【企画参加】お題 : 七夕の歩幅|#毎週ショートショートnote
いつものショッピングモールでランチの途中、美夜が「あ」の形に口を開いたまま、僕の背後に視線を動かした。
ゆっくりと視線の先を追う。
そこには、両親の姿があった。
毎年、七夕の日に一部の国民には赤い短冊が届く。
年平均歩幅が一致した相手がいることを示す通知だ。その相手とは婚姻の義務が発生する。
これが歩幅マッチング法。少子化対策の一環だという。
僕の両親は、その法のもとで出会った。
彼らは、不幸だ──
決して口には出さないけれど、僕はそう思っていた。
だから、美夜には自分から告白した。
相手がいる場合は法令の対象外になるのだ。
箸を持つ手を止めて、ふたりの背中をなんとなく見ていると、母が、ちょこんと父の肩に頭をあずけた。
父もそんな母に寄りそい、手を取りあって食料品売り場へ向かう。同じ歩幅で。
その姿に、僕は感情の置きどころが見つからない。
この世界には、まだ、わからないこともある。
そう思うことにした。
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