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NO.47 破産一家

父は毎晩浴びるようにお酒を呑み、荒れ狂うように薬に手を出していた。
時に嘆くように「俺には借金しかねぇ」と言う時もあった。
原因の母はお金の匂いを嗅ぎつけ、友人やご近所さんにも借りる状態になっていた。勿論使い道はパチンコだ。
妹も社会人になってから母の言いなりになり消費者金融へ借金するようになった。
母は何かあるたびに「私は債務整理をしたんだから」と言う。
自分で借金してパチンコしてどうにもならなくなって弁護士に依頼して債務整理、その弁護士費用はわたしと夫負担。
そして、母は借金できなくなるとわたしと夫の名義貸しを頼むようになり、わたしと夫は数年返済したが増える一方なので、2人で破産手続きをした。
父は母の言いなりで借金した。父が消費者金融へ行く時は家族全員で一緒に行き、借り入れすると拍手喝采のように父を称えた。もちろん父のカードは母が管理していた。勝手に増額し勝手に使い込んでいいた。
妹は母に言われるがまま消費者金融へ行き、仕事があるからと言い返済、管理などを母に託していた。父と同様勝手に増額され勝手に使われていた。
父の給料は全額母へ、妹の給料の3分の1は妹、残りの3分の2は母。
そしてわたしは一度は拒絶したけれど、結局母の言いなりになって夫の給料、わたしのパート代全てを母が管理するようになった。

母が全て管理すると不思議なことが起きていた。
家に新しいエアコンが設置された。言い分は「孫の為」だった。
そして朝食と夕食は出るようになった。
野菜炒めや、買ってきた総菜、時に母の得意料理の角煮もあった。
誕生日には母特製のエビフライまで出てくる時もあった。
母の機嫌を損なわないように、母の地雷を踏まないように、家族全員が母の顔色を見て毎日を生活していた。
そんなある日母は父に「自己破産しなよ」と言った。わたしも夫も驚きを隠せない状態だった。そのまま母は妹にも「あんたもよ」と言い、父と妹は頷いた。
全て母の思い通りになった。
自己破産して借金がなくなれば返済しなくてよくなれば、給料の全てをパチンコにと思ったのだ。
言われるがまま、父と妹は自己破産した。
父は簡単だったが妹は簡単ではなかった。
借り入れをしてすぐの自己破産はできなかった。
借金の一部を返済しなくちゃいけなくなった。
妹はその話を家族全員の前で泣く泣く話すと母は「ならお姉ちゃん返済してあげてね」と言った。
わたしは頷くしかなかった。奴隷。労働だけさせられる奴隷。感情はむき出しにしてはいけない。自己の感情は出してはいけない。女王様である母の言いなりにならないと生活できない状態だった。
朝食、夕食、時には家事をした母。
母がいなきゃみんな生きていけないと感情を刷り込まされていた。
母が「お金」と言えば用意をし、母が「破産しなよ」と言えば破産し、母が「パチンコ行くよ」と言えば素直について打ち子をしなければ、母がいなきゃ生きていく意味がわからなくなってしまっていたわたしだった。

家族全員が母の意見に従った。
誰1人考えること、感じることはしなかった。

夜、父と母の性行為の音、喘ぐ母の声、擦れる布団の音に耳を塞いで耐えて、母のお金の無心に答え、母の嘘や偽りを知りながら同調していた。
毎日毎日ストレスだらけで不眠になり、過食嘔吐する日々にもなり、鳴りやまない耳鳴りにも耐えるようにもなっていた。

わたしの精神崩壊までそう時間はかからなかった。
抵抗すれば防げていたかもしれない。
抵抗する術を知っていれば逃げられたかもしれない。
もう、かもしれないを考える余裕はわたしには何1つなかった。
子供たちの笑顔を忘れるように見えなくなるように
母でも妻でもなく、ただただ母の奴隷娘のまま、崩壊した。

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