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税理士事務所のお仕事#8 オレ流税理士たち

※本記事は、実際に筆者が体験した出来事をもとにしたエピソードエッセイです。
登場人物の名前は仮名であり、特定の個人や団体を非難する目的は一切ありません。

税理士事務所の仕事って、もっとマニュアルがあって
静かに黙々と数字を扱う仕事だと思っていました。

ところが現実は、毎日が想定外の連続。
やることは多いのに「やり方」は誰も教えてくれず
人によってやり方もルールもバラバラ。

正直、入所してすぐの私は思いました。
──ここは「個人事業主の集合体」なのでは・・・?と。

税理士事務所での仕事は、企業の経理とはまるで別世界でした。
毎日が初めての連続。

申告書のセット方法ひとつ取っても
「えっ、こういうの誰か教えてくれたりはしないの・・・?」
という感じ。

案の定、上司の小石川さんは「見て覚えろ」の昭和の職人スタイル。
「教える」という概念は彼の辞書にはないらしくとにかく目で盗み、体で覚えろ方式でした。

企業経理時代は、そもそも申告書を目にしたことがなかった。

初めて「法人税申告書」「消費税申告書」「地方税申告書」などを目にしたときは、 まるで暗号のようでチンプンカンプン。
さらに申告書のセットにも一苦労。

なぜなら・・・
担当税理士ごとに、セットの順番も、添付書類も微妙に全部違う~・・・?!
「ん?この会社だけ違うのか?」
「いや、担当者が違うからか・・・。」
「え?じゃあこれは?」
「おぅ・・・また違うよ・・・。涙」
と自問自答。
・・・もうカオスです。

紙申告全盛期だった当時、私のいた事務所では
税務署用(提出用)・顧問先用(控え)・うちの事務所用(控え)と3部ずつ作るのが基本でした。

顧問先によっては“取引銀行用”まで用意する必要もあったり。

しかも確定申告の時期には、押印箇所がびっくりするくらい沢山あるのだ。
事務所のキャビネットには売れるほど大量な三文判がケースに並んでいた。
押して、押して、とにかく押しまくる・・・。

たまにボーッとしていると、上下逆に押してしまい
「ノ~~~ッ!?また印刷しなおし・・・。」とガックリしたこともあった。

今ではまったく役に立たない特技ですが・・・

わたし、押印のスピードと精度は凄いです!

そんなある日、会議で聞いてみたんです。
「申告書のセットの仕方、なんで統一しないんですか?」
すると小石川さんが、バッサリ。
「おれはこのやり方だから。」
・・・はい、終了。
他の役員も「まあ、俺もそうだな。」と口をそろえる。

オレ流・・・!?落合なの!?

もはや、ここは税理士事務所というより、個人事業主の集まりでした。

仕方ないので、私は担当者ごとのマニュアルをコツコツ自作した。
効率?知りません。 変化?もっと知りません。
「今のままでまわってるし、困ってないよね?」
「変えるのって、正直面倒だし。」
──そんな空気が、ずーっと漂っていました。

電子申告が主流になったことや、控えをデータで渡すことも増えたため、紙でセットする顧問先も減りつつあるのと同時に、後輩が増えてくるにつれて、少しずつ現場の声も変化。

ようやく私が退職する頃になって、やり方が事務所全体で統一されるようになりました。
いや、遅いよ・・・涙。

とはいえ、混沌とした環境のなかで、私は「対応力」や「段取り力」を少しずつ鍛えていったのでした。
無駄に思えた毎日も、案外、後から効いてくるのかもしれません。
それにしても──
もう一度わせてください。

オレ流て・・・落合なの?!ほんと!!!


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