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東野圭吾の献身

2026年7月23日大腸がんにより68歳で死去。


山田五郎が先日67歳で亡くなったばかりだが、なぜだろう、東野圭吾の方が若い印象があった。

キャリアを見ると、大学卒業後にデンソーに技術者として入社している。デンソーって知ってますか?二次元バーコード、いわゆるQRコードを開発した会社です。

東野圭吾のWikipediaはこちら。


なにしろ多作な小説家で、作品数は全部で106作品という。驚くべきペースで書き続けている作家で、40年以上にわたり平均すると年間2〜3冊のペースで新作を世に送り出してきた計算になる。

映像化されたものも多い。一番有名なのはガリレオシリーズの『容疑者Xの献身』だと思う。この映画は主人公・湯川教授を演じた福山雅治もさることながら、なんといっても堤真一が演じた石神が素晴らしい。中でも、石神が留置場の天井のシミで四色問題をイメージするシーンと、最後に石神が花岡靖子の罪の告白を受けて「どうして!?」と慟哭するシーンが忘れられない。

ちなみに、ラストの石神の慟哭だが、シンプルな意味ではないだろう。人生を終わらせるつもりでいた石神が、たまたま隣に越してきた母娘の声かけと存在によって救われた。だから石神は二人のために人生を使おうと決めた。自らの天才的頭脳を駆使した完璧な計算で、自分だけが犠牲になって完遂しようとしていたのに…それなのに…というラスト。

あと、なんで四色問題だったのかを考えると味わい深い。四色問題とは「平面上のいかなる地図も、隣り合う領域が同じ色にならないように塗り分けるには、4色あれば十分であるかを証明する数学の問題」のこと。隣り合う色は同じ色にならない、というのがポイントで、これは隣の部屋に住みながら人生が交わらない石神と花岡親子のことを示唆しているであろうとされる。だから、石神の献身的な計画は四色問題のように美しく成立しようとしていたわけである。

どうも『容疑者Xの献身』だけで終わってしまいそうなのでそろそろにする。

東野圭吾の小説を僕はどれくらい読んで(知って)いるだろう。
厳密なところは正直わからないが、これは絶対読んでいる(観ている)というのは以下のあたりになる。

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『宿命』(1993年7月)
『あの頃ぼくらはアホでした』(1995年3月)
『天空の蜂』(1995年11月)
『探偵ガリレオ』(1998年5月)
『秘密』(1998年9月)※小説と映画
『白夜行』(1999年8月)※小説と映画
『ゲームの名は誘拐』(2002年11月)
『手紙』(2003年3月)
『幻夜』(2004年1月)
『さまよう刃』(2004年12月)※小説と映画
『容疑者Xの献身』(2005年8月)※小説と映画
『たぶん最後の御挨拶』(2007年1月)
『真夏の方程式』(2011年6月)※映画だけ
『マスカレード・ホテル』(2011年9月)※映画だけ
『沈黙のパレード』(2018年10月)※映画だけ

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106作品のうちのたった15冊なので、あまりよく知っているとも言いづらい。だが、東野圭吾作品に対する個人的な印象として「人がけっこう酷い目に遭う」というのがある。中でも『さまよう刃』はしんどかった(その割に映画も観ているのだが…)。
東野圭吾は、人の悪意や暴力性を、または、追い詰められた状況にあって手段を選ばない人間のえげつなさのようなものを、つまり人間の暗部を、割としっかり書く作家のような印象がある。全体的にはテンポが非常によく、リーダブルで読みやすい文体であるため、描写がザラザラとしていても、描かれている人間関係がウェットだとしても、それほど苦味が長く残る感じではない。それが救いとなっている。

最後に。

作家という職業の特筆すべき点として、自分が死んでも作品は残るというのがある。しかもこれだけの数の物語を生み出してきた人なので(まさに小説世界に身を献げてきた作家だと言える)、東野圭吾の名前は長く知られ続けるだろう。いったいそれは、どのような気持ちになるものなのだろう。

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shinobu_note やぶさかではありません!