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由緒正しい旅館にて。ダサすぎる私

憧れの宿へ

ちょっと前になりますが、湯河原の旅館に泊まりました。
憧れの宿。全然予約が取れないけれど、ぽっかり予約ができて。予定を全部調整して出かけました。
時期は初夏になろうかという頃。桜の花びらの後の新芽が黄緑から緑になろうとしています。私の大好きな季節です。
東京から鎌倉でのランチを挟んで、車で3時間ちょっと。緑深き山中の隠れ家に向かいます。
彼の仕事用の車なので、あんまり格好良くない。車に見栄を張るのもなんだしね。

若草山へ向かう道

湯河原の若草山。箱根の山あいに広がる閑静なエリアで、古くから別荘地として知られています。
湯河原の温泉街を抜けて、さらに上がって若草山エリアに入ると、空気が変わります。のんびり鄙びた温泉街から、由緒正しい奥座敷に入る感じ。心持ちひんやりして、趣のある静謐さがあります。
この道をさらに奥へ進むと、奥湯河原や箱根方面へ続きます。

昭和の別荘の面影

温泉旅館が点在し、自然に囲まれた落ち着いた環境にある旅館に宿泊です。
その宿は、若草山の緩やかな斜面に本館と離れが点在していて、緑がいっぱい。昭和の別荘時代の面影を残す建物で、無駄を省いた静謐な空間が広がります。
きっと夜は柔らかなあかりに包まれ、和の風情と木々の静寂を感じられることでしょう。
おしゃれじゃない車で恐縮しながら、車寄せにとめて、チェックインしました。

澄ましていた私の醜態

私は見た目のおしゃれを優先して、ちょっとキツめのショートブーツを履いていました。柔らかいベージュ。カーディガンのブラウン、リネンのワイドパンツのアイボリーによく合うブーツです。
サンダルには早すぎる気がして、ショートブーツにしました。
たぶん立っている私はそれなりにステキ。由緒正しき旅館に宿泊するアラフィフ女子らしい佇まいです。彼には「クチネリみたいだね」と言われました。ZARAも着てますけど。笑

しかし、鎌倉で食べたラーメンと餃子の塩分、座りっぱなしのドライブで足が浮腫みまして、靴を脱ぐのが大変でした。
すっとスマートに玄関を通り過ぎるはずが、ひと騒動。みっともない醜態を晒しました。

皆さんは見なかったこととして振る舞ってくださいましたが、心の中では笑っていたはず。
そんなことをなかったことにして、澄ました顔でお部屋に入り、お茶をいただきます。
丁寧な説明を受けて、彼が持ち込んだシャンパンを渡し、ポチ袋に入れたお心付けも忍ばせます。心付けがないと、だいぶ高い持ち込み料を払うことは、今までの経験から学びました。

温泉へ向かう前に

お茶を飲みながら、風の音を聴きます。
鶯が鳴いている。
深呼吸。
畳の香りとお香の匂い、緑の青いかおりが広がります。
温泉に向かいましょうか。浴衣に着替えましょう。

カーディガンを脱いだときに、クリーニングの札が背中にびろーんと付いていました。
ダサすぎるだろ。
靴は脱げないし、クリーニングの札は付けてるし、なんだか澄ましてるし。
滑稽な自分に腹立たしくなりました。
でも、浴衣を着たらリセット。昨日までの自分を脱いで、新鮮な私になって、温泉に浸かるのです。

湯河原のやさしい湯

宿泊客が10組に満たない旅館で、夕方の温泉は独り占めでした。
個人的に思う湯河原の温泉の魅力は、これといった強い個性がないこと。
湯河原は、お湯そのものが自己主張しない。だから何度も入りたくなるし、旅館でくつろいで読書をしたり、昼寝をしたりしながら、お湯を楽しみたくなります。
長期滞在にいいお湯なのかもしれません。私たちは一泊ですが。

湯上がりの椅子に座って、窓いっぱいの緑を楽しみました。
お湯に浸かって、本を読んで、またお湯に浸かる。
そんな時間を過ごしたいな。
後ろ髪を引かれる思いで温泉を後にして、夕食です。

懐石料理と土鍋の鯛めし

お部屋でお食事。
畳のお部屋にテーブルと椅子。私が好きな組み合わせです。
畳を定期的に取り替えないといけないから、メンテナンスが大変です。丁寧に扱われているからこそ生まれる空間なのです。

すばらしい懐石料理に舌鼓を打って、シャンパンも一本飲み切りました。
〆のご飯は土鍋の鯛めし。
仲居さんがよそってくれます。
出汁がお部屋に香ります。鯛の身がほろほろ。お米は粒だっている。
しっかりしたお米の食感があるのね。
そんなことを言いながら、きれいに平らげました。

旅館らしい心配り

デザートを食べている時に、支配人の方がいらっしゃいました。
今日の鯛めしは硬かったのではないか、歯は折れていませんか、と。
仲居さんがしゃもじの手触りでおかしいと思ったとのこと。
あら、私たちは、おいしくいただきましたよ。

お夜食の時間に、歯が折れないおむすびをお持ちしますので、とおっしゃって、私たちが夜のお風呂から上がってしばらくたったら、ふっくらしたおむすびを届けてくださいました。
たしかにおいしい。こちらが正解だったのね。

塩むすびとお漬物

澄ました私はおしまい

ふかふかのお布団で眠って、気持ちよく目覚めました。鶯のさえずりが近くで聞こえます。
朝もお風呂に入って、おいしい旅館の朝ごはんを食べて、幸せな気持ちで宿を後にしました。

その後に寄った場所は、御殿場のアウトレット。
ヒールがないペタンコサンダルを買って、足が生き返りました。
お澄ましした私は、おしまいです。
パタパタするサンダルで、肩で風を切ってアウトレットを後にしました。

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シェヘ|アラフィフ視点 応援ありがとうございます。とっても励みになります:)