初めてストリップ小屋に行った話
平成の最初の話です。
まだ浮かれたバブルの残り香が残る会社も多く、簡単に就職できた時代。
バカな経営陣は各地に作った保養地や温泉地に団体旅行をするならわしがともに残っていました。
みんな仕事もできないが大会社の子会社という立場のその会社の仕事は
イベントの舞台組んだり、プロレスの客席組んだり半分御祝儀仕事でした。
看板立てて後で解体。
その高い代金を値下げ交渉なんてとんでもない!
という風習の残る営業は常態化しておりこの企業はまだバブルの真っ只中だったと思う。
何年かの祝儀でベンツが買えたとかよく聞いた。
そんなお馬鹿さんたちは富山の温泉地に来ていたのだ。
巨大な岩盤から滝の様に温泉が注ぐデカい露天風呂は壮観でホタルイカの沖漬けは美味すぎる。
すべて会社の経費で飲みまくり食いまくり。
食を満足したら後は…
「お前ら!先ずストリップいくぞ!」と次長が叫ぶ!
その言葉を聞いて横のTが私に囁いた。
「…僕、女の子の見るの初めてなんで楽しみ!」
T君は16歳で顔はなにわ男子の大西流星に似てる可愛い少年でみんなに可愛がられていた。
当時は携帯電話はパカパカモノクロで今のようにエロ画像が簡単に見られる時代では無かった。
それ故に焦がれ求めた秘密の花園を拝めるのだ!
T君は本当に嬉しそうだった。
そのストリップ小屋は夕刻には開いていた。
みんな適当に酔い、旅情を楽しんでいた。
なので怪しいストリップ小屋に(次長が)惹かれた。
「こういう所が良いんだよ!」
次長は入り口の客引きのおばちゃんに人数分の金を払った。
おばちゃんは小豆色のジャージで団扇の上で金を勘定し
「ナンバーワンが用意するからビールでも飲んでなよ」と缶ビールののぼりを指さした。
次長は団扇に一万円足した。
中は正面がステージというか小上がりの感じで後は畳の落ち着く民宿の様だった。
客は私達しかいない。
「…僕、初めて見るんですよ!どうしよう?」とT君はパニクり気味に興奮している、優しいみんなはT君を前に押しやり、
「勉強やからよく見ろよな」とアニキぶったりした。
キラキラしてステージを見上げるT君の眼差しは生涯忘れないだろう。
突然暗くなりステージにあかりが灯される。
何だかわからないランバダのリズムでフラッシュが瞬く。
同時にT君の瞳も瞬いていた。
夢と希望ともっといえば〝愛〟だろう、それを拝む事は人のオスとしての本能であり愛する大事な他者を認識するとともに護るという太古から遺伝子に残されたロマンなのだ。
しかもそれは我が遺伝子を未来に託す方舟なのだ。
神聖でありながら興奮できるアンビエントな感情を持ち、なおかつ生命のふるさとと言える不思議な安心…
そんな魂のルフランがTくんの眼前にパックリと迫っていた。
「あんたらもこっから産まれたんやでぇ〜!」
客引きのおばちゃんだったw
「きゃ〜〜〜〜!!!」
T君は叫んだ。女子の様にw
抜け殻同然のT君を半ば支えながら居酒屋を目指す一行、その脇をママチャリが抜いていく…
「あんたら気をつけて帰りな〜!バッハ八〜イ!!」
おばちゃんだった。
ジャージに着替えたおばちゃんだった。
田舎のストリップめっさおもろいやん…
と思ったがT君は違うと思った。
