四十八|花野奇譚
九月十五日にはミズヒキで結飾りをつくる。ミズヒキは鹿鳴山で採ったものを使う。絹でできた水引紐二本と植物のミズヒキを一本使って梅結びを作る。これをその家に住む人数分玄関に飾る。梅は松竹梅で縁起がよいこと、梅結びは固く結ばれてほどけないことから、家庭円満を願い、飾られるようになった。鶫野の桂木すゑは梅結びの名人であった。水引紐三本とミズヒキ二本で精緻な梅を結いたという。八月の終わりになると桂木の家は結飾りを依頼する人で賑わったが、高齢になり、満足のいくものを作れなくなったということで数年前に作るのをやめたそうである。

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