Chrome拡張のOpenEvidence Search Helper を公開しました:SR/MA優先・GRADE提案・日本語IMEガード付き
機能紹介(結論から)
・包括的レビュー(システマティックレビュー/メタアナリシス:SR/MA)などの集約化された文献から優先して回答してもらうように対応
・GRADE評価(的な)提案を入れてもらう
・テキストエリアで日本語変換中に途中送信してしまうエラーに対応(地味に嬉しい)
「臨床的疑問の解決方法」の生成AIとして
最近「OpenEvidence」が話題です。OpenEvidenceは、Mayo Clinic Platform Accelerateから生まれた臨床意思決定支援のための医療情報プラットフォームで、NEJM GroupおよびJAMA Networkと複数年のコンテンツ契約を結び、ライセンス済みのフルテキストやマルチメディアの内容を引用付きで回答に反映することができます。
利用状況は米国医師の40%超が日次でログイン、月6.5万人超が新規登録しています。性能面では2023年にUSMLEで90%超, 2025年8月に100%を達成したと公表されています。
開発はHarvard/MIT所属の研究者らが中心で、プラットフォームは医療従事者限定の認証制(米国HCPは無料)で、160専門領域/1,000超の疾患・治療領域をカバーし、3,500万超の査読論文を横断的に検索して根拠を提示してくれます。
一方で、生成AI全体としては2025年8月に登場したGPT-5が「博士知識相当の生成AI」として話題です。特に有料版(Plus以上)のGPT-5 thinking は、GPT-5 に比べると一段階飛び抜けていて、文献検索機能、ハルシネーション(正確でない情報を出力する)いずれも改善されています。
以下、2025年9月11日現在の私の整理です。
Q: 文献検索をする上では ChatGPT GPT-5 thinking のほうが優れている?
A:はい、優れています。新しい知見の創出という研究用途で、まだSR/MAが出るほど集約されていない領域では特に、GPT-5 thinking を使うほうが良いと思います。
GPT-5 thinking の活用法については、@genkAIjokyoさんのブログエントリに詳しいです。
Q: ではOpenEvidenceの優位性は?
A: 無料で使える(GPT-5 thinking は有料)ので、組織全体のボトムアップで導入したいときには選択肢の一つとなります。SR/MAなどの知見が集積されている領域では、手軽に素早くスタンダードな知見を知ることができます。
GPT-5 Thinkingは例えるなら光学望遠鏡です。
まだエビデンスが集積されていないまばらなエリアでも、さすが現在の最新モデル、といった感じで、遠い星を見つけたり、少ない星から星座を描いたりするのが得意で、未知の領域に仮説というラインを引くのがうまいと感じます。その一方で、倍率も口径も贅沢に盛った望遠鏡は設営にひと工夫が必要で、解析の時間もそれなりにかかると感じます。(従前よりだいぶ早くなりましたが、カンファ中の話の流れについていけなくなるくらい、ワンテンポ遅いです。)
一方でOpenEvidenceは双眼鏡です。
エビデンスが集積されているエリアでは、近くを素早く拡大して概要を確かめることができます(一方でとっても遠くにあるのは頑張っても焦点が合わない。GPT-5 thinkingの出番です。)。すでにエビデンスが積み上がっている領域では、AIがRCTを見つけて解説を並べてくれても、人間が吟味して統合した包括的レビューがすでに存在するなら、まずはそちらを確認したほうが早く安全で確実です。SR/MAから先に当たるほうが、我々の批判的吟味のコストが減り、忙しい臨床時間のなかでも効率良く臨床的疑問の解を探すことができます。
さらに、OpenEvidenceは無料で提供されているため、うまく使えば情報アクセスの格差を縮められると考えます。
なぜ集約化された文献を優先的に検索するようにしているかは以前のエントリ記事を参照いただければと思います。
改めて機能紹介
アドレスバーで「oe + スペース」もしくは、アイコンをクリックするとOpenEvidenceの検索窓が出現します。送信ボタンを押せば
「Provide a comprehensive explanation drawing on systematic reviews and meta-analyses (SR/MA), and list recommendations according to the GRADE system.」
が自動的に検索語の後ろに追加されます。(検索語はオプションから自分でカスタマイズ可能です)。

また、OpenEvidenceはウェブブラウザから直接入力しようとすると、日本語IMEに対応してないため、漢字変換中に入力途中で送信されてしまいます。このChrome拡張を入れると、「日本語入力固有の変換候補に対するEnter」を「送信のEnter」として区別して認識するようにしていて、誤送信しないようにブロックしています。OpenEvidenceを開いているときに限定しているので他のウェブサイトのテキスト入力操作には干渉しません。「日本語入力中に途中送信されてしまう」エラーが起こらないようになります。地味に嬉しい機能です。
このページから拡張機能を追加できます。
余談ですが、スマホのアプリで使うときは私は「おえ(OpenEvidence)」で上記の検索語がでるように単語登録して使っています。やったことは単純ですが、確実に利便性を上げてくれると思います。普通に入力した場合とぜひ比べてみてください。
関連:
