【フードエッセイ】一瑳の「あっさり鶏そば」
質問です。
ラーメンを食べに行きます。
麺と具材をすべて食べて、幸せになります。
残ったスープはどうしますか。
飲み干しますか。
それとも、レンゲで少しだけ掬って、名残惜しそうに残しますか。
私は、この選択を毎回悩みます。
でも、一瑳の「あっさり鶏そば」は、そんなことを考える時間すら与えてくれません。
気がついたら、スープを飲み干している。
そして器の底が、こんにちはしてくる。
透明なのに、鶏の旨みがこれでもかと凝縮された語彙力を奪う最強スープ。
そこに相性抜群の豪速球を投げ込んでくる、細めのストレート麺。
箸で持った瞬間に崩れてしまいそうなほど柔らかい、皮付きの鶏。
白髪ネギ、青ネギ、メンマ。
「飲んだ締めにラーメンが食べたくなる」とよく言うけれど、
この言葉を最初に作った人が食べたのは、きっとここのラーメンだったんじゃないかと思う。
替え玉をして、
揚げエシャロットと柚子胡椒を加えて、もう一度楽しむ。
深夜1時まで営業しているだけでも天才なのに、
スープの一滴まで美味しいなんて、いったいどういうことなんですか。

