【企画】切り抜き白鉛筆(2020.10〜2020.12)
ぼくはじぶんに「かつ」をいれようと、おもいっきりめをみひらきました。
あわせて、てとあしをめいっぱい、ちゅうにむけてのばしてみます。
しんしつのむこうは、ごはんをたべるところです。
きっとそこにおかあさんもいます。
いまおかあさんがふすまをあけてこちらにきたら、「ねていないじゃない!」とさくせんがばれてしまいます。
それでも、いたしかたありません。
ぼくがねむってしまったら、さくせんはそこでしっぱいなのです。
今日、私は桐原さんを助けた。
実感があろうとなかろうと、本人にそう言わしめたというのは、紛れもない事実。胸に掲げるべき勲章だ。
そして多分、こんな勲章をひとつずつ集めて、地道に進んでいくしかないのだ。
「小雪ちゃんは多分、考えすぎちゃう病だね」
曰く、色々なことがいちいち気になって仕方がない、頭のリモコンの感度がよすぎて、わずか爪先がボタンに触れただけなのにたちまち反応してしまう、そんな状態だと言う。
「大丈夫。絶対に『赤ちゃんと僕』が読めるようになるから」
まるでそこが最終到達点であるように、カワサキさんは言った。
よく「やる気のスイッチ」なんて表現を耳にしますが、僕の場合、単純なオン・オフだけでは駄目なのです。言うなれば「やる気のツマミ」を使って、いい塩梅に気持ちを保たなくてはいけない。先ほどの喩えで言うと、倒れない程度にゼンマイを回さなくてはならないのです。
「打ち込めるものにまだ出会えていないのかとも思ったけれどよ。きっと違う。そもそも俺は、お前らみたいに、一箇所に熱を集中させることができないんだよ。そういう風に、できていない」
「そんなことはないだろう」
俺は言う。しかし早川は首を振り、強い眼差しで見返してきた。
「だから、俺が言いたいのは、そうやって否定しないでくれ、ってこと」
「……否定?」
「そう」
俺みたいな中途半端なやつのことも。
そして、
お前の中にいる、中途半端なお前のことも。
「ちゃんと認めてやってくれよ」
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『切り抜き』第二弾です。
この辺りの時期は毎週更新を行なっていて、noteで読んでいただくためにはどのような作品・見せ方がマッチするか、色々と模索していた時期でした。
当時の試行錯誤した様子が垣間見える、そんな切り抜きとなりました。
