見出し画像

【エッセイ】拝啓、電子書籍と投稿サイトのマーケティングに疲れた君へ

──君は私、私は君


拝啓、電子書籍と投稿サイトのマーケティングに疲れた君へ

今、売上画面を閉じてため息をついている君。

Xやnote、投稿サイトの通知を無視したくなった夜に、この手紙を読んでくれている君。

作品を世に出すことって、
小さな灯りを夜の道に置くようなものだね。

でも今、君はその灯りを守るために、
毎朝「宣伝文」を考え、
ハッシュタグを20個調べて、
「新刊出ました。よろしければ…」と指を動かしている。

DMで「レビューお願いできますか」と送るたび、
胸の奥がちりちりと焼ける。

その疲れは、誰にも見えないまま積もっていく。

疲れるのは、当然のことだよ。
作品を出すと、数字が波のように寄せてくる。
閲覧数、売上、ランキング、いいね、コメント。
「今日は動いた」「今日は死んだ」
そんな数字の海に、毎日足を取られている。
数字は便利で、
でもとても残酷だね。

表紙に何万円もかけ、キーワードを何十個も調べ、
サンプルを何度も書き直したのに、
月間売上が数百円。
手数料を引いたら、ほぼゼロ。

「才能があれば売れる」という言葉が、
こんなに空しく聞こえるなんて、
君はもう知ってしまった。

いつの間にか、書く時間が減って、
「どう売るか」を考える時間が長くなった。

読者の顔を想像しながら「クリックしたくなる文句は?」と考える自分が、
どこか遠く感じる。

ねえ、疲れたときは、
灯りを消してもいいよ。
作品は消えない。

君が投稿サイトに残した言葉も、
電子書籍のページも、決して消えない。

ただ、心が静かに呼吸できる場所へ、
少しだけ戻るだけ。

宣伝をやめても、
更新を止めてもいい。

君の作品は、君が思うよりずっと長く生きるよ。

誰かが深夜にふと検索したとき、
君の知らないところで、
静かに息をしている。

最後に、
電子書籍と投稿サイトに疲れた君へ。

創作は、マーケティングの競争じゃない。
ただの、優しい「営み」なんだ。
呼吸のように、
波のように、
寄せては返すもの。

疲れたら、
ただ静かに座っていればいい。

目を閉じて、
深く息を吸って、
ゆっくり吐いて。
書きたい気持ちは、
きっとまた、
君のほうへ、
優しい足取りで歩いてくるよ。

無理をしないで。

君の灯りは、ちゃんとここにあるから。

拝啓、電子書籍と投稿サイトのマーケティングに疲れた君へ。

いいなと思ったら応援しよう!