「観る将」が観た第76回NHK杯出場女流棋士決定戦
3月14日、NHK杯テレビ将棋トーナメント出場女流棋士決定戦の、福間香奈女流五冠と西山朋佳女流三冠の対局が放映されました。NHK杯の本戦には女流棋士枠が1つあり、本局の勝者が本戦に勝ち進みます。
本局は本戦と同様、持ち時間10分・切れたら1手30秒未満(他に各1分の考慮時間10回)の早指し棋戦となっています。
西山女流三冠が向かい飛車
振り駒で後手となった西山女流三冠が向かい飛車に振り、福間女流五冠が3筋の歩を突くと三間飛車に振り直します。福間女流五冠が玉を7筋まで移動してから2筋の歩を突いて居飛車を宣言すると、西山女流三冠は慎重に少しずつ時間を使い、玉を8筋まで移動してから再度向かい飛車に振り直します。福間女流五冠は5分程長考して▲6六銀と繰り出し、西山女流三冠が本美濃囲いを完成させると、4筋の歩をぶつけて仕掛けます。
福間女流五冠の仕掛けに西山女流三冠が反発
西山女流三冠は6筋の歩を突き、福間女流五冠が5筋の歩もぶつけると、△6三金と上がって高美濃に組み替えます。福間女流五冠は▲5七銀上と上がり、西山女流三冠が3筋の歩をぶつけると、持ち時間を使い切って同歩と応じます。西山女流三冠は6筋の歩を伸ばして銀に当て、福間女流五冠が考慮時間を2回使って同銀と応じると、5筋の歩を取って3筋の桂頭を狙います。福間女流五冠が2筋の歩を突き捨ててから、考慮時間を2回使って4筋の歩を取り込んで銀に当てると、西山女流三冠は角で歩を取ります。
西山女流三冠が角を見捨てて銀を捕獲
福間女流五冠は▲4六銀と繰り出し、持ち時間を使い切った西山女流三冠が△6六歩と合わせると、狙われそうな桂を▲4五桂と跳ねます。西山女流三冠は△3三桂とぶつけ、福間女流五冠が9筋の歩をぶつけると、考慮時間を3回使って6筋の歩を成り捨て、更に△6六歩と金頭を叩いて上ずらせ、△4五桂と桂交換します。福間女流五冠は銀で桂を取って角に当てますが、西山女流三冠は構わず△6四歩と打って銀を捕獲します。
福間女流五冠の端攻め
福間女流五冠が角銀交換してから、考慮時間を2回使って▲5五金と繰り出すと、西山女流三冠は同銀と応じます。福間女流五冠は角で銀を取り返しつつ飛車に当て、西山女流三冠が飛車を4筋にかわすと、▲9四歩と取り込みます。西山女流三冠は考慮時間を2回使って△4七飛成と竜を作り、福間女流五冠が▲5六銀打と竜を追うと、△5七竜とかわします。ここまでほぼ互角の範囲で揺れていたAIの評価値は、福間女流五冠の78%と傾いています。
西山女流三冠が銀を犠牲に角を取って猛追
福間女流五冠が最後の考慮時間を使って▲7五角と竜に当てつつ9筋を睨むと、西山女流三冠は△6七銀と王手で捨てて銀で取らせ、△5五竜と角を取ります。福間女流五冠は▲6二歩と金頭を叩き、西山女流三冠が同金上と応じると、▲9三歩成と王手で飛び込みます。西山女流三冠は桂で取り、福間女流五冠が▲9二歩と叩いて香を吊り挙げてから▲5八飛と回して竜にぶつけると、△5七歩と打って交換を拒否します。西山女流三冠が銀を犠牲に角を取りましたが、AIの評価値はまだ福間女流五冠の67%と優勢になっています。
急転直下の結末
福間女流五冠は同飛と応じて竜と交換し、西山女流三冠が△6五歩と銀を取ると、▲6四歩と金頭を叩いて上ずらせてから▲9四歩と桂頭を叩きます。先手は歩ではなく桂を打って王手する手が有力だったようで、AIの評価値はほぼ互角に戻ります。西山女流三冠は△6六桂と王手しつつ先手の角の利きを止め、福間女流五冠が玉を8筋に寄ってかわすと、取られそうな桂を△8五桂と跳ねて詰めろを掛けます。福間女流五冠は▲4一飛と打ち込んで形を作り、西山女流三冠が△7七銀と王手すると、自玉の詰みを認めて投了を告げました。
まとめ
本局は西山女流三冠が手損を厭わず飛車の位置を小刻みに変え、福間女流五冠は急戦を仕掛けて主導権を握りました。西山女流三冠は強く反発し、福間女流五冠が端攻めで後手玉に迫ると、竜を作って攻め合いました。最後は時間に追われた福間女流五冠が珍しく粘りを欠き、西山女流三冠が即詰みに討ち取りました。
本戦への出場を決めた西山女流三冠は、対局後「NHK杯で一局多く指せることを嬉しく思っています。しっかり準備して挑んでいきたいと思います」と話しました。本戦トーナメント1回戦では行方九段との対戦が発表されており、西山女流三冠らしい伸び伸びした将棋を楽しみにしたいと思います。
