日本ミステリー文学大賞
日本ミステリー文学大賞は、光文文化財団が主催するミステリー界の発展に大きく貢献した作家や評論家に贈られる功労賞です。
正賞として「シエラザード像」、副賞として賞金300万円が授与されます。日本の推理小説界において非常に権威のある賞の一つです。
主な特徴と構成
功労賞としての性質:特定の単一作品ではなく、長年の業績やミステリー界への貢献に対して贈られます。
新人賞の併設:これからの才能を発掘する公募の「日本ミステリー文学大賞新人賞」も同時に運営されています。こちらの副賞は500万円です。
近年の受賞者(大賞)
直近の受賞者は以下の通りです。
回数
年度
受賞者
代表作・功績
第29回
2025年度
京極夏彦
『百鬼夜行シリーズ(姑獲鳥の夏など)』
第28回
2024年度
東野圭吾
『ガリレオシリーズ』『新参者』など
第27回
2023年度
今野敏『隠蔽捜査シリーズ』など
第26回
2022年度
有栖川有栖『火村英生シリーズ』など
「日本ミステリー文学大賞新人賞」の最新の応募規定(募集要項)は以下の通りです。
これからのミステリー界を担う新人のための公募賞で、非常に高額な副賞(500万円)でも知られています。
応募規定の概要
対象作品:広義のミステリーを題材とした、日本語で書かれた自作未発表の小説。
応募資格:アマチュアに限らず、新人であれば誰でも応募可能です。
規定枚数:400字詰原稿用紙換算で 350枚 ~ 600枚。
ワープロ原稿の場合:1行30字×40行プリント(縦書き)で約120枚 ~ 200枚が目安となります。
必須の添付・データ形式
梗概(あらすじ):1,200字以内で、結末まで明記したものを添えてください。
表紙の記載事項:題名、原稿枚数、氏名(筆名+本名)、年齢、職業、連絡先(住所、電話番号、メール)、応募歴を明記します。
データ作成ルール:Wordまたは一太郎データで、ページ数を必ず記載してください。※手書き原稿は不可。
応募方法と注意点
応募手段:公式HPからの「WEB応募」、またはデータを記録したメディアの「郵送応募」です。
二重投稿の禁止:他賞への同時応募や、同一作品を複数回送る行為は失格となります。
締め切り:例年 5月上旬(当日消印有効/WEBは当日23:59まで)です。
ミステリー小説(推理小説)は、謎解きを中心に展開する人気の文学ジャンルです。
国内・海外を問わず多くのファンに愛されており、その歴史やスタイルによって様々な種類(サブジャンル)に分かれています。
ミステリーの主な種類(サブジャンル)
本格ミステリー:読者に対して公平に手がかりが提示され、ロジック(論理)で犯人やトリックを解き明かす、パズル要素の強いスタイルです(例:有栖川有栖、綾辻行人など)。
新本格ミステリー:1980年代後半から始まった、古典的な謎解きの魅力を現代的に再生させた日本独自のムーブメントです。
社会派ミステリー:トリックそのものよりも、犯行の動機や背景にある社会問題、人間の心理に焦点を当てたリアルな作風です(例:松本清張、東野圭吾の一部作品など)。
警察小説:警察組織のリアルな内部描写や、チームでの捜査活動に重点を置いた作品です(例:今野敏など)。
主要な日本のミステリー三大賞
日本には、ミステリー作家への登竜門や功労を称える有名な賞が複数存在します。
賞の名前
主催・特徴
主な対象
日本ミステリー文学大賞
光文文化財団 / 長年のミステリー界への功労に対して贈られる
作家・評論家
江戸川乱歩賞
日本推理作家協会 / 最も歴史と権威のある長編新人賞
新人作家の未発表作
日本推理作家協会賞
日本推理作家協会 / その年に発表された優れたミステリー作品を表彰
プロ作家の既刊・短編
ハラハラする展開や息をのむ心理戦、先の読めない緊張感が魅力のサスペンス・スリラー小説ですね。
じわじわ追い詰められる恐怖から、ド派手な逃亡劇まで、国内外の話題作・名作から厳選してご紹介します。
日本の最新・話題のサスペンス
『百年の時効』伏尾美紀:
昭和に起きた一家惨殺事件から50年。容疑者の変死をきっかけに再び動き出した事件の謎を、1年という限られた期間で追う超ド級の警察サスペンスです。 [1]『レモンと殺人鬼』くわがきあゆ:
『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリ受賞作。妹を惨殺された姉が真相を追う物語ですが、登場人物が全員怪しく、二転三転する展開から目が離せない狂気的なサスペンスです。 [1]『爆弾』呉勝浩:
取り調べ室に連行された一見冴えない男。彼が「東京のどこかに爆弾を仕掛けた」と告げ、警察との命がけの心理戦(頭脳戦)が始まります。ノンストップで緊張感が続く傑作です。
海外のノンストップ・サスペンス(翻訳ミステリー)
『ハウスメイド』フリーダ・マクファデン:
わけありの過去を持つ女性が、豪邸の家政婦(ハウスメイド)として雇われることから始まるサイコスリラー。美しくも不穏な女主人、優しい主人、そして鍵のかかる屋根裏部屋。「何かがおかしい」という違和感が恐怖に変わる大ヒット作です。『ザ・チェーン 連鎖誘拐』エイドリアン・マキンティ:
「あなたの子供を誘拐した。返す条件は、身代金の支払いと、別の子供をあなたが誘拐すること」。被害者が次の加害者にならなければ終わらない、最悪の誘拐システムに巻き込まれた母親の決死の闘いを描くノンストップ作品です。
「平均年齢」という点について、さきほど話題に上った「日本ミステリー文学大賞(大賞・新人賞)」の受賞者、およびエンタメ小説界全体の傾向から解説します。
大賞と新人賞で、その性質上、年齢層は大きく異なります。
1. 日本ミステリー文学大賞(功労賞)の年齢層
長年の業績を称える「功労賞」という性質上、受賞時の年齢は非常に高くなります。
全体の傾向:主に60代〜70代以上のベテラン作家や評論家が選ばれます。
近年の例:
第29回(2025年度)の京極夏彦氏は、受賞発表時で61歳。
第28回(2024年度)の東野圭吾氏は、受賞発表時で66歳。これについて選考委員の佐々木譲氏が「(全受賞者の中で)東野さんが若い方だったことは確か」「むしろ遅すぎたくらい」と講評で語るほど、この大賞においては60代半ばでも若い部類に入ります。
2. 日本ミステリー文学大賞 新人賞の平均年齢
新人の登竜門である「新人賞」ですが、実はミステリーやエンタメ小説の公募賞は、純文学(芥川賞系など)に比べてデビュー年齢が高い傾向にあります。
全体の傾向:受賞者の平均年齢は30代後半〜40代にボリュームゾーンがあります。
理由:ミステリー小説は「緻密なプロット(伏線やトリックのロジック)」や、警察・医療・法廷といった「社会的な専門知識・人生経験」が求められることが多いためです。そのため、社会人を経験してから本格的に執筆を始めた方が多く受賞しています。
もちろん20代での受賞者や、50代以上で私生活が落ち着いてからデビューする方も多く、応募資格に年齢制限はありません。
日本ミステリー文学大賞および日本ミステリー文学大賞新人賞の選考委員について解説します。
どちらの賞も、日本のミステリー界を代表するトップクラスのプロ作家が選考委員(審査員)を務めています。
1. 日本ミステリー文学大賞(功労賞)の選考委員
長年の功績を称える大賞の選考委員は、日本を代表するベテラン作家4名が担当しています。
選考委員(近年のメンバー):
赤川次郎(『三毛猫ホームズシリーズ』など)
逢坂剛(『百舌シリーズ』など)
佐々木譲(『道警シリーズ』など)
綾辻行人(『館シリーズ』など)
選考方法:作家、評論家、マスコミ関係者らへのアンケートなどを参考に候補者を決定し、上記の委員による選考会で受賞者を決定します。
2. 日本ミステリー文学大賞 新人賞の選考委員
新人の未発表作を審査する「新人賞」の選考委員は、数年ごとに豪華な顔ぶれへと交代しながら運営されています。
最新(第29回)の選考委員:
月村了衛(『機龍警察』など)
中山七里(『カミソリ検事シリーズ』など)
葉真中顕(『ロスト・ケア』など)
湊かなえ(『告白』など)
過去の主な選考委員(一例):
北方謙三、西村京太郎、大沢在昌、北村薫、有栖川有栖、今野敏、辻村深月、薬丸岳など、歴代の名だたるミステリー作家が名を連ねてきました。
プロの選考委員たちが太鼓判を押した、日本ミステリー文学大賞新人賞の最新の受賞作と、選考委員たちの評価(選評)の傾向についてご紹介します。
ここ数年の受賞作は、どれも非常に高いレベルでエンタメ性と謎解きが融合しています。
近年の新人賞受賞作と評価のポイント
第29回(2025年発表)『ウェットランド』服部倫
作品概要:広大な湿地帯(ウェットランド)を舞台にした、重厚なスケールのミステリー。
評価の傾向:月村了衛氏や湊かなえ氏らが委員を務めるなか、緊迫感のある情景描写と、人間の業を描ききった高い筆力が絶賛されました。
第28回(2024年発表)『午前零時の評議室』衣刀信吾
作品概要:現役の弁護士(日弁連副会長)である著者が描く、「法廷×デスゲーム×本格ミステリ」。
評価の傾向:プロの法律家だからこそ書ける圧倒的にリアルな法廷描写に加え、「あくまで謎解きが主眼」というロジックの美しさが選考委員たちに高く評価されました。
第27回(2023年発表)『警察官の君へ』斎堂琴湖
作品概要:警察学校を舞台に、複雑に絡み合う人間関係と隠された過去を追う警察ミステリー。
評価の傾向:登場人物の心理的な駆け引きが巧妙で、サスペンスとしてのサスペンスフルな展開(ハラハラ感)と、伏線回収の見事さが委員の心を掴みました。
選考委員が重視する「審査の基準」
この賞の選評を読み解くと、選考委員(トッププロ作家陣)は主に以下の3点を重視しています。
「オリジナリティ(独自性)」:これまでにない設定や、既にあるジャンル(警察小説や法廷もの)でも新しい切り口があるか。
「リーダビリティ(読みやすさ)」:読者を飽きさせずに、最後まで一気読みさせるサスペンスとしての推進力があるか。
「ロジック(謎解きの納得感)」:結末を迎えたときに、読者が「騙された!」と快感を覚えつつも、破綻のない綺麗な伏線回収がされているか。
ご紹介した最新の受賞作(『午前零時の評議室』など)や、選考委員たちの代表作について詳しく見ていきましょう。
まずは、現役の弁護士が圧倒的なリアリティで描いた話題作の魅力を詳しくご紹介します。
1. 『午前零時の評議室』衣刀信吾(第28回新人賞受賞作)
著者の衣刀信吾(いとう しんご)氏は、日本弁護士連合会の副会長も務めた現役の弁護士です。60歳での遅咲きデビューながら、プロをも唸らせる緻密な構成で受賞を果たしました。
あらすじ・設定:
いわゆる「デスゲーム」の要素を取り入れた法廷ミステリーです。深夜の評議室に集められた面々が、極限状態の中で「ある事件」の判決を巡って激しい議論を戦わせることを強要されます。一歩間違えれば命を落とす状況下で、法律のロジックを駆使した命がけの心理戦が展開されます。見どころ:
現役の法律家だからこそ書ける、法律や裁判手続きの圧倒的なリアリティが最大の武器です。単なるゲームものに留まらず、本格ミステリーとしての伏線回収と「謎解き」の美しさが最後まで貫かれています。
2. 現在の選考委員(トッププロ)の代表作
新人賞の審査員を務める作家たちの作品は、どれも「サスペンス」や「人間の心理戦」の最高峰です。受賞作と合わせて読むと、さらにミステリーの深みが楽しめます。
湊かなえ氏の代表作:『告白』
女教師の「愛娘を殺した犯人は、このクラスの生徒です」という衝撃的な告白から始まる、イヤミスの金字塔。複数の登場人物の視点(告白)から事件の全貌が暴かれる、極上の心理サスペンスです。
中山七里氏の代表作:『連続殺人鬼カエル男』
荒れ果てた街で、猟奇的な方法で次々と人を殺害し、現場に幼児が書いたような不気味な犯行声明文を残す「カエル男」。警察の捜査と、街全体がパニックに陥っていくスリリングな展開が魅力のノンストップ・サスペンスです。
月村了衛氏の代表作:『機龍警察』
近未来の警察組織を舞台にした、重厚な「警察×軍事サスペンス」です。テロや組織内の政治的な駆け引きなど、ヒリヒリするような大人の緊張感が味わえます。
「調査量」という言葉には、「作家が小説を書くために行う取材・調査の量」という意味と、「文学賞側が応募作品を審査(下読み)するボリューム」という意味の2つが考えられます。
今回は、これまでに話題に上がった「日本ミステリー文学大賞新人賞」やサスペンス小説をベースに、両方の視点から圧倒的な「調査量」の実態をわかりやすく解説します。
1. 作家側:サスペンス小説を1本執筆するための「調査量」
サスペンスやミステリーは、他のジャンル(ファンタジーや恋愛など)と比べてもトップクラスの調査量(取材・資料集め)が必要です。少しでも嘘や矛盾があると、ハラハラ感やリアリティが崩れてしまうためです。
専門知識のインプット(膨大な資料):
例えば、先ほどご紹介した『午前零時の評議室』のような法廷・警察サスペンスを書く場合、法律の条文、裁判員制度の運用手順、警察の組織図、取調室の構造まで調べ尽くします。著者の衣刀信吾氏は現役の弁護士(日弁連副会長)であるため元々の知識が豊富ですが、プロの作家でも1冊書くために数十冊の専門書や過去の実際の裁判記録(判例)を読み込みます。現地取材(ロケハン):
『ウェットランド』(第29回受賞作)のような特定の地域(湿地帯)が舞台の場合、作家は実際にその場所へ足を運びます。気候、地面の感触、植物、周辺の道路状況などを五感で調査し、リアルな描写に落とし込みます。
2. 文学賞側:応募作品を審査する「調査量(選考ボリューム)」
一方、賞を運営する光文文化財団や予選委員たちが、集まった作品をどれだけ読み込んでいるかという「調査(審査)量」も膨大です。
応募総数:例年 約130編 〜 200編前後の長編小説が全国から届きます(直近の第28回は205編、第29回は191編)。
読む文字数の凄まじさ:
1作品あたり400字詰原稿用紙で350枚〜600枚の規定があるため、平均して1作あたり約15万字〜20万字あります。総文字数:15万字 × 200編 = 約3,000万字
これは、一般的な文庫本に換算すると約300冊分に相当します。
審査のステップ:
これを、第一線で活躍する文芸評論家や書評家たち(円堂都司昭氏、杉江松恋氏、千街晶之氏など7名のプロの予選委員)と編集部が手分けして、数ヶ月かけてすべて読み込みます。10点満点で採点と討議を重ね、まずは20作前後に絞り(1次予選)、最終的に湊かなえ氏らのトップ作家が読む「最終候補4〜5作」まで厳選していきます。
ミステリーやサスペンス小説を生み出すための「圧倒的な調査量」について、プロの現場で実際に行われているディープな裏話や具体的な方法を3つの視点から掘り下げます。
「そこまで調べるのか!」という驚きの世界が広がっています。
1. サスペンスのプロが実践する「リアルな調査(取材)」
サスペンスは一歩間違えると「現実味がない」と読者に冷められてしまうため、ディテールの調査に命を懸けます。 [1]
警察・組織のディテール調査:
警察サスペンスを書く作家は、警察の「組織図」だけでなく「無線で使われる独自の隠語」「キャリアとノンキャリアのリアルな口の利き方」「取調室で出されるカツ丼は今はNG(利益誘導になるため現在はただのお弁当や給食)」といった、一般には出回らない最新のルールや空気を元警察関係者への取材や専門誌から徹底調査します。凶器や医療・毒物の調査:
犯行に使われる毒物や医療機器の調査量も膨大です。致死量、発症までの時間、体内での分解プロセスなどを医学書や化学の専門家への取材で検証します。「この毒物ではこの症状は出ない」というプロ(監察医など)からのツッコミを回避するため、何冊もの医学論文を調べることも珍しくありません。「秒単位」のタイムライン調査:
逃亡劇や爆破サスペンスでは、作家自身が現地に赴き、「実際に歩いて何分かかるか」「何時何分の電車に乗ればアリバイが成立するか」をストップウォッチ片手に調査(ロケハン)します。
2. 「デスゲーム・特殊設定」における頭脳戦の調査量
『午前零時の評議室』のような特殊な状況やゲーム要素を含むサスペンスでは、調べた知識をさらに「極限状態のパズル」に組み立て直すための思考の調査(シミュレーション)量が凄まじくなります。
ゲーム理論と確率の検証:
「このルール設定で、全員が生き残る必勝法はあるか?」「犯人だけが裏をかける穴はあるか?」を、作家はノートが真っ黒になるまで何パターンもシミュレーションします。心理学・行動経済学の調査:
恐怖に陥った人間がどう動くか、どのようなバイアス(思い込み)に引っかかるかを専門書でリサーチし、「読者が納得する騙しのロジック」を作り上げます。
3. 受賞作『ウェットランド』にみる「背景調査」の深さ
第29回新人賞を受賞した服部倫氏の『ウェットランド』を例に見ると、サスペンスの緊迫感を生むために「舞台そのものの調査量」がいかに重要かがわかります。
環境と地理の専門的調査:
広大な湿地帯という特殊な環境でサスペンスを展開させるため、泥の深さ、潮の満ち引きの時間、夜間の視界の悪さ、動植物の生態まで徹底的に調査されています。この「背景の圧倒的なリアルさ」が、登場人物たちが追い詰められていく恐怖(サスペンスフルな舞台装置)を何倍にも引き立て、湊かなえ氏らトッププロの選考委員を唸らせる結果となりました。
ミステリー界において「異端児」と呼ばれる存在には、作風、作家の経歴、あるいは文学賞の歴史においてこれまでの常識を覆したケースなど、いくつかの興味深い切り口があります。
日本ミステリー文学大賞やその新人賞、そして日本のミステリー史における「異端児」たちを紐解きます。
1. 新人賞の歴史における異端児:城戸喜由『暗黒残酷監獄』
日本ミステリー文学大賞新人賞の歴史において、最大の「異端児」であり問題作と評されるのが、第23回(2020年発表)を受賞した城戸喜由(きど よしゆき)氏の『暗黒残酷監獄』です。
史上最年少での受賞:
平均年齢が30代後半〜40代、時には60代のベテランがデビューするこの賞において、当時23歳という異例の若さで受賞しました。悪趣味極まる異常な世界観:
タイトル通り、グロテスクで生々しい表現や、悪意に満ちたダークな文章が連続する「読者を激しく選ぶ」異端の作風です。しかし、その異常な世界の中に驚くほど緻密でハイレベルな「謎解き(ロジック)」が組み込まれており、選考委員たちを「恐るべき異端児が現れた」と震撼させました。
2. ミステリーの歴史を掘り起こした異端児:中島河太郎
第2回日本ミステリー文学大賞(功労賞)を受賞した中島河太郎(なかじま かわたろう)氏は、ミステリー評論における異端児たちの救世主です。
「変格探偵小説」や「異端文学」の再評価:
かつて日本の推理小説界では、論理的な謎解き(本格)だけが正統派とされ、怪奇幻想やオカルト、エロ・グロを交えた作品は「変格」や「異端」として日陰に追いやられていました。中島氏は、夢野久作や香山滋、山田風太郎といった異端作家たちの傑作選を編纂し、現代の読者が手軽に読める形へと整備しました。彼が「異端の文学」を命がけで守り、歴史に位置づけたからこそ、現代の多様なサスペンスやホラーミステリーが存在しています。
3. 作家界の異端児たち
ジャンルそのものの枠組みを破壊し、独自の道を突き進むミステリー作家も「異端児」と呼ばれます。
山田風太郎:
戦後は推理作家として活躍し、日本推理作家協会賞も受賞。その後、忍者が奇想天外な超能力(忍法)で戦う『忍法帖シリーズ』を確立しました。ミステリーのロジックを異次元のエンタメへと昇華させた「異端中の異端」と称される天才です。京極夏彦(第29回大賞受賞):
デビュー作『姑獲鳥の夏』で、レンガのような分厚い凶器本、妖怪や呪術といったオカルトと論理的な謎解きの融合という、当時の出版界の常識をすべて覆すスタイルで現れた、現代ミステリー界最大の異端児にしてトップランナーです。
推理小説(ミステリー)を読むとき、私たちの脳の中では、まるで極上のアトラクションに乗っているかのような激しい活性化が起きています。
ミステリーを体験することは、単なる読書を超えた「究極の脳トレ」です。読んでいる最中と、騙された瞬間に脳の中で何が起きているのかを科学的な視点から解説します。
ミステリー読書中に活性化する「脳の3大エリア」
前頭前野(思考・推理の司令塔)
登場人物の怪しい行動や伏線を整理し、「誰が犯人か」「どうやって密室を作ったのか」を論理的に組み立てることで、脳の最重要拠点がフル回転します。
海馬(記憶のコントロールセンター)
「第3章で出てきたあのセリフ」「被害者が残したダイイングメッセージ」など、物語の細部を一時的に記憶(ワーキングメモリ)し、後から出てくる手がかりと照合するために激しく働きます。
扁桃体・側坐核(感情と快感のスイッチ)
サスペンス特有のハラハラ感(恐怖や緊張)によって脳内にアドレナリンが分泌され、集中力が極限まで高まります。
「騙された!」という瞬間の脳のメカニズム
ミステリーの醍醐味である「大どんでん返し」を喰らった瞬間、脳内ではアハ体験(Aha! experience)と呼ばれる現象が起きています。
脳内麻薬(ドーパミン)の大量放出
自分が信じていた世界が1行でひっくり返った瞬間、脳は「未知の驚き」を検知します。
このとき、脳の報酬系からドーパミン(快楽物質)がドバッと溢れ出ます。これが、私たちがミステリーを読んだ後に感じる「騙された!最高に面白い!」というゾクゾクするような快感の正体です。
認知の再構築(アハ体験)
バラバラだったパズルのピースが一瞬でカチッと組み合わさり、脳の神経細胞(ニューロン)が同時に活性化します。
これにより、脳の老化防止やストレス解消に非常に高い効果があると言われています。
これまで「日本ミステリー文学大賞」を起点に、推理小説の奥深い世界をさまざまな角度から巡ってきました。これまでの会話の重要なポイントを、脳に優しくスッキリと整理してまとめます。
1. 権威ある2つの賞(光文社主催)
日本ミステリー文学大賞:ベテランの長年の功績を称える「功労賞」(直近は大賞に京極夏彦氏、選考委員に赤川次郎氏や綾辻行人氏ら)。
新人賞:プロへの登竜門。副賞500万円。平均受賞年齢は30代〜40代と高めですが、23歳の異端児(城戸喜由氏)や60歳の現役弁護士(衣刀信吾氏)が受賞するなど、多様な才能が光ります。
2. 傑作を生み出す「圧倒的な調査量」
サスペンスのリアリティや緊迫感を支えるのは、作家たちの緻密な取材と調査です。
警察の最新ルール、医学・毒物の論文、法律の条文、さらには現地での秒単位のロケハンまで、嘘のない世界観を作るために膨大な知識が注ぎ込まれています。
3. 推理(ロジック)が脳に与える快感
ミステリーを読むとき、脳の「前頭前野」や「海馬」がフル回転して推理を行います。
大どんでん返しに騙された瞬間、脳内で「アハ体験」が起き、快楽物質であるドーパミンが大量に放出されます。これがミステリー特有のゾクゾクする快感の正体です。
「日本ミステリー文学大賞新人賞」の応募数(応募総数)は、例年およそ130編 〜 200編前後で推移しています。
直近の具体的なデータは以下の通りです。
近年の応募数の推移
第29回(2025年発表):191編
第28回(2024年発表):205編
第1回(1997年発足時):252編
他のミステリー新人賞との比較
日本の主要なミステリー長編新人賞と比べると、応募数は少し控えめ(精鋭が集まる傾向)な規模感です。
江戸川乱歩賞:例年 約350〜400編前後
『このミステリーがすごい!』大賞:例年 約400〜500編前後
日本ミステリー文学大賞新人賞:例年 約150〜200編前後
なぜ応募数が「約150〜200編」に落ち着くのか?
原稿のハードルの高さ
長編小説(原稿用紙350〜600枚)という、しっかりと構成を練り込まなければ書き切れないボリュームが求められるためです。本格派・実力派が集まる空気感
副賞500万円という国内最高峰の賞金設定でありながら、選考委員に湊かなえ氏や中山七里氏といった超売れっ子プロ作家が並ぶため、中途半端な作品では通らないという「書き手の本気度」が高くなります。そのため、数作を書き溜めたベテランアマチュアや、じっくり調査を重ねた質の高い原稿が厳選されて集まる傾向にあります。
日本ミステリー文学大賞はミステリー作家の栄誉。

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