「私、あの時食べて頂いた干瓢です」
って干瓢(かんぴょう)が恩返しに来た。
いやいや…先日さ、隣で弁当食ってた友達が
「ロールキャベツに干瓢ってないよね」って捨てる素振りを見せたので
「干瓢は日本の食文化だ。これを食べれる様に加工した先人の知恵と栃木県民にあやまれ!」と僕は言ってひょいと奪って食べたのだ。
食糧難の時代の叡智を奪うなんてアコギな行動だがその信念は揺るがない。
問題は結果だ、道程はさほど意味は無い。
何故なら僕は自身がたった1代で
〝干瓢をヤングにも取合いされるくらいの人気でかつラグジュアリー〟な食材には出来ないと知っているからだ。
そんな厚顔無恥の天狗納豆ではないのだ。←旨い
かくして冒頭に戻る。
おそらくは僕のスタイリッシュな干瓢啜りにヤラれたのだろうが見返りを求めての行動ではない。
いちいちこんな営業をしていたら効率が悪く、それこそ傷んでしまうやも知れん、いくら保存食だと言ってもだ。
それに干瓢は立派な食べ物だ。
もっと前に出てアピールするべきだ!
何で(キャベツや昆布が広がる)のを防ぐという免罪符が必要なのか?
爪楊枝だと〝食材に尖った食べれないもの〟で封するのが嫌なのか?
それとも「まぁ?お子さんが間違って口に入れたらどうするの?母親としてどうなのかしらねぇ〜?」なんて誰かが自分の母っプリを喧伝する為に犠牲になるやも知れない状況を忌避する為のモノなのか?
どっちにしろ食材としての扱いは酷いものだ。
そんな事ではこれからの干瓢界を背負う人材には程遠い。
目の前の緊張で震える干瓢娘に視線をやる。
希望にキラメク瞳には微かに高貴さが伺えた。
(流石は京都の木津が発端だけのことはある)
「…レッスンは厳しいぞっ!」
「ハイッ!」
その覚悟が垣間見える返事だった。
この娘に賭けよう…
最期のプロデュースだ。
グラサンを掛け肩にカーディガンを巻いた。そしてかつての戦闘服を身に纏った僕は干瓢娘に向き直る。
「もうすぐ〝桜でんぶ〟と〝ゴーヤ〟が合流するアメリカからは〝クレソン〟もな…」
不敵に笑うとその雰囲気に干瓢娘は拳を握りしめ少し震える。
「プロデューサー!私やります!誓ったんです!先にアイドルになった親友の〝糸こんにゃく〟に!」その志しは当に一騎当千!
見える!この娘とならアイドルの登竜門が!
「デビュー曲は〝OVER The ご飯粒〟だ!」
かくして桃園で結成されたユニット
「秘密のランチパック❤」が呂布との死闘を繰り広げるのはまた別の話。
