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教育機関における画像生成AIツールの利用ガイド

【免責事項】このガイドは個人的に作成したものであり、所属する団体等の見解を示すものではありません。自主的に使用する参考資料としてご活用ください。


ChatGPTの新しい画像生成機能

ChatGPTにおける画像生成機能は、2025年3月に大きな転換点を迎えた。OpenAIは、従来のDALL·E 3システムに代わり、GPT-4oモデル自体に画像生成能力をネイティブ実装した[1]。

特筆すべきは、日本語テキストを含む画像の描画精度が大幅に向上した点であり、これにより図解、プレゼンテーション用ビジュアル、漫画風イラスト、ロゴデザインといった、より実用的で精密な画像の作成が容易になった

大学教育の文脈では、教員が講義内容に即した図版を迅速に用意したり、学生がレポートや発表資料のための視覚要素を自ら生成したりといった活用が期待される。しかしながら、このように誰もが高品質な画像を容易に生成できるようになったことは、著作権や倫理に関する問題への意識を改めて高める必要性も示唆している

「表現」と「アイデア」の区別


日本の著作権法では、保護の対象は「思想又は感情を創作的に表現したもの」、すなわち具体的な表現に限られる。アイデアそのものは保護されない(著作権法第2条1項1号)。

この原則に基づき、画風や作風といったスタイルはアイデアの範疇とされ、これを模倣しても直ちに著作権侵害とはならないと解釈されている。文化庁も、「特定の作家風」といった指示(プロンプト)で生成された画像が著作権侵害に該当するわけではないという見解を示している。生成AIに特定の作風を指示して得られた画像は、基本的に既存の著作物の複製ではなく、新たなアイデアの表現と見なされる傾向にある。[2]

ただし、生成AIによる出力がすべて自由に利用できるわけではない。具体的な表現が既存の著作物と似ているかどうかに注目する必要があるAIが生成した画像が、特定の既存の著作物と非常に似ている場合、たとえ指示が「○○風」という作風の指定であっても、その生成物を利用する行為は、元の著作物の複製権や翻案権を侵害すると判断される可能性がある

日本の法律では、著作権侵害の判断において、「既存の作品との類似性」と、その作品に「依拠していること」(アクセス可能性)が重要な要素となる。生成AIは膨大な既存作品データを学習しているため、生成された結果が学習元の著作物に依拠している可能性は否定し難く、類似性が高い場合には独立した創作とは見なされない恐れがある。ただし、たとえ利用した生成AIツールが既存作品データを学習していない可能性が高くても、高度な類似性が認められる場合は依拠性が推認されるのが現在の法解釈である(参考: 煮豆売り事件)。したがって、生成された画像を公表したり利用したりする際には、それが既存のどの作品とも明確に異なる、独自の創作的表現と言えるかどうかを慎重に見極めることが求められる。[3]

また、当該著作物の権利者の利益を不当に損なうような極端な状況においては、たとえ類似性・依拠性が著しくなくても権利制限規定の例外条項が適用され、違法と判断される可能性もある。[4]

教育の場において学生が生成AIを活用する際には、この点を十分に理解する必要がある。単に著名な作家の画風を模倣した作品を安易に公開することが、どのような社会的反応や法的な評価につながる可能性があるのか、指導者が学生と議論し、適切な指導を行うことが重要である。

(※教育目的の例外規定)

大学等の教育機関において生成AIを利用する際は、法的な危険性の管理と倫理的な観点の両方に留意する必要がある。第一に、著作権の遵守という観点から、教育目的の例外規定(著作権法第35条)を正確に把握することが求められる。第35条は、教育機関での著作物利用に関する一般的な例外規定である。これは画像生成AIに特有の規定ではなく、学校その他の教育機関において授業の過程で利用するためであれば、教員や生徒は著作物を複製したり公衆送信したりできると定めている。しかし、これは授業という限定的な状況下での利用に限られる。

したがって、学生や教員が生成AIを用いて作成した画像が、偶然にも既存の著作物と類似していたとしても、その利用が授業の範囲内であれば、第35条によって認められる。しかしながら、その生成物を授業外で配布したり、インターネット上で公開したりする場合には、この教育利用の例外は適用されない。そのため、授業資料としてAI生成物を使用する際にも、特定の作品との類似性がないか事前に確認し、授業の範囲を超えた利用を避けることが賢明である。

倫理的配慮


画像生成AIに限らずすべての創作・表現行為には、社会的に求められる倫理的責任が伴う。倫理的な配慮事項としては、創作者に対する敬意と透明性の確保が挙げられる。法的に問題がない場合であっても、特定の個人のアーティストの作風を模倣した画像を生成・公開する際には、当該アーティストや関連コミュニティの感情にも配慮することが望ましい。例えば、作品の説明に「〇〇氏の画風に着想を得た独自の作品」であることを明記したり、引用が可能な場合には参考にした作品名を具体的に示したりするなど、出典や参考情報の開示は、研究倫理にも通じる慣行と言える。

さらに、作品内容が人種・性別などに関する差別や偏見を助長しないこと、公序良俗に反しないこと、他者の人格権やプライバシーを不当に侵害しないこと等への配慮も重要である。創作の自由には責任が伴うことを理解し、差別的表現の排除や適切な情報モラルを守ることは、生成AIによるか否かに関わらず常に求められる態度である。これらは直接的な著作権の問題ではないものの、教育機関が社会に対して責任あるAI活用能力を持つ人材を育成する上で、不可欠な視点となる。[5]

総括すると、大学教育の現場においては、生成AIの利点を活用しつつ、著作権法で許容される範囲とその制約を正しく理解し、関係者が協力してガイドラインを整備・改訂していく必要がある。技術の進歩に伴って法解釈や社会的な合意も変化する可能性があるため、最新の動向を注視し、著作権と倫理を尊重したAIの活用を実践していくことが求められる。

参考文献

  1. Introducing 4o Image Generation. Accessed March 30, 2025. https://openai.com/index/introducing-4o-image-generation/

  2. 【AIの著作権問題、AIが生み出す世界は「表現」?「アイデア」?それとも、、、】|shiba@クリエイティブマネジメント. note(ノート). September 8, 2023. Accessed March 30, 2025. https://note.com/48art/n/nbea41b5f0972

  3. 生成AIで作った文章や画像は著作権侵害にあたるのか?利用時に留意すべきポイント. Accessed March 30, 2025. https://www.docusign.com/ja-jp/blog/AI-Engineer-Explains-Copyright-for-Generative-AI-Content

  4. 柿沼太一. 【連載】生成AIと著作権~文化審議会著作権分科会法制度小委員会「考え方」を踏まえて~第2回|知的財産・IT・人工知能・ベンチャービジネスの法律相談なら【STORIA法律事務所】. STORIA法律事務所. April 11, 2024. Accessed March 30, 2025. https://storialaw.jp/blog/10782

  5. 大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて:文部科学省. 文部科学省ホームページ. Accessed March 30, 2025. https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2023/mext_01260.html

(※本記事内の画像について)

本記事内の画像は、記事内容をもとに 4o-Image-Generation から出力したものを、グラフィックデザインツールのCanva で一部修正し使用した。

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