声の老化予防では終わらせないアラフィフ女医が挑戦したボイトレ体験
私の長年の悩みのひとつは、自分の声です。
医師になってから、診療の場面で
「え?聞こえないです」
「もう一度言ってもらえますか?」
と患者さんに言われることが何度もありました。
声が小さいこと、滑舌が悪いことが原因だと思い込んでいて、
自分の少し低めの声も、あまり好きではありませんでした。
女友達の、明るくて高くて通る声が羨ましく感じることもありました。
だから、普段から
「ゆっくり、はっきり話そう」
と意識して過ごしてきました。
声は加齢とともに変わっていくもの
医療の視点から見ると、声の変化は単なる悩みではなく、体の老化の一部でもあります。
声は、喉の奥にある声帯が肺からの空気で振動して出ますが、年齢とともに声帯の筋肉や弾力が変化し、振動しにくくなることがあります。
その結果、声が低くなったり、ハリがなくなったりすることがあるのです。
声はコミュニケーションの大切な手段であり、印象や年齢を判断する基準にもなります。
だからこそ、加齢による変化を避けたいと思う人は多いのではないでしょうか。
そんなある日、姪っ子がオペレッタをやっているのを見て思いました。
「声って、こんなに通るんだ…」
普段の話し声は私と似ているのに、歌う声は驚くほど響いていました。
その頃、ダンス教室のスケジュール表に
「ダンス&ボーカル」
というクラスを見つけました。
ダンスを習い始めていた私は、
「歌えたらもっと楽しいかもしれない」
「声の出し方も変わるかも」
という気持ちになり、体験レッスンに参加しました。
初めての歌のレッスン
スタジオに入ると、アイドルのような生徒さんたちと先生。
(場違いかも……)
と思いながらも、体験レッスンが始まりました。
知らない曲を数回聴いて、すぐに歌の練習へ。
暗記ゲームみたいで、意外と楽しい。
最後は一人で歌う場面もありました。
そして、先生から言われた言葉が意外すぎました。
「声、しっかり出ていますよ。歌、習ったことありますか?」
……え?
声が小さいと言われると思っていたのに。
さらに、
「滑舌が良すぎるので、子音を少しぼかすと、感情が乗りやすくなりますよ」
……そんなにはっきりした発声になってるんだ?
と感じるような、目からウロコのコメントでした。
日々、高齢の患者さんにきちんと伝わるようにと、
大きな声ではっきり話すことを心がけてきました。
その癖が、歌うときにまで出てしまっていたのかもしれません。
声と向き合うということ
よく聴いてみると、先生や生徒さんたちは、マイクなしでも滑らかで、歌詞が自然に心に入ってくる声でした。
一方の私は、
「大声で」「はっきり」出そうと頑張りすぎて、
歌詞の内容への意識が薄れていたように感じました。
医師として考えてみても、
声は使わなければ衰えるし、使い方次第で鍛えられるものです。
話すこと、歌うこと、深い呼吸をすること。
声帯や呼吸筋を適度に使うことは、アンチエイジングにもつながります。
優しさに背中を押されて
レッスンが終わったあと、
なんとその場にいた生徒さん5人全員が、
口をそろえて言ってくれました。
「ぜひ、一緒にやりましょうよ」
その一言が、とても嬉しくて。
「じゃあ、ご一緒させてもらいますね」
と、自然に言葉が出ました。
声のアンチエイジングとしての挑戦
ダンスも歌も初心者。
でも、頑張ってみようと思います。
仕事のパフォーマンスも、
プライベートが楽しいことで、きっと上がるはず。
そして、声を使うこと自体が
健康寿命の一助になると感じています。
声帯や呼吸筋を適度に使うことは、
ただの趣味ではなく、体の老化を予防する
ひとつの方法になる可能性があると思うからです。
声は「個性」であり、「意思」であり、「印象」。
使い方次第で、歳を重ねても生き生きとした声を保てる――
そんな未来を目指して、
これからも声と向き合っていきたいと思います。
