁当は丸政の名物駅弁のメインメニューを“ぶち込んだ”ことが特徴で、これはこれで食べ応えがあります。
(※2)「高原野菜」というと高原で採れる野菜と勘違いされがちだが、本来は春や秋に採れる野菜を、高原の涼しい気候を生かして遅作りしたものである。
復刻・日本食堂「トンカツ弁当」(JR東日本クロスステーション)

もう1つが、東日本旅客鉄道(JR東日本)の子会社であるJR東日本クロスステーション(JR-Cross)が駅弁140周年記念企画商品として発売した「復刻・日本食堂『トンカツ弁当』」です。JR-Crossが運営する首都圏の駅弁売店で1400円で販売されています。
…と、「なぜJR-Crossが日本食堂の駅弁を再現しているの?」というところなんですが、旧国鉄(日本国有鉄道)の食堂車や駅での喫茶施設を運営していた「日本食堂」を継承したのがJR東日本だからです(※3)。日本食堂は「日本レストランエンタプライズ」「JR東日本フーズ」と商号を変更していき、2021年4月1日にJR東日本リテールネットに吸収されました(JR-CrossはJR東日本リテールネットが商号変更した会社)。

復刻・日本食堂「トンカツ弁当」は、1976年に日本食堂が発売した「トンカツ弁当」をパッケージを含めて極力再現したものです。3枚の小ぶりのトンカツと、レーズン入りカレーピラフはきちんと再現できているそうですが、付け合わせ(にんにく入りキャベツ塩麹炒めとゴボウサラダ)はどうやら当時とは異なるようです。プレスリリースを見る限り、当時は生野菜を使っていたみたいなのですが、消費期限的な意味でためらわれたのかもしれません…。
なお、冒頭に載せた駅弁140周年記念カードは、この復刻・日本食堂「トンカツ弁当」に付いていたものです。全国各地の復刻駅弁にも同じカードが封入されているはずなので、ぜひチェックしてみてください。
(※3) JR東日本エリア以外については、旧国鉄の分割・民営化の後に四国旅客鉄道(JR四国)を除く各旅客鉄道会社単位の事業会社を会社分割で設立し、株式を当該旅客鉄道会社に譲渡している(日本食堂自身は、会社分割が完全に完了した後にJR東日本の資本を受け入れた)。
なお、日本食堂から分割された会社で現在も法人として存続しているのは西日本旅客鉄道(JR西日本)エリアを担当する「ジェイアール西日本フードサービスネット」だけである。
