税理士事務所のお仕事#7 「これ税理士事務所の仕事ですか?」とつぶやいた日々
※本記事は、実際に筆者が体験した出来事をもとにした
エピソードエッセイです。
登場人物の名前は仮名であり、特定の個人や団体を
非難する目的は一切ありません。
「税理士事務所に入ったのに、なんで私は
新宿で日傘さしながら歩き回ってるんだろう・・・?」
あの頃、そんなツッコミを心の中で繰り返しながら
書類の束を抱えて街を歩いていた。
今回は、税理士事務所なのに
「社労士の仕事までやっていた」日々についての記録です。
入所してしばらくすると、小石川さんが担当するグループ会社8社分の
給与計算を、 ベテランの男性職員の埼玉さんと私で担当することになりました。
ベテランの埼玉さんも小石川さん並みにきびし~い方でした。
というか、基本何も教えてくれない方でした・・・。
給与計算や労務関係の知識は買ったばかりの本で詰め込んだ程度だったので、実務では戸惑うことの連続でした。
さらに驚いたのは、その顧問先が“資料の手渡し”を
基本としていたことです。
さすがに15年前でも、給与明細や社員の個人情報など、郵送やメールでの
やり取りが主流の時代に毎回直接訪問。
しかも、そこから
西新宿の健康保険組合 → 歌舞伎町のハローワーク → 東新宿の年金事務所というフルコース。
とにかく移動に時間がかかる。
しかも夏場は地獄。
ヒールはすぐダメになるし、試しにタクシー移動を提案したら
「重役か!100年早い!!!」と一蹴された。
当時のハローワークの待ち時間は平均1〜2時間。
3月~5月は特に人の異動が多いため、待ち時間はさらに長いことも・・・。
従業員数も多く、人の出入りが多い会社だったので、毎週何かしらの手続きが発生していました。
書類の書き損じ、記入漏れ、添付忘れ・・・
一つでもミスがあると窓口で差し戻される。
慣れるまで何度も失敗し、そのたび「またか・・・。」と肩を落としました。
特に離職票。
手書きで記入する欄も多く、 お客さんに捨て印の位置を付箋で指定しても
まったく違う場所に押されて戻ってくることも。
「ノ〜ッ!?なんでそこに押印〜!!!」と叫びたくなることが何度もありました。
ハローワークの電話は全然つながらないし、確認もままならない。
持ち込んだ書類を見て、若い職員さんに 「マジ信じられない?!」と
キレられたときは、心がポッキリ折れかけました。
※ちなみに離職票とは、退職後に失業給付を受けるための重要な書類です。
そして業務に慣れてきた頃、 実はこの労務関係の仕事が
税理士ではなく社労士の業務範囲であると知ったのです。
「えっ、これサービスでやってたの?!ウソでしょ?!」
あの膨大な手間と時間を思い出して、内心ツッコミが止まらなかった。
(じゃあ小石川さん、あなたが自分でやってくださいよ・・・。)と
心の中で何度思ったことか。
そのうち、マイナンバー制度ができて、その保険組合が手続は原則郵送にするとお触れを出したことによって、 他のすべての手続きも郵送を基本に移行していった。
顧問先もようやく郵送の手続きを受け入れてくれて
あの猛暑の新宿を汗だくで歩き回る日々に
ようやく終止符が打たれた。
今思い出しても、いろんな意味で本当にキツかったなあと思います。
気づけば、なんでも屋だった日々が
私の“応用力”と“実戦力”を育ててくれたと思う。
そして後輩に「これどうやるんですか?」と聞かれて
教えられたとき、 自分の成長も感じることができた。
そう思えるようになったのは、もう少しあとになってからのことでした。
