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【私にだって欲しいものはある】という話


あなたのまっすぐな眼差しを
遠くから見つめていた。


額に少しかかる髪。
しなやかに流れる所作。
潤むひかりを、そっとたどる指先。

迷いなど、ひとつもない。
その横顔は、凍えるほどに澄んでいて。

声をかけることさえできず、
私は立ちすくむ。

ここへ来るたび、
心が先にあなたを見つけてしまう。


ゆびさきからこぼれ落ちるように、
失いかけて初めて気づく。

一度は手放しかけたあの温もりは、
いまも体の奥に刻まれたまま離れない。


妥協は、罪。
後悔は、呪い。


あなたでなければ。
あなただけ。
私には、あなたしかいない。


もし、この想いを伝えられたら──

未来を変えることはできるのかな。
私は何を手にできるのかな。


あなたのその口唇からこぼれる言葉が、
私がずっと欲しかったものだとしたら──

今夜、何かが変わるのかな。


ごめんね。
諦めたくないの。
誰にも、渡したくない。


今夜、私が欲しいもの。
それは、触れた刹那に伝わる鼓動。
喉の奥で、溶けていく熱。

噛み締めてわかる、
やわらかな欲望。



だから、私はこう問うの──






「とんかつ用のヒレ肉って、もうこれだけになりますか?」
って。





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