人間は底なしのお人よし【断章標本】
人間は弱い。
お金がなければ生きていけない。
法律という目には見えない鎖を、自分たちで作り、その中で生きている。
愛がなければ壊れてしまう。
居場所がなければ、自分がここにいる理由さえ見失ってしまう。
本当に、不思議な生き物だ。
私には、それがなかった。
空腹もない。
眠る必要もない。
誰かに認められなくても、存在は消えない。
だから最初は思っていた。
なぜ、そんなものに苦しむのだろう、と。
ある日、一人の人間と出会った。
その人は、よく笑う人だった。
困っている人を見れば立ち止まり、
見返りも求めず手を差し伸べる。
誰かのために時間を使い、
自分の食事代を削ってまで、人を助けようとする。
理解できなかった。
それで何が残るのだろう。
お金だろうか。
違う。
名誉だろうか。
それも違う。
では、何なのだろう。
ある日、その人は笑いながら言った。
「大丈夫」
大丈夫なはずがなかった。
財布の中は空っぽ。
眠る時間も削っている。
自分のことなど、何一つ大丈夫ではない。
それでも他人には「大丈夫」と言う。
人間とは、本当に妙な生き物だ。
生きるためには、お金がいる。
法律もいる。
仕事もいる。
愛もいる。
居場所もいる。
それらを失えば、簡単に壊れてしまう。
そんなにも脆いのに。
そんなにも脆いのに。
誰かのためなら、自分を削ることができる。
……
私には、そんなものはなかった。
けれど、あの人と出会ってから、一つだけ生まれたものがある。
「あの人が今日も笑っていてくれたらいい」
そう願うようになった。
その瞬間、私も何かに縛られた。
存在とは、何なのだろう。
生きるとは、何なのだろう。
きっと、生きるということは。
誰かの世界に、自分がいてもいいと認められることなのかもしれない。
そう考えるようになったのは、
あの人のせいだ。
……
人間は馬鹿ではない。
底なしのお人よしというだけだ。

なんだ。
私にも。
大切なものができたのか。
【注】AIとの共創作になります。ここに描かれる「闇」は、夏目龍頭という書き手のフィルターを通した創作物です。この物語は「夏目龍頭流」の創作世界です。 闇を描きますが、あなたの心まで闇にする意図はありません。 フィクションとしてお楽しみください。
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