深田萌絵さんの内乱罪問題を法律学的に分析してみる~インフルエンサーの発信する情報に踊らされないために必要なこと~


1 深田萌絵さんの内乱罪問題とは


 つい数日前何気なくYoutubeを閲覧しているとオススメに深田萌絵(ふかだもえ)さんという方のYoutubeチャンネルの動画が流れてきた。深田萌絵さんとはITビジネスアナリストとして幅広いジャンルの情報発信を行っている方であり、Youtubeチャンネルやこのnoteにもアカウントがある。もし興味があれば以下に彼女のSNSのリンクを添付するのでそちらを参照して欲しい。

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深田萌絵TV - YouTube

深田萌絵|note

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 そして、深田萌絵さんは選挙に出馬すると声明を出していたのだが、その選挙の対抗馬となるのが萩生田光一氏というのである。ご存じの方も多いと思うが、萩生田光一氏といえば自民党での大臣経験もある有力な政治家である。そして、深田さんはその萩生田光一氏から選挙活動の妨害を受けているというのである。深田さんは萩生田光一氏の政治活動の在り方を批判していたのだが、その批判が萩生田光一氏に対する名誉毀損に当たるとされ刑事告訴されたというのが当初の流れである。だが、直近の動画で「深田萌絵は内乱罪で逮捕される」という動画がYoutubeに上げられたのである。この動画によると、「八王子警察署に(任意同行で)出頭すると深田さんは内乱罪の容疑で逮捕される」というのである。これが「深田萌絵さんの内乱罪問題」の大まかなあらましである。

 この「深田萌絵さんの内乱罪問題」について「日本の民主主義の危機だ」と捉えて深田さんを応援する意見もあれば、「深田さんの言っていることは(悪質な)デマだ」とする否定的な意見も見受けられた。

 私は深田萌絵さんのことはほとんど存じ上げないし、ましてや関係者でも積極的な支援者でもないただの一視聴者である。もし彼女の言う通り萩生田光一氏が彼女のことを内乱罪を理由に警察を動かし逮捕させようとするならそれは民主主義の危機・国家権力の暴走・日本の政治腐敗の極み等色々と有権者として見過ごせないことが目白押しということで、何かしら自分に出来ることはないかとこうしてnoteに(珍しく)政治的な意見をもの申してみようかと躍起になってしまうものである。一方で、法学部やロースクールで法律を学び、一応は司法試験の勉強をしていたこともある身分としては「本当に警察が内乱罪を理由に逮捕するなんてことが、もっと言えば裁判所が内乱罪を根拠に礼状を出すことがあり得るのか?」と少し疑いの気持ちを持ってしまうのも事実である。刑法や刑事訴訟法、行政法の勉強を少しでもしていれば「仮に当初は名誉毀損の容疑で逮捕していた者が実際は内乱罪を理由に逮捕していたらそれは違法な別件逮捕というやつではないか。下手な逮捕行為に踏み込むと後で国賠請求とかより面倒事を抱えることになるが、そこまで知恵が回らないほど日本の警察も馬鹿ではないのではないか」と発想することも不思議ではないと思うのである。

 深田さんの内乱罪問題について深田さんの主張を違和感なく受け入れられる人と疑いの目を持って捉える人とそれぞれいるだろうが、私としてはまず可能な限り客観的な立場から法律学的に分析を試みた上で彼女の主張の当否を論じたいと思う。この投稿では、まず法律学的手法、特に刑法や刑事訴訟法といった刑事法的な観点から基礎的な知識を確認し、その後で考えうる可能性について言及したいと思う。

 なお、件の「内乱罪で逮捕される」という内容の深田萌絵さんの動画と、それに対する紹介・反論的な内容を述べている動画のリンクをいくつか添付するので、自分の頭で考える又は判断する参考にしていただきたい。

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元警察官「八王子警察は出頭した瞬間に深田萌絵を逮捕する」罪状は内乱罪

萩生田光一さんが深田萌絵さんを刑事告訴した件について

深田萌絵 逮捕 か? 萩生田光一 の 刑事告訴 ! 内乱罪 と 選挙妨害 の 真相 ! 【 萩生田 裏金議員 媚中 】

【立花孝志】深田萌絵。内乱罪で出頭した瞬間に即逮捕、、⁈ とんでもない展開になってきました、、【NHK党 深田萌絵 萩生田光一】

深田萌絵氏の話を鵜呑みにするな

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2 刑法的観点からの分析~「内乱罪」とは~


 では、問題となっている「内乱罪」とはどのような犯罪なのだろうか。殺人罪や窃盗罪、強盗罪や詐欺罪、放火罪といったようなニュースなどでもよく聞く犯罪名と比べると聞き馴染みの無い犯罪名だと思われる。ここまで挙げたよく聞く犯罪名は「個人的法益に関する罪」あるいは「社会的法益に関する罪」ということで、我々一般人の生活を脅かすおそれのある犯罪類型である。一方、内乱罪というのは「国家的法益に関する罪」の一つということで、実行されて目的が完遂されると日本国そのものが転覆しかねないほどに超・重大な犯罪である。何となく聞き馴染みが無いだけにイメージが先行してしまい、ボンヤリと「深田さんは何かとんでもないことをしようとしているのではないか」とか、あるいは「政府は内乱罪の規定が抽象的なことを利用して法律を濫用し国民に対して言論弾圧をしようとしているのではないか」といったことを考えてしまうのではないか。こうした発想に至ってしまうのは法律学を学んだことのない法律素人にありそうなことである。とはいえ、法律を学んだことのないことを一概に悪いことと捉えるのも如何なものかとも思う。法律を積極的に学んだことのある人の方が日本国民の割合としてはむしろ少数派なわけであるし、法律を多少学んだからと言って全知全能と思い上がる方がかえって危険だからである。

 さて、話が多少横にそれてしまったが、実際に内乱罪がどういう法律なのか見てみることにしよう。手元に六法全書を持っていればそれを参証しながら、あるいはインターネットの検索欄に「刑法77条」とか「内乱罪」と文字を打ち込んでみるといい。刑法77条(内乱罪)とは、このような規定である。

<刑法77条1項(内乱罪)>
 国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する
一 首謀者は、死刑又は無期拘禁刑に処する
二 謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は三年以上の拘禁刑に処し、その他諸般の職務に従事した者は一年以上十年以下の拘禁刑に処する
三 付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、三年以下の拘禁刑に処する

<刑法77条2項(内乱未遂罪)>
 前項の罪の未遂は、罰する。ただし、同行第三号に規定する者については、この限りでない。

『ポケット六法令和七年版』編集代表:荒木尚志・森田宏樹、有斐閣

 刑法の基本書によれば、内乱罪が成立するための主観的要件として「憲法の定める統治の基本秩序を壊乱する」という目的が必要となり、その目的には個々の内閣を打倒することは含まれない(大判昭和10年10月24日刑集14巻1267頁)。内閣打倒の目的ですら内乱罪の成立要件に含まれないというのであれば、本件のような萩生田光一氏個人に対する批判的な目的では到底内乱罪を成立させる主観的要件には含まれないとみるべきである。したがって、内乱罪で立件するというのは非現実的だと判断することができるだろう。

 なお、内乱未遂罪と言えるためには、「国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱する」という目的を達成する前に、以下の行為をなしたことを必要とする。以下の行為のどちらまでが要求されるかは(私が調べた範囲では)学説上の対立があり、実務上の立場は判然としない。実務上では内乱罪での立件がほぼ無いからである。

実行の着手時期(=内乱未遂罪成立時期:note投稿者補足)についても、暴行・脅迫がまだ行われていなくとも、このための集団行動が開始した時とする説と、さらに進んで集団的暴行・脅迫が始まった時とする説がある。前者の行為は、まだ「暴動」行為の予備(刑法78条)にあたると解する方が、文言にも常識にもそくした解釈といえる。

『たのしい刑法Ⅱ各論』(改訂・補訂前)島伸一編、弘文堂

 この内乱未遂罪の規定の解説は『たのしい刑法Ⅱ各論』という本から引用したが、ウィキペディアでの内乱未遂罪の解説とは若干異なることに注意が必要である(ウィキペディアは「集団行動が開始したときとする説」を採用している)。読者の皆様には書籍の情報とネットの情報両方を上手く精査する習慣を身に付けることを期待したい。

 また、内乱罪には未遂規定の他に「予備及び陰謀」、「内乱等幇助」といった規定もあるので、そちらの規定も確認しよう。

<刑法78条(予備及び陰謀)>
 内乱の予備及び陰謀をした者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。

<刑法79条(内乱等幇助)>
 兵器、資金若しくは食糧を供給し、またはその他の行為により、前二条の罪を幇助した者は、七年以下の拘禁刑に処する。

『ポケット六法令和七年版』編集代表:荒木尚志・森田宏樹、有斐閣

 正直に言えば、具体的にどのような行為が内乱予備罪にあたるのか明瞭な説明が私にはできない。「コレが内乱予備罪に当たる行為である」と明確に解説した文献がそもそも発見できなかったからである(『コンメンタール刑法』といった詳細な刑法の解説書であれば分かるのかもしれないが現在の私の身分ではそうした高度な専門書にアクセスすることが困難なのである)。

 そもそも「予備罪」というのは、殺人罪(刑法199条)や強盗罪(刑法236条1項)、放火罪(刑法108条)といった重大犯罪に特に設けられている規定であり、未遂罪よりも前の段階の行為を「犯罪」とする特別な規定である。具体的には、殺人予備罪(刑法201条)であれば殺害用の道具(ナイフや拳銃など)を用意する行為であり(※日用的な用途に使う目的で包丁を購入する行為が殺人予備罪と認定されるわけではない)、放火予備罪(刑法113条)であれば放火用のガソリンを用意するといった具合である。そして、内乱罪における暴動行為として殺人・放火・逮捕監禁といった行為が含まれるため通常のこれらの犯罪の予備行為と内乱罪の予備行為を厳密に区別することが困難なのである。

 いずれにせよ、深田さんの行為には「国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱する」という目的が見受けられないため、内乱未遂や内乱予備及び陰謀罪に当てはまるということもないだろう。

3 刑事訴訟法的からの分析~「逮捕」の基本と「別件逮捕」とは~


 深田さんの動画によると、「深田さんが警察の(萩生田氏に対する名誉毀損に関する)任意同行に応じたら内乱罪で逮捕される」ということである。この深田さんの発言の根拠は元警察官だった人からの「別件を理由に被疑者を任意同行で警察署に呼び出し、出頭してきたところを逮捕するということを(警察官であった頃)上司の命令で何度もやった」という発言を根拠にしているようである。だが、名誉毀損に関する任意同行を理由として呼び出し実際は内乱罪(あるいはその他の犯罪)を理由に逮捕されることがあるのだろうか。あるいは、仮に逮捕理由が一貫して名誉毀損だったとしても、当初任意同行だったものがそのまま逮捕されるなどということが本当にあるのだろうか。

 議論の前提として、まず「逮捕」の基礎・基本を確認することにしよう。当初は逮捕に関する条文(刑事訴訟法199条など)を指摘するという方針を採ろうとしたのだが、それをすると本件の問題の本質からかえって遠のいてしまうと思われたので、刑事訴訟法の基本書の記述に沿って解説を加えたいと思う。

 最初に確認したいことは、逮捕の効力は逮捕の基礎となっている被疑事実にのみ及ぶということである。すなわち、逮捕状に記載されていない事実には及ばない。このように犯罪事実を単位として逮捕の効力が決せられ、その事実に限って逮捕の効力が及ぶことを「事件単位の原則」と呼ぶ。そして、同一事実についての逮捕は原則として1回しか行うことができないと解されている(刑事訴訟法規上の明文規定があるわけではない。なお、これは再逮捕を否定するものでもない)。

 そして、本件で問題となっているであろういわゆる「別件逮捕」について確認をしていきたい。「別件逮捕」というのは法令上の用語ではないため論者によって意味に多少の違いはあるが、大雑把に言えば、本命となる重大事件(例えば、強盗罪)の証拠が揃っておらずその被疑事実で被疑者を逮捕できない場合に、専ら強盗事件について取り調べをする目的で証拠の揃っている軽微な事実(例えば、窃盗罪に関する事実)を捉えて、被疑者を窃盗罪で逮捕し強盗罪の取り調べをするといったような捜査手法である。この事例で、窃盗のような軽微な事件の方を「別件」と呼び、強盗のような重大で本命の事件を「本件」と呼ぶ。この別件逮捕がどうして問題となるかと言えば、上述した「事件単位の原則」に反するだけでなく、例えば憲法で定められた令状主義(憲法33条)を潜脱するものであるといった問題点が挙げられるからである。

 以上が「別件逮捕」に関する入門的な知識になるが、これ以上の解説は私の技量・知識では不可能である。別件逮捕は司法試験の題材に選ばれたり、法学部やロースクールの刑事訴訟法の定期考査の問題に取り上げられるほどの難しい論点であり、司法試験を落第した私では初学者に十分に納得させられるほどの知的・法的技量を有しないからである。そのため、誤解を恐れずに言えば、別件逮捕が合法か違法かは、究極的に言えばケース・バイ・ケースによるとしか言いようがないのである。とはいえ、私の感覚的な話になるが、別件逮捕が合法になり得るケースは、例えば当初窃盗で逮捕した際の取り調べで強盗の被疑事実が判明し途中で強盗の取り調べに切り替えるとか、傷害致死で逮捕して取り調べた結果殺人の被疑事実が判明し殺人の取り調べに切り替えるといったような、本件と別件が一定の重なり合いを見せるケース(前者であれば窃盗と強盗は「財産犯」という意味で重なるし、後者であれば「被害者が死亡している」という点で重なりがあると言える)の場合には、比較的合法という判断が下されやすいのではないかと思われるのである。上述の元警察官の「別件を理由に逮捕したことを何度もやった」というケースは、おそらくこうした本件と別件の間に何らかの「重なり合い」が見られるケースで比較的セーフ判定が出された事案であり、深田さんの場合には当てはまらないのではないかと思うのである。

 そのため、本件のような名誉毀損を別件として事情聴取を行い内乱罪を本件として逮捕するというのは、おおよそ違法な逮捕ということで、現実には起こりえないだろうと思われるのである。警察の立場に立っても内乱罪の取り調べなどどうすればいいのか混乱するだろうし、裁判所にしてみても内乱罪の取り調べを本件として名誉毀損の令状を発付することなど認めないだろうからである。

4 考え得る深田萌絵さんの身、あるいは深田さんの支持者に起こる可能性の考察


 上述の添付したリンクの動画にもあるように、実際には内乱罪を理由に逮捕されることはないだろうという意見も少なからずあるが、私も実際に内乱罪を理由に逮捕されるという言説には否定的である。警察にせよ裁判所にせよ「内乱罪で逮捕」するというのは前例が無いことであり、良くも悪くも官僚主義的である警察組織や裁判所が前例のないことをいきなり行うというのは非現実的だからである。

 もし仮に深田さんが逮捕されることがあるとしたら、萩生田光一氏に対する名誉毀損・侮辱罪を理由としたものだろうか。その場合でも、通常であれば逮捕に踏み切る前に裁判所からの令状が必要であり、令状もなく逮捕することは違法な逮捕にあたるから、令状も無く逮捕されることも考えにくい。

 例外的に裁判所の発布する令状がなくても逮捕ができる場合があるが、今回の深田さんの件ではそれも認められないだろう。繰り返しになるが、改めて確認しよう。まず例外の一つである現行犯逮捕については警察の目の前で萩生田光一氏の侮辱ないし名誉毀損罪が成立することが考えられず(警察署という閉鎖的な空間ではこれらの犯罪成立に必要な「公然」性が否定されるため)、「名誉毀損や侮辱罪の現行犯」というのが起こりえないためである。まして内乱罪の現行犯逮捕などもってのほかである。また、緊急逮捕ができる場合は「死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合」と定められているが(刑事訴訟法210条1項前段参照)、名誉毀損罪や侮辱罪では緊急逮捕に必要な重大犯罪を犯したとは言えないから緊急逮捕をすることができないと言える。内乱罪は重大犯罪とは言い得るものの、それを犯したことを疑うに足りる十分な理由があるとまでは言えないだろう。したがって、緊急逮捕されるということもあり得ない。

 もっとも、仮に(万が一どころか億が一)深田さんが本当に逮捕されることがあったとしても、支援者には冷静な態度でいることが要求される。2025年6月1日に深田さんはJR八王子駅前で集会を行うとのことだが、その集会の参加者が「よかれと思って」暴走行為を働いた場合、最悪の場合は騒乱罪(刑法106条柱書)が成立してしまう恐れがあるからである。上述の『たのしい刑法Ⅱ各論』の解説によると、「当初は平和的集団であったが、その後暴徒と化した場合であっても本罪(騒乱罪)の成立が認められる(大判大正4年11月6日刑録21輯(しゅう=集)1897頁)」とのことである。自身の支援者が犯罪者になどなってしまうことは深田さんが望むところではないだろうから、深田さんを支持している方(誰の支持者やファンであっても同じ事が言えるのだが)は、どうか理性的で節度のある行動をするよう忘れないでいて欲しいと願うばかりである。

5 2025年6月1日以降の深田萌絵さんの様子とそれに対する反応集


 さて、そうこうしている内に深田さんが逮捕されるという2025年6月1日がやってきてしまった。深田さんは八王子市警察署に赴く前にJR八王子駅前で集会を行っていたりしたようである。

 結論から述べると、結果的に深田さんは逮捕されるようなことは無かったそうである。「内乱罪を理由に逮捕される」というのは上述の通り行われることは無いという想像通りの結果になったと言える。今回の件について深田さん本人のコメントと、それに対する(深田さんに否定的な)意見を載せることにするので、深田さんの同行が気になるという方は参照して欲しい。私としては、内乱罪をはじめこの深田さんの事件を契機に法律学の一端を普及できればそれで目的達成できたと言っても過言ではないので、これ以上は深入りしないことにする。

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八王子警察署に行ってきました。改めてご報告します。

深田萌絵さん、妄想で迷惑かけるのはもうやめてください あなたは被害者ではなく加害者です【サンデーイブニング】

深田萌絵さんの陰謀論について

深田萌絵さんが八王子警察署に絡んで業務妨害をしている件について

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6 おわりに~インフルエンサーやSNSの情報に踊らされないために~


 Youtubeのコメント欄やnoteの記事・投稿欄を見ると、インフルエンサーの流した一方的な情報を鵜呑みにしている視聴者が少なからず存在していることに注意が必要である。彼ら・彼女らは自分の生活で言語化できないモヤモヤと抱えている漠然とした不安や怒りを自分に代わってズバッと「真実」を述べてくれるインフルエンサーの言葉に共感していることが大多数だと思われるが、自分の頭で批判的に考える習慣を身に付けていないと、自分の信じるインフルエンサーにとって迷惑千万な「無能な働き者」というレッテルを貼られかねない。自分の信じるインフルエンサーに対して少しでも批判的な言論を主張した別のインフルエンサーを発見すると、その批判したインフルエンサーの元に「良かれと思って」迷惑なコメントを連投し、最悪の場合インターネットの開示請求からの名誉毀損・不法行為に基づく損害賠償請求といった法的制裁の対象となってしまうことも珍しくない。ただの無辜な市民ないし一Youtube視聴者であったのが、一転して加害者になってしまうのである。殊に昨今のインターネットやSNSが発展した現代情報社会においては、一夜にして被害者・加害者が生まれることも被害者だったはずの者が加害者に転嫁することも珍しくはない。

 こうした悲劇を生まないためにも、まずはしっかりと情報リテラシーを身に付けることが肝要である。そのためにはどうすればよいか。一番手っ取り早い方法は、インターネットの情報を眺めるだけでなく(紙の)本を読むことである。複数のメディアに触れる習慣を意図的に作ることで、自分の得る情報の相対化を図るのである。こうすることで「世の中には絶対はない」ということを確かめ、安易に一方の意見に流されることが少なくなるように自衛するのである。もう一つ心がけることは、自分の信じる「インフルエンサー」(あるいは便宜上「推し」と言ってもいいのだが)や「師匠」、「先生」と言える存在を複数作っておくことである。あたかも一神教を厳格に信仰するようになると、その信仰する対象を疑うことが出来なくなり、かえって価値観の硬直化・視野狭窄を招いたり、対立する意見に対して必要以上に攻撃的・排他的な振る舞いをするようになり、一般社会には受け入れがたい迷惑な存在になりがちである。そうならないように、多神教を緩く信仰するかの如く色々な価値観に触れることで柔軟な思考を持てるようにすることが肝要である。

 私が深田さんの存在を知ったのは偶々であり、彼女の全ての発信した情報を精査したわけではないが、それでも率直に抱いた感想は、彼女は日本国のために自分の出来ることを全力で行おうとする、自分だけでなく他人のために動ける人であると思ったのである。そうでなければ、わざわざ選挙活動などといった「面倒臭さの極み」ともいうべき活動はできないと思ったからである。現在の政治に対する不満や問題があるなら無責任な声を上げるだけでなく自分から動いて改善しようという志には惹かれるものがある。彼女のそうした姿勢を見て彼女を積極的に支持する者も少なくないのだろうと思うのである。実際、彼女の言う通り、個人的には現在の自民党政権が良いとは微塵も思っていない。問題のある部分は積極的に情報を開示し戦っていく必要があることも理解しているつもりではある。ただ、だからといって彼女のいうことを全て盲目的に「正しい」と受け取るのもそれはそれで問題である。今回のnoteの記事で検討したように、「内乱罪を理由に逮捕される」などということは少し調べるなり勉強すれば非現実的であることは明らかなことである。事実、逮捕されると言われた2025年6月1日になっても深田さんは逮捕されることはなく無事なようである。「結果的に逮捕されなくてよかったね」とは思うが、あたかも「内乱罪を理由に逮捕される」というのが真実であるかのように情報を発信するのはいささか迂闊であると言わざるを得ない。今後深田さんが政界に進出しようものならば、迂闊な発言で炎上して政治家生命を絶たれることも珍しくはないからである。人を引きつける能力は少なからずある以上、それは非常にもったいないことだとも思うのである。

 繰り返すが、私は積極的に深田さんを支持することはないだろう。「内乱罪で逮捕される」ということを疑いもなく発信してしまう態度は一法学徒としては肯定できないからである。ただ、彼女の活動それ自体を全否定することもできない。彼女にも政治的表現の自由はあるのであり、行き過ぎない限りそれを尊重したいと思うからである。彼女の発言を「デマゴーグ」として許すべきではないという意見もあるだろうが、彼女の言論を封殺するよりも彼女の意見を多面的に批評できる空間を保障した方が(つまりは「間違っている」としても誰でも言論できる自由を保障した方が)健全な民主主義社会と言えるのではないか。私はそう思うのである。

 私も読者の皆様も、現在の日本の政治の在り方(特に自民党政権の在り方)については色々と思うところがあるかもしれないが、仮に現行政権に対して「怒り」や「不満」を覚えることがあったとしても、こうしたネガティブな感情の発散の仕方を間違えないように、幅広いリテラシーを身に付け自分の目の前の生活を疎かにしないことが大切である。僭越ながら、読者の皆様が平穏な生活を営むことが出来るようになることを祈っている。

7 補足~深田萌絵さんの「萩生田光一氏による選挙妨害」という言説について~


 深田さんは今回の「内乱罪」云々発言の以前より、萩生田光一氏から選挙妨害を受けていると主張している。仮に萩生田光一氏が本当に自身の政治家としての立場を利用して選挙妨害しているというのであれば、萩生田光一氏の行為が「公務員職権乱用罪」(刑法193条)にあたるとして逮捕できないか、弁護士にでも相談してみてはどうかと思う。

<参考文献>


『ポケット六法令和七年版』編集代表:荒木尚志・森田宏樹、有斐閣
『たのしい刑法Ⅱ各論』島伸一編、弘文堂
『刑事訴訟法講義[第5版]』池田修・前田雅英著、東京大学出版会

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