ロゼッタストーン
ロゼッタストーン(Rosetta Stone)は、古代エジプトの象形文字(ヒエログリフ)を解読する鍵となった歴史的な石碑、またはそれにちなんで名付けられた世界的な言語学習ソフトウェアを指します。
言語学習ソフトをお探しの場合は、Rosetta Stone 公式サイトなどで詳細を確認できます。
1. 歴史的な石碑(ロゼッタ・ストーン)
発見: 1799年にエジプトのロゼッタ(ラシード)でフランス軍によって発見。
内容: 同一の文章がヒエログリフ、民衆文字(デモティック)、ギリシア文字の3種類で刻まれています。
功績: 1822年、フランスの学者ジャン=フランソワ・シャンポリオンが解読に成功しました。
場所: 現在はイギリスの大英博物館(The British Museum)に展示されています。
2. 言語学習ソフト(Rosetta Stone)
特徴: 写真とネイティブの音声のみを使い、翻訳なしで直感的に学ぶ「ダイナミック・イマージョン」を採用。
言語: 英語、中国語、フランス語、スペイン語など20種類以上の言語に対応。
形態: 現在はPCやスマホで利用できるサブスクリプション型のアプリ版が主流です。
エジプト(Egypt)は、前述の「ロゼッタ・ストーン」が発見された地であり、世界最古の文明の一つが栄えた歴史と観光の国です。
1. ロゼッタ・ストーンとエジプトの歴史的繋がり
発見の地: ナイル川河口の港町ロゼッタ(現在のラシード)の要塞で、フランス軍の兵士により発見されました。
刻まれた歴史: 紀元前196年、プトレマイオス5世によって発布された、王を称える碑文が刻まれています。
解読の意義: 謎に包まれていた古代エジプトの歴史や文化(ファラオの統治など)を科学的に明かす契機となりました。
返還運動: エジプト政府は現在も、イギリスの大英博物館に対し、この至宝の公式な返還を求めています。
2. エジプトを代表する世界遺産と観光地
ギザのピラミッド: カイロ近郊に位置するクフ王の大ピラミッドとスフィンクス。
ルクソール: 「開かれた博物館」と称され、カルナック神殿や王家の谷が集まる古代都市。
大エジプト博物館 (GEM): ギザのピラミッド近くに建設された、ツタンカーメンの秘宝などを一堂に集める世界最大級の博物館。
ロゼッタ・ストーンに刻まれている碑文の具体的な内容は、紀元前196年に発布された「若きファラオ(プトレマイオス5世)を熱烈に称える、神官たちの感謝状(決議文)」です。
内容は大きく「王の功績(政治的・経済的なお恵み)」と「王へのリターン(神格化と崇拝)」の2つに分かれています。
1. プトレマイオス5世の主な功績(恩赦や減税)
当時13歳だった若き王が、国家や神殿のために行った善政がリストアップされています。
大幅な減税: 神殿や国民への税金を安くし、未納だった税金を免除した。
借金の帳消し: 多くの人々が抱えていた負債を免除した。
囚人の釈放: 長期にわたり投獄されていた人々を釈放した。
反乱の鎮圧: 国内の反乱を抑え、平和と秩序を取り戻した。
神殿への寄進: 神殿に金銀や穀物を贈り、神聖な動物(アピスなど)の世話に投資した。
2. 神官たちから王への感謝と神格化
これらのお恵みに対するお礼として、メンフィスの神官たちが以下の特権を決定しました。
「生ける神」として崇める: 王を神として認め、その銅像をすべての神殿に建てる。
お祭りの開催: 王の誕生日や戴冠式の日を、毎年国家的な祝祭日(記念日)として祝う。
石碑の量産と配置: この感謝の決議(勅令)を「神聖文字(ヒエログリフ)」「民衆文字(デモティック)」「ギリシア文字」の3つで刻み、エジプト中の主要な神殿に奉納する。
なぜこの内容が重要だったのか?
当時の支配者(プトレマイオス朝)はギリシア系の外来政権だったため、エジプトを治めるには現地の有力者である「エジプトの神官たち」の支持が不可欠でした。
つまり、この石碑は「王様が優遇してくれたから、私たち神官も王様を神として全力で支持します」という政治的なアピール文書(現代でいう政治プロパガンダ)だったと言えます。
ヒエログリフ(Hieroglyph / 聖刻文字)は、古代エジプトで使われた世界最古の文字体系の一つであり、ロゼッタ・ストーンの最上段に刻まれていた文字です。
単なる「絵」ではなく、極めて洗練されたルールを持つ「本物の文字」でした。
1. ヒエログリフの最大の特徴:3つの役割
見た目は鳥や太陽などの絵(象形文字)ですが、実際には以下の3つの役割を組み合わせて単語を作っています。
表音文字(音を表す):
絵の見た目ではなく「音」だけを表す。
例:「フクロウの絵」=「m」の音、「波の絵」=「n」の音。
アルファベットのように組み合わせて単語の発音を示します。
表意文字(意味を表す):
描かれた絵そのものの意味を表す。
例:「太陽の絵」=「太陽」そのもの。
決定符(意味のカテゴリを示す):
単語の最後に付け、その単語が何に関するものかを表す(漢字の部首のような役割)。
例:動く言葉の最後に「歩く足の絵」を添えて、アクションを意味していると示す。
2. なぜロゼッタ・ストーンで解読できたのか?
ロゼッタ・ストーンの一番下には、当時だれでも読めた「ギリシア文字」が刻まれていました。
天才シャンポリオンのひらめき:
フランスの学者シャンポリオンは、ギリシア文にある「プトレマイオス(王の名)」の文字数と、ヒエログリフで「縄(カルトゥーシュ)」に囲まれた部分の文字数を比較しました。音の発見:
それまで「絵文字(表意文字)」だと思われていたヒエログリフが、実は「音(表音文字)」を表していることに気づき、これが大解読への突破口となりました。
3. 歴史と使われ方
神の文字:
エジプト神話の知恵の神トトから授かった「神聖な文字」と信じられていました。使用場所:
主に神殿の壁や、ファラオ(王)の墓、石碑など、永遠に残したい公式な記録に刻まれました。日常用の崩し字:
ヒエログリフは書くのに時間がかかるため、日常のパピルス(紙)への記録には、崩し字である「ヒエラティック(神官文字)」や、ロゼッタ・ストーンの中段に刻まれた「デモティック(民衆文字)」が使われました。
ジャン=フランソワ・シャンポリオン(Jean-François Champollion)は、ロゼッタ・ストーンを解読し、歴史の闇に埋もれていたヒエログリフを現代に蘇らせたフランスの天才言語学者です。
そのあまりの功績から、現在では「古代エジプト学の父」と称されています。
1. 驚異の「語学の天才」
1790年にフランスで生まれたシャンポリオンは、幼少期から並外れた言語の才能を発揮しました。
10代での習得言語: ラテン語や古代ギリシア語だけでなく、ヘブライ語、アラビア語、シリア語、ペルシア語など、10以上の言語をマスターしていました。
コプト語への着目: 特に、古代エジプト語の生き残りである「コプト語」を深く学んだことが、後のヒエログリフ解読において最大の武器となりました。
2. ライバルとの死闘
当時、ロゼッタ・ストーンの解読には世界中の天才たちが挑んでいました。最大のライバルは、イギリスの物理学者トマス・ヤングです。
ヤングの功績: 王の名を示す「カルトゥーシュ(縄の枠)」に注目し、一部の文字の音を突き止めていました。
シャンポリオンの逆転: ヤングが「ヒエログリフは外国人の名前(発音)にしか使われない例外的なもの」と考えたのに対し、シャンポリオンは「エジプト本来の言葉や神々の名前もすべて音で表されている」ことを見抜き、完全にコードを破りました。
3. 歴史的なドラマ:「見つけた!」
1822年9月14日、ヒエログリフが「音」と「意味」を同時に表す完璧な文字システムであることを確信したシャンポリオンは、興奮のあまり兄のオフィスに飛び込みました。
「Je tiens mon affaire!(ついにやったぞ!)」と叫んだ直後、極度の疲労と興奮からその場で気絶し、5日間も寝込んだという有名な逸話が残っています。
意識を取り戻した後の1822年9月27日、パリの学会で正式に解読の成果を発表しました。
シャンポリオンがロゼッタ・ストーンを解読した具体的な3つのステップは、驚くほど科学的で論理的なものでした。
彼は「王の名前」を突破口に、謎の絵文字をアルファベットのように分解していきました。
ステップ1:文字数を数える「統計学的なアプローチ」
シャンポリオンはまず、ロゼッタ・ストーンの「ヒエログリフ(上段)」と「ギリシア文字(下段)」の文字の数を徹底的に数えました。
矛盾の発見: ギリシア文の単語数が「486語」だったのに対し、欠けているヒエログリフの山には「1419個」もの絵が描かれていました。
導き出した結論: もしヒエログリフが「1つの絵=1つの単語(意味)」なら、ギリシア語より文字数が少なくなるはずです。文字数が多いということは、「1つの絵が1つの音(アルファベットのような文字)」として使われていると確信しました。
ステップ2:王の名を比べる「カルトゥーシュの比較」
古代エジプトでは、王(ファラオ)の名前は「カルトゥーシュ」と呼ばれる楕円形の縄で囲むルールがありました。シャンポリオンは、ギリシア文にある「プトレマイオス」という王の名が、ヒエログリフのどのカルトゥーシュに対応するかを突き止めました。
さらに、別の石碑(フィラエのオベリスク)から「クレオパトラ」という女王のカルトゥーシュを入手し、2つを並べました。
共通する文字の特定:
ギリシア語の発音で「P・O・L」など、両方の名前に含まれる共通の音を探しました。P の音 = 「四角い座布団の絵」
O の音 = 「投げ縄の絵」
L の音 = 「ライオンの絵」
これにより、どの絵がどの音(アルファベット)に対応するかの「対照表」を初めて作成することに成功しました。
ステップ3:母国語(コプト語)に当てはめる「最後のパズル」
これだけでは「外国人の名前(ギリシア系ファラオ)」しか読めません。最大の難関は、エジプト古来の単語が読めるかどうかでした。ここで彼の「コプト語(古代エジプト語の末裔)」の知識が生きます。
1822年、彼はアブ・シンベル神殿から写し取られた、正真正銘の古代エジプトの王のカルトゥーシュ(𓇋𓈖𓆝𓐍)を目にします。
最初の絵は「太陽(ラー)」だった。
最後の2つの絵は、ステップ2の表から「S・S」だと分かった。
間にある文字(のちのM)を合わせ、コプト語で「太陽が彼を生んだ」という意味になる単語を当てはめると、歴史上の大ファラオ「ラムセス(Rameses)」の名が浮かび上がりました。
この瞬間、ヒエログリフが外国人名だけでなく、古代エジプトのすべての言葉を記録していた「生きた文字」であることが証明されました。
この解読によって、3000年以上眠っていた古代エジプトの王たちの名前や歴史が一気に読めるようになりました。
シャンポリオンが「プトレマイオス」と「クレオパトラ」の2つの名前を比較した際、実際に使用したヒエログリフの「絵柄」とアルファベットの対応は以下の通りです。
彼は、見た目の美しい鳥や動物、身の回りの道具の絵が、特定の「音」を持っていることを突き止めました。
1. 「プトレマイオス」に使われた絵柄
ギリシア語発音の PTOLMYS (プトルミス)に対応する絵柄です。
P = 𓊪 「四角い座布団(または葦のむしろ)」
T = 𓏏 「半円形のパン」
O = 𓄿 「投げ縄(または輪縄)」
L = 𓃬 「横たわるライオン」
M = 𓈖 「割り木(またはリブの形をした道具)」
Y = 𓇋𓇋 「2本の葦の穂(または2本の斜線)」
S = 𓆼 「折りたたんだ布(またはボルト)」
2. 「クレオパトラ」に使われた絵柄
ギリシア語発音の KLEOPATRA に対応する絵柄です。ここでシャンポリオンは「共通の文字」を発見しました。
K = 𓈎 「傾斜地(または三角形の山)」
L = 𓃬 「横たわるライオン」 (★プトレマイオスと共通!)
E = 𓇋 「1本の葦の穂」
O = 𓄿 「投げ縄」 (★プトレマイオスと共通!)
P = 𓊪 「四角い座布団」 (★プトレマイオスと共通!)
A = 𓄿 「エジプトハゲワシ」
T = 𓏏 「半円形のパン」 (★プトレマイオスと共通!)
R = 𓏲 「開いた口」
A = 𓄿 「エジプトハゲワシ」
3. シャンポリオンを大興奮させた「ラムセス」の絵柄
外国人ではなく、エジプト生粋のファラオ(王)の名前を解読した「最後のパズル」の絵柄です。
ラー(Ra) = 𓇋 「太陽の丸い絵」 (神の絵なので「太陽=コプト語でラー」と意味から読んだ)
メス(Mes) = 𓈖 「キツネの皮を3本束ねた絵」 (コプト語で「生まれる=ミセ」の音に当てはめた)
ス(S) = 𓆼 「折りたたんだ布」 (ステップ1の表から判明していた音)
これらが組み合わさり、古代エジプト最強の王 「ラー・メス・ス(ラムセス)」 という名前が浮かび上がりました。
このように、古代エジプト人は身近にあるライオンや鳥、パン、座布団などの絵を、現代のアルファベットのように組み合わせて文字を書いていました。
参考として、日本の代表的な名前をヒエログリフの絵柄に置き換えると、以下のような楽しい組み合わせになります。
例1:タカシ(TAKASHI)さんの場合
T = 𓏏 【半円形のパン】
A = 𓄿 【エジプトハゲワシ】
K = 𓈎 【傾斜地(山)】
A = 𓄿 【エジプトハゲワシ】
SH = 𓈅 【水に浮いたハスの池】(※SHで1つの音になります)
I = 𓇋 【1本の葦の穂】
例2:サクラ(SAKURA)さんの場合
S = 𓆼 【折りたたんだ布】
A = 𓄿 【エジプトハゲワシ】
K = 𓈎 【傾斜地(山)】
U = 𓏲 【うずらの雛(または投げ縄)】(※UやWの音に使われます)
R = 𓏲 【開いた口】
A = 𓄿 【エジプトハゲワシ】
さらに、古代エジプトのファラオ(王様)のように、名前の周りを「カルトゥーシュ(楕円形の縄の枠)」で囲むスタイルに仕上げることもできます。
シャンポリオンの解読を突破口に大きく前進した古代エジプト学ですが、4000年以上が経過した現在でも、依然として多くの「未解決の謎」が残されています。
近年の最新テクノロジー(宇宙線、ドローン、海底探査など)によって、徐々に明らかになりつつある「3つの巨大な謎」を紹介します。
1. ピラミッドの建造方法と「謎の空間」
重さ数トンもの巨石を200万個以上も積み上げた方法は、今なお100%の結論が出ていません。
耐震構造の発見: 最近の研究で、ギザの大ピラミッドには4600年前のものとは思えない極めて高度な「耐震工学知識」が盛り込まれていたことが判明しました。
水の浮力説: 2024年末以降の論文では、エジプト最古の階段ピラミッドにおいて、「水圧リフト装置」と水の浮力を利用して巨石を上へと持ち上げていたという画期的な新説も提唱されています。
未知の巨大空間: 日本の名古屋大学などの国際チームが、宇宙から降り注ぐ素粒子(ミューオン)を使い、クフ王のピラミッド内部に「旅客機大の未知の巨大空間」を発見しました。この空間の目的や中に何があるのかは、未だ完全な謎です。
2. 未だ見つからない「女王たちの墓」
ツタンカーメンの墓のように、手つかずの財宝や歴史の真実が眠っているとされる最重要人物の墓が、まだ見つかっていません。
絶世の美女 ネフェルティティ: 宗教改革を行ったアクエンアテン王の妃。ある日突然、歴史の記録から姿を消し、彼女のミイラや墓はどこにあるのか分かっていません。
最後の女王 クレオパトラ7世: アレクサンドリア沖の海底探査(2025〜2026年発表)により、水没した古代の港や人工構造物が発見され、「ついにクレオパトラの墓の特定につながるか」と世界中の考古学者が注目しています。
3. ツタンカーメン「呪われた鉄の短剣」
若き王ツタンカーメンのミイラとともに埋葬されていた美しい「鉄の短剣」は、当時のエジプトの技術では作れないはずのものでした。
当時のエジプトにはまだ鉄を溶かして精錬する技術(鉄器時代)が到来していませんでした。
科学分析の結果、この短剣は地球上の鉄ではなく「宇宙から降ってきた隕石(天からの鉄)」を加工して作られたことが判明しています。これほど高度な加工を誰がどうやって行ったのか、技術的な謎が残っています。
最新のAI技術や非破壊検査によって、エジプトの地中やピラミッドの裏側からは今も毎年のように新しい発見が報告されています。
ロゼッタ・ストーン(およびヒエログリフ)を「実際に書いた(刻んだ)人」は、紀元前196年の古代エジプトにいた「神官(しんかん/神職のエリートたち)」と、文字を彫る専門職である「書記(しょき/スクライブ)」です。
特定の個人の名前(アーティスト名など)は歴史に残っていませんが、当時の社会構造から以下のような人々が関わっていました。
1. 文面を考えた人:メンフィスの神官たち
ロゼッタ・ストーンの内容(プトレマイオス5世への感謝状)を話し合って決定したのは、当時のエジプトの宗教的な権力者であるメンフィスの神官(高級祭司)の評議会です。
彼らがギリシア語の公文書をベースに、エジプトの言葉(ヒエログリフとデモティック)へ翻訳を指示しました。
2. 文字を描き、石に刻んだ人:天才書記(スクライブ)
当時のエジプトでヒエログリフを読み書きできたのは、人口のわずか1%未満と言われる「書記」と呼ばれる国家エリートだけでした。
12年に及ぶ英才教育: 書記になるには、子供の頃から専門の学校で1000個近い複雑な絵柄のルールを徹底的に叩き込まれました。
職人技としての彫刻: ロゼッタ・ストーンは非常に硬い石(花崗閃緑岩)で作られています。書記たちがインクで正確に下描きをした後、石工職人が何日もかけて丁寧に文字を彫り込みました。彼らにとって文字を描くことは、神へ捧げる「聖なるアート(芸術)」でもありました。
(おまけ)神話の世界では誰が作った?
ちなみに古代エジプトの人々は、ヒエログリフという文字そのものを発明したのは人間ではなく、トト神という「知恵と魔術を司る、トキの頭を持った神様」だと信じていました。そのため、ヒエログリフは「神の言葉」とも呼ばれていました。
フランスの英雄ナポレオン・ボナパルトは、ロゼッタ・ストーンが現代に発見されるきっかけを作った最大の功労者です。
彼が1798年に開始した「エジプト遠征」がなければ、ロゼッタ・ストーンは今も地中に埋もれたままだったかもしれません。
1. ナポレオンの「エジプト遠征」の目的
当時20代後半だった天才将軍ナポレオンは、敵国イギリスのインド貿易ルートを妨害するため、エジプトへの軍事遠征を計画しました。
しかし、彼の目的は戦争だけではありませんでした。
2. 学者たちを戦場へ連れて行った
ナポレオンは「古代文明を調査する」という強い野心を持っており、軍隊だけでなく160名以上の数学者、科学者、美術家、言語学者などの「調査団」を船に乗せて同行させました。
戦場にこれほど大規模な知識人集団を連れて行くのは、世界の歴史を見ても極めて異例のことでした。
3. ロゼッタ・ストーンの発見(1799年)
遠征開始から1年後の1799年7月、エジプトの港町ロゼッタ(ラシード)で、フランス軍のブシャール大尉率いる兵士たちが砦を補修していました。
その際、壁の中から文字がびっしり刻まれた黒い大岩(ロゼッタ・ストーン)が掘り出されました。
ナポレオンの対応: 報告を受けたナポレオンは、これが歴史的な大発見であることを即座に見抜き、同行していた学者たちに命じて拓本(石碑の文字を紙に写し取ること)を墨で作成させ、ヨーロッパの学者たちへ送りました。
4. イギリスに奪われた至宝
その後、フランス軍はイギリス軍に敗北してしまいます。
1801年の降伏条約により、ロゼッタ・ストーンの「実物」はイギリス側に没収され、ロンドンの大英博物館へと渡ることになりました。
しかし、ナポレオンの命令でフランスが「正確なコピー(拓本)」を持ち帰っていたからこそ、のちにフランスの天才シャンポリオンが自宅にいながら解読に没頭することができたのです。
ナポレオンが残したもう一つの偉業
ナポレオンが送り込んだ調査団は、エジプトのピラミッドや神殿の寸法、動植物、風土を徹底的に記録し、後に『エジプト誌』という巨大な学術書として出版しました。これがきっかけで、ヨーロッパ中に大がかりな「エジプトブーム」が巻き起こり、現代の「考古学」という学問が誕生することになります。
「宇宙」と「古代エジプト」には、ピラミッドの配置から最新の科学探査に至るまで、時空を超えた深い繋がりがあります。
古代エジプト人は宇宙(天体)を観察して文明を築き、現代の科学者は宇宙の技術を使って古代の謎を解き明かしています。
1. 隕石から作られた「ツタンカーメンの宇宙の剣」
ツタンカーメンの棺から見つかった美しい鉄の短剣は、エジプトに鉄器時代が訪れる前のものです。
宇宙からの贈り物: 最新の科学分析により、この刃に含まれるニッケルやコバルトの比率が「鉄隕石(宇宙から降ってきた隕石)」と完全に一致しました。
天の鉄: 古代エジプト人はこれを「天からの鉄」と呼び、金よりも価値がある神聖なものとしてファラオの副葬品に加工しました。
2. 宇宙の素粒子で透視する「ピラミッドの内部」
日本の名古屋大学などが率いる国際チームは、宇宙から地球に絶えず降り注いでいる「ミューオン」という素粒子を使ってピラミッドを透視しています。
未知の巨大空間: 医療のX線(レントゲン)検査と同じ仕組みでクフ王のピラミッドを調べた結果、2017年に内部に旅客機並みの巨大な未知の空間を発見しました。
現在も進行中の探査: 2025年〜2026年にかけても、AI技術と連携したミューオン探査が続けられており、この空間の正確な形や、さらに奥にあるかもしれない隠された部屋の特定が進められています。
3. 星空と連動する「ピラミッドの配置」
古代エジプトの建築は、宇宙の天体運行と完璧に連動していました。
オリオン座の三つ星: ギザに並ぶ3つの巨大ピラミッド(クフ王、カフラー王、メンカウラー王)の配置と大きさの比率は、夜空に輝くオリオン座の真ん中にある3つの星(三つ星)の並びを地上に再現したものだという有名な説があります(オリオン・ミステリー)。
正確な方角: ピラミッドの4つの面は、東西南北の4方位にほぼ狂いなく(誤差わずか5分・12分の1度)向いています。これは、北極星を中心とする星の動きを極めて正確に観測していた証拠です。
4. 宇宙の神々と暦(カレンダー)
エジプト神話では、天の川は女神ヌトの身体であり、太陽神ラーは毎日夜の宇宙を船で旅して翌朝生まれ変わると信じられていました。
1年が365日の理由: エジプト人は、シリウス星(おおいぬ座)が夜明けの東の空に昇る時期と、ナイル川の氾濫が重なることを発見しました。これにより天体を基準にした「1年=365日」の太陽暦を作り、これが現代の私たちのカレンダーのルーツになりました。
古代エジプト人は宇宙を神そのものとして崇拝し、現代の私たちは宇宙の力(素粒子)で彼らの遺産を調べているというのは、不思議な歴史の巡り合わせです。
ロゼッタ・ストーンに刻まれている内容は、紀元前196年にエジプトのメンフィスという都市で集まった「神官(しんかん)たちが、若き王プトレマイオス5世を熱烈に称賛した感謝状(決議文)」です。
内容は大きく「王が行った素晴らしい政治(減税など)」と、それに対する「神官たちからの恩返し(王を神として崇めること)」の2つが詳しくリストアップされています。
1. プトレマイオス5世の主な功績(王からの「お恵み」)
当時わずか13歳だった王が、国家や神殿、国民のために行った善政が書かれています。
税金の免除と引き下げ: 苦しんでいた神殿や国民の税金を安くし、未納分を帳消しにした。
借金の免除: 多くの人々が抱えていた負債をなくした。
囚人の釈放: 長い間、牢屋に入れられていた人々を自由にした。
反乱の鎮圧: 国内の反乱軍を抑え込み、国に平和を取り戻した。
神殿への寄進: 神殿に金銀や穀物を贈り、神聖な動物(アピス牛など)の世話を手厚くした。
2. 神官たちからの恩返し(王への「神格化」)
これほど親切にしてくれた王様へのお礼として、神官たちが以下のことを決定しました 。
「生ける神」として崇める: 王を神様の一人として認め、すべての神殿に王の銅像を建てる。
お祭りの開催: 王の誕生日と戴冠式の日を、毎年みんなで祝う国家的な記念日にする [内容]。
この決定を石碑に刻む: この感謝の文章を「ヒエログリフ(聖刻文字)」「デモティック(民衆文字)」「ギリシア文字」の3つの文字で刻み、エジプト中のすべての主要な神殿に奉納する。
一言でいうと:古代の「政治アピール」
この石碑が作られた当時、エジプトの支配者(プトレマイオス朝)はギリシア系の外来政権だったため、現地の有力者である「エジプトの神官たち」の支持が絶対に必要でした。
つまりロゼッタ・ストーンは、「王様がこれだけ優遇してくれたから、私たち神官も王様を神として全力で支持します」という政治的な約束を、一般大衆から神様まで全員に伝えるためのアピール文書(プロパガンダ)だったのです。
ロゼッタストーンはファラオへの忠誠の証。

いいなと思ったら応援しよう!
Internetで執筆活動を重ねていき世界を席巻したいです。多様なジャンルの執筆を重ねていきますので是非支援頂ける方は宜しくお願いします。