左折して出会えた優しさ。
スーパーへ買い物に行くため車に乗り込んだ。
家の駐車場から右へ出ても、左へ出ても、大差ない距離に、それぞれ違うスーパーがある。
今日は左にあるスーパーへ行きたいと思っていた。
我が家の駐車場は、目の前が交通量の多い道路。
左に出るのはタイヤの内輪差を考えると、出ずらい。
車の混み具合によっては右に出る方が簡単なので、つい妥協して、右に出てしまう弱気な自分がいる。
でも今日は絶対、左にあるスーパーへ行きたいわたし…
相変わらず混んでいる目の前の道。一瞬、妥協して右へ出ようとブレーキを外そうとした。その瞬間、
「左に行きたいのにどうしてまた右に行こうとする?」
という声が聞こえたような気がした。
再びしっかりブレーキを踏んで、気持ちを切り替える。
左にあるスーパーへ行きたいわたしにエールを送りながら、出るタイミングを待つ。
低いブロック塀で左側のボディを傷付けないように、大回りしても大丈夫そうなタイミングは案外すぐにきた。
「いいね〜素晴らしい‼︎」と我ながら思った。
妥協して右に出ていたら、こんなに清々しい気分で買い物へ向かえなかっただろう。わたしよ、遠慮せず好きなように生きなさい‼︎ 買い物ごときで大袈裟です。
買い物が済み、カートで運んだ荷物を車に乗せて、
カートをお店に戻そうとしたその時、カートを押した小柄なお爺さんが横に来て、わたしに何か言いたげだ。
お?どーした、お爺さん?
と思い、わたしの動きも止まった。
お爺さん
「カート、戻すの?」
わたし
「あ、はい戻します。」
お爺さん
「じゃあ、戻してきてやるよ。」
わたし
「え?いや、逆に、わたしが戻してきましょうか?」
お爺さん
「もう買い物終わったんじゃろ?」
わたし
「あ、はい終わりました。」
お爺さん
「ほな、わしも戻すから戻してきちゃるよ。」
わたし
「え〜⁉︎⁉︎じゃあ………ありがとうございますっ!」
「っんなことある〜⁉︎」と思いながらも、
わたしよりもこちらのお爺さんの方がカートを戻したい気持ちが強そうだなと思ったので⁈アッサリ、初めて会ったお爺さんにカートを委ねた。はたして、この判断は、合っていたのか?
車の中で考えたが、
「カート」を手放した代わりに、
ほっこりとした「人の優しさ」みたいなものが、わたしの心を満たすのがわかった。
あらためて
「お爺さん、ありがとうございました。」
と、心でお礼を言い、優しさに包まれたまま⁈帰宅。
妥協せず、左に曲がったから起きた、なんとも不思議で、あたたかい体験。
これからも行きたいように生きよっと。
