ロカ岬で気づいた、私の海の定義
2023年11月
ポルトガル・リスボンから足を伸ばし
ロカ岬へ
日本でも海外でも、
海を見ると、
たいてい、不思議な気持ちになる。
海だと頭では分かっているのに
これは海?
と、自分の知っている海とは
違う景色のように思ってしまう。
私にとって海は
とても身近な存在。
実家から
歩いて10分で海に行けるし、
私の部屋からは海が見える。
なのに、
海を見ると
不思議な感覚になってしまうのは
なぜなんだろう。
この日はなぜか
その理由を知りたくなった。
観光客が写真を撮っては
去っていく中で、
私は、ベンチに腰掛け、
しばらくの間、
ロカ岬を眺めることにした。

水しぶきをあげる波のコントラストも魅力的だった
前日の雨の影響か
海の色は少し重たく見えた。
それでも
遠くにいくほど青から深い緑に変わる
グラデーションが美しく見えた。
さらに、
海の色と快晴の空とのコントラストが
何とも言えない。
灯台の白と赤が
より海や空の色を
引き立たせている。
岸壁にぶつかり、
しぶきを上げる高い波に
私は魅了された。
なのに、
何かが足りない……
と思っている自分に気づく。
今まで見たことのない
壮大な景色。
なのに、
感動だけでなく、
なんだか落ち着かない。
どうして……。
スマホのカメラロールの中にある
地元の海の写真と見比べてみる。
同じ海とは思えない景色に
気づいた。
対岸がない!
私の地元の海は、
瀬戸内海。
私が部屋から見ていた海は
必ず対岸があり、
いくつもの島があった。
昼間は、
対岸の建物が見え、
夜は、うっすらと
向こう岸に明かりが見える。

地元の好きな景色の1つ。
今、目の前の海には
水平線が広がっている。
水平線を見ると
どこまでも行ける気持ちになり
ワクワクする。
と同時に、
辿り着かないんじゃないかと
どこか不安にもなる。
私にとっての海は、
どこまでも広がるものではなく
どこかに辿り着けそうなものだった。
対岸や島々、
穏やかで真っ青な海から
安心感をもらっていたのかもしれない。
だからこそ、
水平線の続く海にワクワクする。
その先に何があるかも分からない。
どこに辿り着くのかも分からない。
少しの怖さや不安以上に、
好奇心を刺激される。
瀬戸内海は、
私にとって
帰ってこられる海だ。
目の前に広がる
ロカ岬の海は
どこかへ連れていかれるような海だった。
地元の海とは違う、
対岸の見えない海に
私は惹かれてしまうんだと思う。
少し不安はある。
でも、どこかへ行けそうな気がする。
そうやって私は、
地元を離れてから、
不安はあっても
うまくいかないことがあっても
ここまで進んできたんだから。
