【単発ネタ】長谷部恭男『嘘Interactive憲法』「補論:おいしいカップ焼き蕎麦の作り方について」【パロディ】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おいしいカップ焼き蕎麦はどうやって作るべきか。
*Bは憲法担当の准教授、Hはその元指導教員(実は長谷部恭男)。
ーBとH、Hの研究室でカップ焼き蕎麦の作り方について話しているー
B:そのカップ焼き蕎麦って、どうやって作るんですか?
H:特別なことはないね。大きめのカップの中に熱湯を張って、肉やキャベツといった具材が固められた「かやく」を入れることも忘れない。まぁ5分も待てば、十分に食べられる柔らかさの食感になっているところかな。
B:随分、時間がかかりませんよね。
H:その通り。カップに入れる熱湯を沸かすための時間を考慮してもブラームスやドヴォルザークの交響曲をかけながら調理するというのはオススメ出来ない。どちらかというと最近のJ-POPにありがちな3分程度の長さの曲を2,3曲流す程度で今説明した工程は完了するはずだ。カップの中の食材が柔らかくなったら、中の熱湯は捨ててしまってもいいのだが、ボクはこの熱湯をただシンクに流して捨てるのはもったいないと思っている。そこで、カップとは別にマグカップを用意して、中華風スープの粉末をマグカップの中に入れておく。そして、カップの中の熱湯をこの中華風スープの粉末が入ったマグカップに入れてしまうんだ。青のりはカップの中の焼き蕎麦に入れてもいいし、中華風スープの中のどちらに入れてもいい。何なら青のりを半々でカップとマグカップの中に入れておくというのもアリかもしれない。どうするかはその日のご機嫌次第かな。中華風スープの味にもう一工夫加えるとするなら、コンソメスープの素や味の素も隠し味に使うだろうか。とにかくスープの旨味を増幅させるんだ。そして忘れてはならないのが、カップ麺の中にソースを入れることだ。ソースを混ぜ合わせることで味が濃くなるから、関西圏の人がお好み焼きに白米を一緒に食べるのと同じようなノリでカップ焼き蕎麦をおかずに白米を付け合わせで食べるというのもいいだろう。炭水化物を過剰に摂取してしまうことになるが、偶にはジャンクに糖質まみれになるのも人生の息抜きとしては良いだろう。
B:先生にとっておいしい料理を作る上で大事なことって何ですか?
H:さしあたり思いつくことが2つある。1つは、注意深さ、つまり食材を丁寧に選ぶこととか、カップに記載されている調理手順をしっかり守ることとかだけど、これは訓練次第で上達する。もう1つはバランス感覚だね。最終的に、だいたいの人が納得出来る味に仕上げていくという総合的なセンスとも言えるね。これは訓練を重ねても、なかなか身に付けるのは難しい。
そういえば、カップ焼き蕎麦の仕上げだけど、マヨネーズを加えても美味しいし、辛党なら辛味を増す調味料を適宜加えるというのも考えられる。カップ焼き蕎麦の中には、はじめから「激辛仕様」の商品も並んでいたはずだしね。
で、まだ何か質問は?
B:いえ、今日はお陰様で、おいしいカップ焼き蕎麦が食べられそうです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【あとがき・解説】
長谷部恭男(はせべやすお)とは日本国憲法を専門としている憲法学者である。長谷部先生の講義する憲法は俗に(少なくとも私の中で)「長谷部憲法」と呼ばれ(そしてこれは早稲田大学法科大学院で長谷部先生の講義を聴いた大学時代の同級生から聞いた話なのだが)長谷部先生ファンのことは俗に「ハセビアン」と呼ばれるそうである。
そんな長谷部先生が「法学教室」という法学部生・法科大学院生・法律研究科・法律実務家の間で読まれる法律専門誌で連載していた連載的なものをまとめた単行本シリーズに『Interactive憲法』というものがある。この書籍は憲法学というよりは、政治学や政治哲学、法哲学や法社会学など学際的なあるいは科目横断的な抽象度の高い議論をしている書籍なので、コスパ良く司法試験をパスしたいと考えている受験生にはお勧めできない本である。その代わり、学術的に日本国憲法の議論を楽しみたい・憲法論を教養レベルで学びを深めたいという方には挑戦して欲しい1冊である。また、憲法を学ぶ上でバランスを欠かないように基本書として「芦部憲法」と呼ばれ親しまれている芦部信喜先生が書いた(そして、芦部先生の弟子である高橋和之先生が補訂をしている)『憲法』(岩波書店)や、俗に「四人本」と呼ばれる『憲法Ⅰ』『憲法Ⅱ』(野中俊彦・中村睦夫・高橋和之・高見勝利、有斐閣)を並行して読むのが良いだろう。
なお、『Interactive憲法』の内容が難しすぎると感じる方には、同じく憲法学者の中では若手の旗手として著名な木村草太先生と西村裕一先生の共著による『憲法学再入門』(有斐閣)という書籍の木村草太先生が担当しているパートだけでも読むことをオススメする。わかりやすい小説形式で話が進む一方、その話の中身は政治学・法律学・憲法学の入門として奥深い内容となっているからである。
ところで、本パロディの元となった種本の話をすると『法学教室LIBRARY 続・Interactive憲法』(長谷部恭男、有斐閣)に収録されていた「補講2おいしい中華粥の作り方について」という章を参考にさせてもらった。この話は最初は長谷部先生が珍しく料理に関する蘊蓄を披露してくれるのかと思いきや、途中で思いっきり憲法学者の大家である高橋和之先生を堂々と批判している内容となっている。長谷部先生の批判の内容が妥当だとすると、高橋先生は随分「おかしな」言論をしていることになるのだが。理論がどうこう以前に高橋先生は国語と算数を小学生からやり直せばという気持ちが芽生えてしまう。一般法学徒の私としては、法律学者はあくまで実務で採用されている見解をベースにしてそれを改良・発展させる方向に法理論の議論をしてくれる分にはいいのだが、実務や通説を無視した独自説に固執するのは控えめに言っても学生目線では大迷惑でしかないから、授業でそうした態度を採る教員は大学から放逐されてくれないかと思うのである。
そんな法学部生の頃の思い出語りと法律学の布教も兼ねて本パロディを投稿する次第である。
いいなと思ったら応援しよう!
チップを得られればより長く安定した創作・投稿活動を継続できます。何より投稿して良かったと心から思えます。貴方にとっては小さなことかもしれませんが私にとってはとでもデカいことなのです。なので堂々と金額の多寡は気にせず気楽に投げていただければ!