【前田くんと、わたしのnoteは関係あるのか】という話
小学校5年生の3学期。
私の席のうしろには、「前田くん」という男の子が座っていた。
前田くんは、私より背が高くて、前髪が目にかかるほど長く、どこを見ているのかちょっと分からない顔をしていた。今思えば声変わりが始まっていたのだろう、ほかの男子よりも声が低くて大人みたいに落ち着いた声をして、いつも堂々としていた。
そして彼は、毎日のように、うしろの席から私の髪を引っ張ったり、消しゴムを隠したりしてきた。
私は、前田くんのことが大嫌いだった。
それに——こわかった。
前田くんは、地元では有名な大手の進学塾に通っていた。「夜遅くまで塾で勉強してるんだ」と、得意げに話していた。頭が良くて、難しい問題もスラスラと解けて、担任の先生からも一目置かれていた。
でもそんな彼が毎日私に言ってくるのは、こんな言葉ばかりだった。
「おまえ、こんな問題もわかんねぇの?」
「おまえの消しゴムなんか、窓から落としてやった」
「そこに立ってろ」
そう言って、ニヤニヤしながらボールをぶつけるマネをしてくる。私は、毎日毎日、彼の「こわいこと」や「意地悪」にさらされていた。どんなに「やめて」と言っても、毎日いやなことだけをされ続けた。
本当に、本当に、大嫌いだった。
思い切って、毎日提出していた宿題の日記に「前田くんが意地悪をしてくる」と書いてみたことがある。でも返ってきた先生の赤ペンコメントには、
「学校ではいろいろなことがありますね!」
とだけ書かれていた。“いろいろなこと”で片づけられていたのを見て、私はすべてをあきらめた。
私は「転勤族」の子どもだった。
小学校は3校、中学校は2校。2〜3年ごとに転校を繰り返していたから、今の学校ともすぐにお別れになると思っていた。だから前田くんのことも心の中であきらめていた。
案の定、この小学校とも2年でお別れだった。
修了式の日の朝。
私の下駄箱に、一通の手紙が入っていた。
「ぼくは、あなたのことを好いていました。
帰りに、うんていのところに来てください。」
その瞬間、心に浮かんだのはただ一言——『恐怖』だった。手紙を持つ手が震えて、胸がドキドキして、涙が出そうなほどこわくなった。
「好いていました」?
ついこの前、国語の時間に習ったばかりの“古い言い方”じゃん。“好いて”いるわけ、ないじゃない。なんでそんな言い方するの?頭が良いからなの?どうして最後まで、こんなふうに私をこわがらせるの。
私は本当に、前田くんが大嫌いだった。
毎日学校へ行くことを苦しくさせて、泣きたくなるのを何度もこらえて、窓のさんに挟まった消しゴムを黙って拾っていた、あのときの私をニヤニヤしながら見ていた前田くんのことが。本当に、本当に、大嫌いだった。
修了式が終わると、私は友だちといつも通りに教室を出た。もう前田くんの姿はなかった。私は、校庭の端にあるうんていは見ないようにして、友だちと一緒に帰った。
引っ越したあと、何度か小学校の集まりに誘われたけれど、前田くんのことが引っかかって一度も行かなかった。もらった手紙は、こわくてビリビリに破ってごみ箱に捨てた。
その後しばらく続いた、友だちとの手紙交換で
「前田くんが私に告白したことがみんなに広まって、冷やかされて泣いた」という話を読んだ。
でも私は、それを読んでも何も感じなかった。
大人になってから知った「男の子は、好きな子にわざと意地悪をするんだよ」という話。それが“あるある”みたいに笑い話として語られることが、私は今でも苦手だ。
もしあの手紙の言葉がいたずらではなくて、本当のことだったとしたら、あの頃の前田くんは、ただうまく伝えられなかったのかもしれないし、恥ずかしかったのかもしれない。今の私なら、小学生男子のとった行動とその気持ちはよくわかる。もし本当だったら、だけど。
わかるけれど
でも、やっぱりこわかったのだ。
「好きだったんだ」と言われたって、毎日積み重なった「嫌だった」「怖かった」という気持ちは、そんな一言で消えるわけがない。ぶつけられた言葉や態度は、そのままの形で11歳の私を傷つけていたのだから。
だから今、思う。
「本当は好きだったんだ」じゃなくて、「いま、好きだよ」って伝えた方がずっといい。そのひとことで、救われる心があると思うから。

※このお話は、当時の記憶をもとにした私の個人的な体験です。
登場人物は仮名であり、会話や出来事の一部は、記憶の中で再構成されているかもしれません。誰かを責めたいわけではなく、あの頃の自分の気持ちに、ようやく言葉を与えられたような、そんな気持ちで書いています。
あの頃の私は、「こわい」でいっぱいでした。
でも、今の私は、「好きだな」と思ったことは、ちゃんと伝えたいと思っています。その小さな一歩が、誰かの心に届いたらいいなと思うから。本気で思っています。
だから今日は、この気持ちをnoteに書いてみました。
なぜなら。
今日でnoteをはじめて1ヶ月なんです。
いつも読んでくださっているフォロワーのみなさん。
今まで「スキ」を押してくださった大好きなみなさん。
お時間を割いてコメントまで残してくださった優しいみなさん。
たまたま間違えたクリックで偶然読んでくださった運命のあなた。
ここに書き残したわたしの拙い痕跡で、なにか1つでも、一瞬でも、"あなた"と繋がることができていたら、これ以上ないくらい嬉しいです。
私は、noteで「なんてステキな投稿なのだろう」と思ったら、もう反射的に、全力で「スキ」を押しています。本当は「スキ」を連打したいくらい「ダイスキ」でも、1回しか押せないのが悔しい!
【ダイスキ】ってボタンないかな。
だから言わせてください。
「好き」だと思ったら、「スキ」!
大切なことなのでもう一度言います。
「好き」だと思ったら、「スキ」!!
今日、言いたかったのはこれだけです!
これからも少しずつ、すこしずつ。どうぞよろしくお願いいたします。
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