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【日記】しゆにっき/包み込んで、シナモンロール

悪夢のかた焼きせんべいからしばらく経つ。
米粉のお菓子にもだいぶ慣れてきた。
(過去の記事を読み返すと、なんだか別人が書いたみたいに感じられる。ちょっと恥ずかしい)

吸水率、製パン用製菓用料理用、品種…

思っていた以上に米粉でのお菓子作りは繊細で、気を配ることが多かったらしい。

そんなことを全く知らなかった当時のシユは、「こんなんなんでもいけるやろ!」と、コスパ重視の業務スーパーの米粉で強行突破を図ったのだ。そりゃあかた焼せんべいになるわけだ。
(現在は量を調節して慎重に使っている)


今日こそはシナモンロールを作ろう。少し早めに済ませた夕飯の後、思い立った。どうせ眠れないし、何時に寝ても5時には覚醒してしまうのだから。やってやろうじゃないか。

シナモンロールはどちらかと言えばお菓子ではなくパンの部類に入ると思う。そして米粉パンのレシピには必ずと言っていいほど、「オオバコ(サイリウム)」が入っているのだ。

もちろんそんな特殊なものは家に無かったので、ちゃんと製菓材料の店で買ってきた。そこそこ高かった。びっくりした。
※なお間違ってもお菓子作りを趣味とする者に対して「材料費いくらかかったの?」「買った方が早くない?」などとぬかしてはいけない。口にすれば最後、命は無いと思え。そんなこと当の本人が一番わかっているのだから。

粉類を合わせて、常温水と油を加えて、満を持してオオバコを投入。

オオバコが入った途端、生地の様子が変わり、パンっぽい感じになる。これがオオバコ。すごいぞオオバコ。そりゃあベーキングパウダーで誤魔化そうとしても無力なわけだ。これが課金の力か。

前回のかた焼きスコーンではひび割れてしまったのばす工程も、難なくクリア。
薄く伸ばした生地にシナモンと砂糖を合わせたものをふりかけて、くるくると巻いていく。

6等分に切り分けてマフィン型へ。
ラップをかけてオーブンで発酵させる。個人的に、パン作りは発酵で焦らされまくるのが耐えられないので、ハードルが高い印象があった。シユはせっかちである。
だがこのレシピは発酵1回だった。助かる。

発酵後の生地。若干…膨らんで…る…?
米粉の生地は強力粉のパンよりも目に見えて膨らむことはないらしい。とりあえず信じて焼く。

…焼けた。
ちゃんと焼けている。

キッチンに広がるシナモンの香り。
粗熱を取って、アイシングをたっぷりかける。

米粉特有のもっちりとした食感がさらに強くなって、密度や噛みごたえ抜群。シナモンシュガーとアイシングのとろける甘さも相まって、1個でも満足感がある仕上がりだった。

初めて使うので失敗すると思いきや、成功してしまった。これがオオバコ。恐るべしオオバコ。

まだたくさんある。これを機に米粉のお菓子からパンにシフトするのもいいかもしれない。


冒頭で引用した日記の中で、
「余談だが、いつもお菓子を作っている時、感情がワンパターンになる」
と記した。

それは別に、悪いことではない。

病院に通い始め、薬もだいぶ体に馴染んできた。なんとなく自分を俯瞰できるようになった今、そう思う。

いい匂いだな、混ぜる音が心地いいな、上手くいかなくて悲しいな…

ワンパターンのシンプルな感情は、希薄で機械的なものと思うかもしれない。だがそれだけ自身で捉えやすく、客観視もしやすい。

それに、手を動かすことによって、ぐるぐるもやもやした感情や心の奥にあるものが、少しづつ混ざって、包み込まれて、優しく焼き上げられるような気分にもなる。

くるくると薄くのばした生地を巻くように。
あるいは泡立て器で軽快に掻き混ぜるように。
キッチンに広がる甘い香り。エプロンや服、髪にまで染み付くようなそれを感じる度に、ああ自分は守られている、好きな物に包まれているのだ、だから大丈夫だと思える。

普段頭を埋めつくしている考え事や、時折濃くなってまとわりついてくるもやのようなものは、不安や緊張といった言葉では言い表せないほど複雑で、理解しようとするだけで消耗してしまう。当然キッチンに立てずに、部屋で縮こまって、嵐が過ぎ去るのを待つことしかできない時もある。

単に食べたい、作りたい、だけではなくて、そういう名状し難いものから逃れて、今ここに集中したいから、自分はお菓子を作るのかもしれない。
それはきっと、今の自身の創作にも似たようなことが言えるのだろう。


そして、もしそれがお菓子を作り始めた幼少期から潜在的に持っていたものだったならば、二十数年生きてきた今、やっと気づいてあげることができてよかったと思う。同時に、これまで気づいてあげられず申し訳なかったとも思う。

だってあの時、たくさんのことを我慢して、たくさんのことを考えていた「いい子」の少年は、きっとたくさん傷ついて、たくさん泣いていただろうから。

2026/08/14

シナモンの香り、どうか優しく包み込んで すべてを

〜おまけ〜
最近つくったその他の米粉のお菓子。

ポンデケージョ
チョコと抹茶のスコーン
ガトーショコラ

なんだかんだ、うまくやれている。
味は違えどスコーンもリベンジを果たした。

でもポップオーバーだけは上手くいかなかった。
生地も温度管理もちゃんとした。焼き上がりの瞬間は完璧に膨らんでいた。

だが「加熱が終わっても絶対に指定の時間はオーブンを開けない」の指示に従い、待ってから開けたところ、エッグタルトのようにしぼんだぐにゅぐにゅの物体が並んでいた。何でや。

仕方ないので、詰めるために仕込んでいた米粉のカスタードを窪みに絞って、ふりかけたグラニュー糖を炙ってブリュレ風にして食べた。まあそれはそれで美味しかった。
でもそこそこ萎えたのでリベンジはしていない。